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食と美と健康の法則 マクロビオティック入門  (久司 道夫著)

食と美と健康の法則 マクロビオティック入門 (久司 道夫)

病気になれば、多くの方は病院に行き、
薬をもらったり手術を受けたりします。
なかには、そのような方法ではどうしようもない方もおられます。
しかし現代医学の手に負えない病気であっても、
真の原因である食べ物を正しくするだけで、
病人の悩みがいとも簡単に救えるのです。
この本では、そのことを具体的に説明します。
食べ物を正しくすることでよくなるのは病気だけではありません


第3章 なぜ、人は病気になるのか   病気はありがたいもの

 人間は、自然が生み出したものです。
ですから自然の仕組みや動きに村して素直になれば、人間は病気になるはずがないのです。
しかし現実には、病気があとを絶ちません。
 人間が自然の動きに順応して、素直に生き、自己中心的な考え方を捨てれば、
病気にはかからないものです。しかし自然に背いて自己中心的な生活を送っても、
自然は決して見捨てず、病気という症状を起こさせて調節しょうとします。
 病気というのは、じつは自然が、私たちを自然に合うように調節しているのです。
不必要なものを過剰にとれば、体外に排泄しょうとします。
それが、咳、鼻汁、下痢、発熱、皮膚アレルギーなどの症状にあらわれます。
そこで自己中心的な考え方を捨てて、食事を自然に合ったマクロビオティック食にあらため、
大食を避ければ、病状という不自然な方法で排泄する必要がなくなります。
心身の状態が自然と調和して、症状が消えていきます。
体と精神の仕組みを理解し、きちんと自己管理をすれば、
病気を防ぎ、精神を発達させることができます。
エゴや我欲といった自己中心的な考え方を、感謝する心に変えていけばいいのです。
 自分は生きているのではなく、宇宙、自然、人びとによって生かされていると考えることです。
感謝の気持ちを持つことは、あらゆる不幸が解消される基本です。
 病気は不幸なことだと考えている人が大勢いますが、
それは自己中心的な考え方にとりつかれているからです。病気は決して不幸なものではありません。
逆に、病気はすばらしいものだと考えてください。

病気は自然の調節現象

不必要なものを過剰にとると、いろいろな排泄作用が起こります。
それらの排泄作用のなかで、皮膚からも排泄される場合に皮膚病になります。
皮膚病は外からではなく、内から発生するのです。
 たとえばそばかすのある人は、
砂糖、蜂蜜、チョコレート、果物など単糖類の糖分など
をとりすぎています。これらの食物は陰性です。
陰性の単糖類は、陽性の性質を持った太陽に引かれます。
ですから夏の強い日差しにさらされると、そばかすができるのです。
 なかには白い斑点が出てくる人がいます。
これは、牛乳、ヨーグルト、クリーム、バターなど乳製品を排泄しょうとしているのです。
 黄色い斑点が出てくる人は、卵やチーズなど脂肪の一種を排泄しょうとしているのです。
イボが出てくるのは、蛋白質、脂肪といった動物性食のとりすぎが原因です。
あるいは鼻水に混じって出てきたり、目やにや耳垢として出てきたりしますが、
大食やかたよった食べ物のとりすぎです。
 しかし排泄しょうとしてもできない場合は、どうなるのでしょうか。
たとえば皮下脂肪ができたり、汗腺や経穴がふさがってしまったような場合です。
 たとえば鼻腔のように、外側と直結しているところに、
粘液の形でたまると蓄膿症などになります。
また腎臓のように、老廃物を排出するような臓器にも集まってきます。
そのためカルシウム分や脂肪などがたまって腎臓結石ができます。
同じ理由で、子宮に脂肪や粘液がたまります。
 ことにハンバーガーやステーキなどの動物性の食物には、
蛋白質や脂肪が多く含まれているため、陽性の性質を持っています。
陽性は収縮力を持つとともに、下降の力を持つと定義しています。
ですから下のほうに出そうとして、女性の場合はおりものや子宮筋腫ができると考えられます。
 こういうものを食べ続けていると、だんだん外に排泄することができなくなり、
余剰な蛋白質やコレステロールを含む脂肪分が、血管、心臓、肝臓などにたまってきます。
そのため臓器の機能が低下したり、動脈硬化などの問題が起きます。
 さらにそれが高じると、脂肪や蛋白質の種類にもよりますが、組織や器官の細胞が変わり、
細胞分裂を起こし、腫瘍が広がったり、ガンができたりするのです。
 自然は、体のなかの余分なものをできるだけ排泄しょうとします。
それができない場合は、脂肪の形で筋肉や組織にためて、肥満体になったり、
あるいは無難な場所に集めて腫瘍などをこしらゝえ、生命が長く続くように調節します。
それが自然の仕組みです。
 それでも人間が食事の内容をあらためようとしない場合には、余分にとったものによって、
体内の各機能が低下したり、停止したりします。
 つまり病気というのは、私たちのわがままな食べ方や生活を自然が調節して、
何とか人間としての命を維持できるようにしてくれているのです。
 だから私たちは、病気に感謝することが大切です。自然にも感謝しなければいけません。
自己中心的な我欲によって、いつ死ぬかもしれない生命体を自然が調節して、
なるべく長く生存するようにしてくれているからです。
 病気がよくなるには、自己中心的な我欲を捨てることです。
体をどんどん動かして、悪いものや余分なものは排泄するようにします。
社会や他人のために働くことです。
そうした生活にあらためていけば、病気の多くは起こらなくなります。
 病気は、自然、宇宙、自分の我欲とのあいだの調節現象ですから、病気に対して本当に感謝し、
病気の原因である我欲を反省することが大切です。

かたよりが病気をつくりだす

 先に、陰性や陽性の食物をとりすぎると病気になると説明しました。
病気になるのは、かたよりが起こつているからです。
ですから病気をなくすには、陰と陽をよく管理して、かたよりをなくせばいいのです。
 陰陽は食物だけでなく、いろいろな事柄にもあてはまります。
車が左側に寄れば、ドライバーは右側にハンドルを切ります。
スピードが出ると、ブレーキを踏んでスピードを落とします。
このように陰陽の調整がうまくできれば、人生に間違いなど起こらなくなります。
 いわゆる終末点という考え方があります。戦術にしても戦略にしても、
どんどん拡大していくと、必ず終末点があります。
終末点というのは、それ以上拡大すると、収縮せざるをえない点のことです。
そういう限界を知って、バランスをとることが必要です。
 人間は住んでいる自然環境に適合した体、血液を持ち、ものの考え方をすれば、病気に
かかることなく過ごせます。ところがその土地や環境のエネルギーに合わないエネルギー
を持つと、土地に対する秩序やバランスがくずれてしまいます。
 たとえば砂糖きびは、地表から天に向かって高く伸びています。
これは上昇のエネルギーを持った陰性の植物だからです。
ですからこれを食べると、体のなかで糖分が急激に燃焼します。
ことに精白してあると、ミネラルなどがなく、成分の構造も単純ですから、
体のなかでカロリーがたくさん燃焼します。
それで血糖が一時的に上がりますが、同時に心理的な興奮状態が生じます。
 これと同じようなことが、バナナでも起こります。バナナは熱帯で生育する果物です。
熱帯は地球の自転による遠心力が働くので、そこで育つ植物は大きな陰性の拡散性の力を受けます。
 それを温帯にある日本の環境でとれば、体のなかに風土に合わない異質のエネルギーを
とり入れることになり、体の調子が環境に合わなくなります。
つまり病気にかかりやすくなるのです。
 要するに、環境のエネルギーに合ったものをとり入れることが大切です。
まったく違うものが入ってくるときは、塩や水、火、圧力などを用いて調理して、
その食物が持っているエネルギーを環境に合うように変えなければなりません。
 もしみなさんが、これまでに熱帯性の果物やチョコレートなどをたくさん食べていたら、
陰性の体になつています。この陰性にかたよった状態を元にもどすには、陽性の食物をとるか、
調理法を工夫してバランスを回復することです。そうしないと病状は解消しないのです。
 人が生まれつき持っている判断力を本能といいます。
かたよったものからバランスをとろうとする自然の判断力、これが本能です。
人間はこの本能によって動いてきました。
 ところが最近の人たちは、そうした本能が鈍くなり、効かなくなっています。
危険な状態にあっても危険を感じないのです。自殺行為をやっているのに、それがわからないのです
方向が間違っているのに、それがわからないのです。
 だから本能をよみがえらせることが必要です。まず正しい食物を、よく噛んで食べることです。
少食にすることです。困難な環境のもとで、心も体も活動させることです。
そうすることで本能がよみがえってくるのです。

なぜ、宇宙の秩序を失うのか

「マルコの福音書」などを読むと、イエスやイエスの弟子たちは、
日本でいう「手当て」すなわち手のひら療法を使っていました。
 イエスとその弟子たちの食生活は、聖書でうかがい知るかぎり、
穀菜食が主体であるマクロビオティック的な食事でした。
そして宇宙や命に関する原理は、マクロビオティックの原理に一致しています。
 このことは、仏教やほかの宗教についてもいえることです。
多くの宗教の教えには、精神的に優れたものもあり、優れた人格の方々もおられますが、
多くの人びとは病気をよくすることができないうえに、自分たちが病気になっています。
 これは何を食べればいいかを知らないからです。宗教とは何であるかを忘れてしまっています。
観念的になってしまい、実際の健康や生活にはあまり役に立っていません。
 宇宙の秩序は決して乱れることなく、私たちも日々、その動きのなかに生きているのに、
なぜ私たちは病気をしたり、戟争をしたりするのでしょうか。そこに疑問が生まれます。
 答えは自由意思にあります。
私たちは全宇宙の秩序のなかに生まれて、秩序によって動いていますが、
一人ひとりは必ずしも宇宙の秩序どおりには動いていません。
個々の自由意思によって、一〇〇パーセント秩序がとれたように動くことを、
いろいろな点で抑制しているのです。
 たとえば岩は、雨が降り、温度が変化すると、その影響を受けてくずれたり、
砂になったりします。
ところが人間は、気候が変化しても、それに抵抗したり、適応したりして、いろいろな生き方をします。 人間は、これを食べてはいけない、と思いながら食べます。
これはいけないことだといいながらやってしまいます。
嘘をついてはいけないということがわかっているのに嘘をつきます。
嘘をつかないという人がいたら、その人はたぶん大嘘つきでしょう。
 自分の考えていることが一〇〇パーセント実行できれば」何も苦労することはありませ
ん。ところがす分の考えていることが、なかなか実行できないのです。朝、早く起きなけ
ればいけないと思っていても、なかなか起きられないのです。
 宇宙の秩序というものがあるのに、自由意思があるために、ほしいままな働きかけ、
選択、抵抗などをして、時に一緒になったり、時に反逆したり、
時に先行していろいろなことをやっています。
そこに私たちの根本問題があります。
個人の自由はどこで管理しているのか、哲学的に何千年もわからなかったために、
問題の解決方法が見つからなかったのです。どこでそういうことをやっているのでしょう。
宇宙の星座が変われば、宇宙から来る宇宙線も変わります。
太陽が上がったり、没すると、大気が変わります。季節が変われば、地球から受ける力も変わります。
夏には大気が上昇するため、地球から宇宙に向かうエネ〜ギーが多くなります。
反対に、冬は大気が下降するため、宇宙から地球にやって来るエネルギーをより強く受けます。
したがって夏には、上のほうにある表現や感情のチャクラが強くなり、
冬には理論的な決断力が強まり、またセックスのチャクラがもっと強くなりがちです。

すべての精神修練は口に集約される

このように、チャクラの線を流れる宇宙から来るエネルギーや地球から
上昇するエネルギーはたえず変わっていますが、もし、このエネルギーを全部、順調に受けていれば、
私たちは天地の動きとともに変わっていきます。
 天からのエネルギーは、頭頂のチャクラから私たちの体に入ってきます。
大地からのエネルギーは、下腹部のチャクラから私たちの体に入ってきます。
スパイラル状に渦巻きのエネルギーが入ってきて、次にチャクラの線に沿って、
上から下へ、下から上へと体のなかを貫いて流れます。
 チャクラの線は、ひと筋に間断なく続いてはいないのです。なぜでしょうか。
アーンと口を開けたときに、のどの奥にピョツと突起しているものがあります。
この突起は、ウブラ、あるいは軟口蓋垂といいます。
 天からやってきた宇宙波動が、そこから舌の奥のほうにエネルギーを伝えます。
大地から上がってきたものが、舌の奥に溝て舌を動かします。
 しかしこれらの波動は口腔にある空間で、直接には交流しません。
その空間を、時にはつなぎ、時には離すことによって、
宇宙から来るエネルギーや地球から来るエネルギーを調節しているのです。
 この口腔にある空間の断絶があるために、天と地のエネルギーがそのまま流れないのです。
どれだけ天の力を受け入れ、体のほうに流すか、
どれだけ地の気をとり入れて頭のほうに流すかを、口を操作することで変化させているのです。
どういう考え方や行動をするのかを、口によって操作しています。
 つまり人間の自由という問題の中心点は、口にあります。
呼吸、言葉、食物、飲み物を口で操作しています。
ある人は食物を五回しか噛まないが、ある人は一〇〇回噛むとします。
それによって体の状態が違ってきます。
ある人は話し、ある人は話さないことで人生が変わってきます。
ある人の呼吸は浅く、ある人の呼吸は深いということで、体や心の問題が変わってきます。
口をいかに使うかによって、日常のものの考え方や動き方が決まります。
 たとえば過去のことを考えるときに、どういうポーズをとりますか。
上を向いて思いだしますか。下を向いて思いだしますか。
 過去を考えるときは、ほとんどの人が上を向いています。
また悪いことをして先生に知られてしまったような場合、上を向いて先生に叱られる人はいません。
反省するときは下を向きます。
 下を向いて体を縮めるのは陽性化です。
体を陽性にすることによって、過去を想起することができます。
過去や記憶をよみがえらせるときは陽性です。
体を陰性にする砂糖ヤアルコールをとれば、記憶が弱くなります。
 逆に、海草類、ミネラルや塩気の強いもの、味噌汁をとると体が陽性になるので、
記憶が強くよみがえってくることが多いのです。
 記憶をよみがえらせようとするとき、過去の出来事を思いだそうとするとき
子どものころの出来事を思いだそうとするときは、口のなかで舌をどう動かしていますか。
 いずれも舌を口蓋上部につけています。そして舌を硬くします。
何かを一所懸命に思いだそうとするときは、舌を口蓋上部に強くつけて、固くします。
 それに対して、将来のことを考えるときはどうでしょう。上を向いて想起するものです。
舌は口蓋上部から離れ、軟らかくなります。口もちょっと開け気味になります。
ゆるんだ状態、すなわち陰性の状態です。
 こうした舌の使い方、口の開け方によって、ものの考え方が違ってきます。
どんなものを食べ、どんな飲み物を飲み、どんな噛み方をするかによって大きく変わってきます。
つまり自由を管理しているのは口なのです。ここでみなさんの人生が決まるのです。
 ヨーガや瞑想やいろいろな修行法では、呼吸法についてうるさくいいます。
また無言の行をしたり、話し方についてもやかましくいいます。
食物についても、もちろん精進料理などをはじめ、昔から食べ方についていろいろな教えがありました。
 人生をうまくコントロールして、人生を正しいものにしていこうとか、
人生を健康にしようとか、あるいは霊的に高めるなど、すべての精神修練は、
煎じっめると口に集約されます。
 みなさんは自由な人生を口で営んでいます。
時には天の秩序に反逆したり、地の秩序に反逆したりすることもあります。
少ししか食べてはいけないのに、たくさん食べていませんか。
寒い地域では熱帯性の果物は食べてはいけないのに、それを食べていませんか。
五〇回噛んだらいいのに、五回しか噛んでいませんか。
 要するに、口のマネジメント、営み、操作によって、健康になったり、病気になったり、
幸福になったり、不幸になったりしているのです。

天の気と地の気    帯5章一陰陽の法則は何を暗示しているか

 思想とかものの考え方は、宇宙から来るエネルギーを代表しています。
食物は地球のエネルギーを代表しています。
この二つのエネルギーはどういう形を持っているのでしょうか。
地球は自転をしていますから、遠心性が出てきます。
ちょうど独楽をまわすときの遠心力と同じです。赤道に近いところは、最も遠心性が強いのです。
そのため赤道に近いところで育つ植物は、大きく成長します。
ところが南極や北極では、天の力すなわち宇宙から来る力が強いのです。
植物の持つ遠心性の力は弱められて、大きく成長できないのです。
天から来る力は陽性の力、収縮する力です。
 それに対して地から来る力は陰性の力、拡散する力です。その二つの力が働きます。
地球は自転していますから、地の力は真っ直ぐに出て行かず、カーブして出ていきます。
 このとき、地球を北極側から眺めると、自転は反時計方向ですから、
遠心力は地球の自転とは逆方向に、時計まわりに出ていきます。
渦巻きをなして出ていくのです。すなわち地球から出る遠心力は、時計まわりの渦巻きです。
 逆に、天の力、宇宙から来る力は、真っ直ぐ中心に向かって入ってくるとき、
地球は反時計方向に自転していますから、自転と同じ方向に入ってきます。
この天から来る陽性の求心力は、反時計方向の渦巻きをもって入ってきます。
 地球上に発生しているあるゆる現象は、この二つの力によって成り立ち、
どちらか一つの力によって成り立っているものはありません。
森羅万象は陽性の力と陰性の力によって成り立っています。
天と地の力、あるいは求心性、遠心性といってもいいでしょう。
 極である地球と無限宇宙、この二つの極のあいだに作用する力。
天の力と地の力が、上下から、直立している人間に入ってきます。
天の力は反時計まわりに、地の力は時計まわりに、ともに渦巻きを措きながら交互に入ってきます。
 天の力が入ってきたときに、私たちは息を吐きます。地から入ってきたときに、息を吸
います。吐くときに天の力をとり入れ、吸うときに地の力をとり入れるのです。
 仙人の修行で呼吸法のなかには、足から呼吸して頭から出し、
頭から呼吸して足から出すという呼吸方法があります。
これは地から天に上昇するエネルギーを、
また天から地に下降するエネルギーを体内に十分にとり入れようとするものです。

陰陽に支配される生物界

 人間の体には、甲状腺と副甲状腺という二つの相反するホルモンがあります。
陽性の天の力が入ると、体が陽性になります。
天の力が入って息を吐くときは、副甲状腺のホルモンが出ます。
息を吸っているときは、甲状腺のホルモンが出ます。甲状腺と副甲状腺とは陰陽の関係にあります。
 性関係のホルモンでは、息を吐くときは陽性ですから、男性ホルモンが出ます。
吸うときには、女性ホルモンが出ます。 膵臓には二つのホルモンがあります。
インシュリンと反インシュリンです。インシュリンは血糖を下げ、反インシュリンは血糖を上げます。
息を吐いたときは、天の力を受けて陽性のインシュリンが、
息を吸ったときは、地の力を受けて陰性の反インシュリンが出ます。
そういうように、陰陽の関係が働いています。
地球上の森羅万象が、この二つの力を受けて成長しています。
 しかしなかには、陽のほうがより強いものや、陰のほうがより強いものもあります。
たとえば植物と動物とを比べると、植物は陰の力が強いといえます。
ただ、植物にも上から下へ伸びる根があ勺ますから、陽の力も受けています。
それに対して動物は、陽の力が強いのです。程度の差はあれ、陰の力も受けています。
 植物のなかにも、いろいろなものがあります。
大きく生えるバナナや榔子の木は、陰の力をずいぶん受けています。
が、ミズタガラシのように高くならない植物もあります。
あるいは人参や大根など、根が張るものは陰の力で葉もできますが、
陽の力が強く働いています。だから植物が陰性だといっても、いろいろと程度の差があります。
 その程度の差が大きいと、陰と陽とがお互いに引き合います
陽性の動物と、陰性の植物は引き合って、究極的には動物は植物を食べるわけです。
たとえばライオンが牛を食べても、その牛は結局、植物を食べています。
ですからライオンも間接的に植物を食べているわけです。

人体のエネルギー・スポット

 人間を眺めると、二つの種類に分けられます。
陽の力、すなわち求心的な宇宙エネルギーをより多くとる人を男性といい、
陰の力、すなわち遠心的な地球エネルギーをより多くとる人を女性といいます。
東洋では古来より、天の力は陽性、男性であり、地の力は陰性、女性といいます。 
この天の力と地の力が働いているかどうかを、簡単に見分ける方法を紹介しましょう。
まず爪切りを用意してください。これに裁縫に使う糸を通してください。
 この糸に吊した爪切りを、男性の頭の上に近づけてみてください。
ほとんどが時計とは逆まわりにまわります。これが天の力、陽性の力です。
 次に、女性の頭の上に近づけてみましょう。ほとんどが時計まわりになります。
これが地の力、陰性の力です。
 このとき、男性と女性が手を握ると、爪切りの回転が止まります。
これが男女の愛する現象です。無限の一つになろうとします。これを愛といいます。
 男性にも陰の力が働きますが、女性と比べて陽の力ほうが強いのです。
そのため男性の髭は下に向かいます。
天の力は頭頂の渦巻きの中心から入って、のどのほうに下降していきます。
そのとき、ウブラというものができます。これは天の気が入ってくる一つの極です。
頭頂を北極とすれば、南極に相当します。
 舌の根のほうに天のエネルギーが伝達して、のど、胸、お腹の部分にチャクラができます。
そして下方の極である下腹部には陰茎ができます。
のどのウブラの両脇には、渦巻きができます。下腹部の陰茎の両脇にも渦巻きができます。
のどのほうがアデノイドで、もう一方は皐丸です。
したがってアデノイドと皐丸とは、天の力(宇宙エネルギー)を蓄えているといえます。
 女性にも、もちろん天の力が入ってきます。
しかし上昇する地の力が男性よりも強いために、男性のような陰茎ができず、
小さなクリトリスというものができます。
そして強い地の力によって、穴が上に向かって開きます。
その延長線上の両側に、皐丸とは違う渦巻きができます。これが卵巣です。
 さらに上にあがって、胸に乳房ができます。
男性にも乳房がありますが、女性に比べれば小さいものです。
さらに上にきて、舌にそのエネルギーがチャージします。
だから女性 仰の舌は、男性の舌よりもよく動くのです。
 卵巣が左右に渦を巻いてできるように、舌の両側のわきに渦巻きができます。
それを扇桃腺といいます。卵巣と扁桃腺とは、地のエネルギーを蓄えているところです。
乳房にも地のエネルギーが蓄えられています。
 さらに頭部に上がると、髪の毛ができます。
そのため、一般には女性の髪の毛のほうが長いのです。
バレエ・ダンサーは、男性が女性を持ち上げますが、
これは女性の地の力を利用して持ち上げているのです。
これに対して能の舞は、男性の舞といえます。
 女性の構造は、時計まわりの渦巻きで、男性は逆の渦巻きの構造を持っています。
目に見えない構造で、精神構造、意識や心の動きといってもいいものです。

全身に分布する陰と陽

 先に見たように、男性は全体として天の気を受けています。
そこで今度は、右左の掌を開いて、その上に、糸に吊した爪切りを少し掌から離してあててみます。
 右掌は時計まわりですから地の力です。左掌は反時計まわりですから天の力です。
体の右半分は地の力・陰性がより強く上昇し、体の左半分は天の力・陽性がより強く下降します。
 さらに左手の指を調べてみると、親指は天の力で陽性、人差し指は地の力、中指は天の力です。
薬指は地の力、小指は天の力。指は、天、地、天、地、天。陽、陰、陽、陰、陽となっています。
 逆に、右手は全体としては地の力が強いです。親指は地、人差し指は天、中指は地、
薬指は天、小指は地です。全体としては地ですが、地、天、地、天、地となっています。
 右手と左手を合わせると、全体と1して右手は地、左手は天。
指ごとに天地、地天、天地、地天、天地となります。
男性と女性とが手を握ったときと同じように、男性が両手を合わせても、
糸に吊した爪切りがピタツと止まります。
 女性の場合もまったく同じです。女性は全体として、
地から上昇するエネルギーが男性より強いのですが、やはり天の下降するエネルギーをも受けています。
その二つのエネルギーの流れ方は、男性の場合と同じく、体の右側により地のエネルギーが強く上昇し、
左側に天のエネルギーがより強く下降します。
 男女とも、祈りや瞑想をするとき、また両手を合わせるとき、陽性と陰性のかたよりがなくなって、
天地一体、無限宇宙そのものとなります。

人間は 上から下に向かって伸びる 6章−この世とあの世の幸福のために

 みなさんは、指はどのように成長すると思われますか。
ほとんどの方が、指は伸びていくと思われるでしょうが、そうではありません。
 最初は指なしの手袋のようなものです。それが二つに割れて、親指ができます。
次に中指と薬指のあいだが割れ、さらに人差し指と中指、薬指と小指とが割れます。
そして指と指とのあいだの切れこみが深くなって、指ができていくのです。
つまり指は伸びるのではなく、縮まってできるのです。
 もちろん成長と同時に伸びますが、指はそのあいだが縮まってできたものです。
ですから縮まることがない場合に、水かきができます。
最近、水かきがついたまま生まれてくる子どもが増えていることが、それをあらわしています。
 それと同じように、顔は左右の側面が中央に向けて縮まってできます。
鼻の下にくつついた跡があります。これがくつつかないと、口唇裂になります。
あるいはロが大きくなります。最近、人びとの口が大きくなっています。
歌麿の絵に措かれている女性は口が小さいでしょう。
ヨーロッパのルネッサンス時代や、ギリシャ・ローマ時代の彫刻や絵画などを見ても、
口は小さいものです。それに対して最近の人は、ロが大きくなり、人相が変化しています。
 人間は、上下どちらから成長したのでしょうか。
ほとんどの人は、下から上に成長したと思っています。植物と同じように成長したと思っています。
植物は大地に根があって、上に伸びていきます。                          
 しかし人間は、そうではないのです。赤ん坊を見ると頭が大きいでしょう。
体は小さいですね。成長するにつれて頭も大きくなりますが、体のほうがもっと大きくなります。
つまり手足をふくめて、人間は上から下に向かって伸びているのです。
 植物にたとえると、人間の手足は枝葉で、胴体が幹です。頭が根です。
この根に向かって、太陽、銀河系宇宙、無限の世界から、波動という養分が送られてくるのです。

第1章一現代人の顔はこんなに変わった

観念の牢獄に苦しむ現代人
 現代人の顔の特徴をあげてみましょう。
 眉毛がつり上がって、眉根に縦じわがあらわれ、鼻は膨れ、三白眼で、
目の下はたるみ、口は異常に大きく、腫れたり色の悪い唇、小さくとがった耳、髪の毛の抜けた頭
……現代人は何と醜い顔をしていることでしょう。
 このような凄い顔をした人が、文明社会に育ち、最高の教育を受けた人びとのなかにも
かなり増えてきています。
肉、卵、乳製品、砂糖などをとりすぎ、顔にあらわれた症状を体の内部に抱えているのです。
なぜ、悪魔のような顔になってきたのでしょうか。原因はすべて食べ物にあります。
その根源には我欲、エゴ・セントリック(自己中心的)な考え方もあります。
肉食や動物性食を減らし、脂肪分の多いもの、砂糖をとるのを減らし、
農薬や化学薬品で栽培され、処理された食物をなるべく避けることです。

なぜ、牛乳が子どもの成長に悪いのか

戦後の日本では、どんどん牛乳を飲みましょうと教えられてきました。
ですからいきなり、「牛乳は子どもの成長に悪いから、飲むのをやめたほうがいい」と
いわれても、簡単には納得できないでしょう。
なぜ牛乳が子どもの成長に悪いのか、理解できないのも無理はありません。
戦後の日本の子どもたちが牛乳で大きく育ったのは事実ですが、
反面、抵抗力がなくなっているのです。
 じっは牛乳の成分は、人間の体では非常に利用しにくいのです。
牛乳は母乳に比べて、蛋白質や脂肪の細胞が大きいからです。
熱帯に住む黒人は、牛乳はほとんど利用できません。牛乳を飲むと、下痢をしたり発熱します。
吸収しにくく、吸収しても体内で利用されず、部分的に蓄積し、乳ガンなどの原因になります。
 そこまで病状が進むまでに、鼻にたまって蓄膿症になったり、
耳の内部にたまって聞こえなくなったり、気管支たまって喘息になったりします。
欧米や日本など、温帯地方に住んでいる人びとの多くが、
そうした事実を知らずに牛乳を飲んで、病気または不健康になっているケースが非常に多いのです。
 牛乳をとることによって、下痢、不消化、喘息、蓄膿症、女性のおりもの、肥満体、アトピー、
皮膚アレルギー、皮膚ガン、乳ガンなど、各種の病気が発生している場合が多いのです。
体内で使えないから、外へ排泄する過程で皮膚病になり、排泄できないと体内に蓄積して発病するのです。
 アメリカでもこうした牛乳の特性への理解が深まり、
豆腐や大豆からアイスクリームがつくられています。
しかしマクロビオティックの見地からいうと、
牛乳よりはいいでしょうが、豆乳も脂肪が多く、ミネラルが不足しています。
 いい豆乳をつくるには、昆布と一緒に炊いたり、
澱粉質を加えるために麦やハトムギを加える必要があります。
豆乳自体は、しばしば下痢などの原因になります。

食べる楽しみがなくなる?

日本の風土で暮らしていると、
それほどアメリカナイズされた食事をしていないのではないかと思われるかもしれませんが、
本当にそうでしょうか。
私がしばらくぶりに日本にもどり、街を歩いて観察してみると、大人も子どもも、
相当アメリカナイズされた食事をしているように思えます。
 みなさんのなかには、日本古来の伝統的な食べ方や食習慣を、
いまでも実践されている方がいらっしゃると思いますが、
戦後の一般的な傾向として、肉類、ミルク、砂糖、工業的に大量生産された食物、
化学肥料を使い、化学的に処理された食物を日常的にとっている人がかなり増えています。
食事に気をつけるのは当然としても、玄米、野菜、豆、海草などを主体にするのでは、
食べる楽しみがなくなると思われる方がかなりいることでしょう。
好きなものが食べられないのはいやだと思われるかもしれませんが、これはまったくの誤解です。
 マクロビオティック食は、粗食に見えるかもしれませんが、
実際には何千種類ものメニューがあります。
お好みによって工夫すれば、本当に楽しい食事ができます。
たとえば玄米ですが、これも普通に炊くだけはなく お粥 雑炊 おにぎり 五目飯
味付けご飯、栗飯、南瓜飯、粟飯、麦飯など、たくさんのメニューがあります。
茶碗で食べるだけでなく、西洋の皿に盛って演出すれば、まったく感じが変わります。
 味噌汁もお椀でなく、西洋のスープ皿とスプーンで食べるだけで、イメージが違ってきます。
数十年間実践してきた私のマクロビオティック食には、いろいろな食事の提案法があります。
みなさんが想像しているよりも、もっと楽しいものになるはずです。
 肉もミルクも入っていないマクロビオティック食のカロリーや栄養価などを
大学で分析研究してもらいましたが、何の問題もありませんでした。
蛋白質もまったく問題はありません。
アメリカの最新の栄養学の常識では、肉をとる必要はありません。適切に調合すれば、
穀物、野菜、豆類、海草、果物や種子類などを日常食として、少量の抽、塩、香辛料、甘
味、その他の調味料、お望みなら週一、二回の魚介類、月一、二回の動物性食をとること
によって、十分に健康を保てます。場合によっては、もっと健康になれます。要は、良識
ある判断力による組み合わせと調理の問題です。
 マクロビオティックの食べ方には、次の四つの段階があります。
 第一に、病気を克服する食べ方一です。これは、なぜガンが発生したかを理解し
でれを修正する食べ方をします。生活方法の改善や運動も必要です。
 第二に、社会活動をするための食べ方です。
人とのつき合いを円滑にするために、時には動物性のものやサラダ、果物、脂肪分、
香辛料なども多少は食べてもいいと、少し幅広い考え方をします。
 第三に、精神的、霊的進化を遂げる食べ方です。
玄米菜食を基本に、動物性をほとんどなくし、調理にも気をつかう必要があります。
 第四に、自由な食べ方です。本能・直観で食べます。
悪いものを食べても中和するようなものを体が求めて食べます。
悪いものは本能的に食べなくなります。
 これらすべてがマクロビオティックな食べ方です。
本人が自覚して、自分はどの段階の食べ方をしているのかに気がつけばいいのです。

現状を変える必要を感じないが…

 女性の読者のなかには、牛乳もチーズもケーキも大好きで食べているが、いまのところ
体に悪いところはないから、このままでいいという方もおられると思います。
 しかし現代の牛乳や砂糖を多用したアイスクリームなどの食物をしばしば食べていると、
数年先には何らかのアレルギーや乳ガン甘い物が好きな女性には、
砂糖のかわりに麦飴、米飴を使い、ミルクのかわりにごまや
その他の種子を使った油やバターで料理をしましょうと指導することが必要です。
 たとえば体は健康だが、生理痛がひどいという女性がよくいます。
本来、生理は痛いものではありません。
そういう方は、これから一カ月間、動物性の食物を控えてください。
そうすれば生理になっても痛くなくなります。
 何も一生、動物性の食事をやめる必要はありません。
原因が何であるかがわかれば、あとは自分で判断して食べるのを調節すればいいのです。
そこが宗教とマクロビオティツクとの違いです。
宗教はかくあるべしと教条的になりますが、
マクロビオティックでは個人の自由を一〇〇%尊重します。
 食べ方や生き方を修正するかどうかは、みなさんの自由です。修正して改善されたら、
その後も続けていくかどうかも、みなさんの自由なのです。