塩と料理の豆知識
○帝国ホテル料理顧問・村上信夫氏「私はいろいろな調味料があっても塩が無け れば料理を引き受けません、塩さえあれば他に何も無くても引き受けます。
○パスタ湯がきは塩味だけでもおいしいぐらいに、しつかり塩を効かせておかな
いと後からのソースの味と馴染まない。
○塩は水に入れてもすぐには溶けないが、覚醒剤はバッと溶けるのですぐ分かる。
○同じ白い粉でも覚醒剤や麻薬のような習慣性とは別次元のもの。塩は幾ら食べ
ても中毒にはならない。
○飲みなれない水で腹こわすことはあっても、食べつけない塩を食べて腹をこわ
すことはない。
○塩にほ真っ先にこだわりたいもの。
○良い塩を使わないと素材が生きない、生かされない、素材が泣く。
○優れた料理人ほ塩をてなづける
○良い素材、良い塩は素直だ、料理人を裏切らない。
○塩は料理と人体生理の要。
○塩が少ないと料理に重みがない。味の軽さと塩抜きとを混同している?
○塩は塩を呼ぶ(塩抜きに利用)。カズノコの塩抜き、カソピョウ、イカの皮む
ぎ、わかめの色出しも薄い塩水で。
○塩に勝る調味量は愛情と空腹。
○塩は味のメートル原器。
○料理が上手下手というのは塩使いが上手下手ということ。
○レストランで自然塩を使うことは社会的なイメージとステータスアップにつな
がる。
○塩代が嵩んで潰れたレストランはない。
○コックが恋をすると味が濃くなる(イタリア)
○塩振り3年。
○種蒔きも尺塩も手のひらが上向きで指の聞から落とす。
○JT塩は食器洗いぐらいにしか使えない。
○JT塩はさじ加減が難しい。
○塩は水に出会って活きる。水に溶かしてみれば味の違いが分かる。
○ミネラルウォーターは賓沢品、塩は必需品。
○塩が無ければ動物は死ぬが砂糖は無くても死なない。
○命=塩。生命力旺盛な人は塩を沢山食べる人。
○舌は極めて保守的なもの、子供の舌にしみこんだ味はノスタルジアとなってい
つまでも残る。おふくろの味。
○官能検査人ほ生まれたときからそのように育てられるのが理想的。
○魚の切り身は塩水で洗うと煮崩れしない。
○スーパーの塩鮭は塩が効かせてないから生臭くて食えない。魚や肉にドリップ
が残ると長持ちしない、臭い。塩が効いていれば骨までしゃぶってもおいしい。
淡水魚にほ独特の泥臭さがある。
○塩漬けサンマなど魚の臭みを取り身を締める。塩をタップり使ってドリップ
を抜く。
○昔の塩鮭は塩が吹き出したもの。
○魚肉には塩気が少ないから、味がない。醤油(塩分)をつけなければ食べられ
たものではない。体液中の塩分濃度=人間〇・九%、蛙・魚〇・七六%。魚肉
の方が塩分が少なく、塩気が感じられないから刺し身に醤油や塩が要る。
○アサリの砂出し‥アサリほ河口など塩分が比較的薄いところに住んでいるから
砂出しの塩水は二・〇〜二・五%ぐらいで十分。貝が浸かっていればよく、暗
い静かなところに置く。塩水を一メートル以上も飛ばすから囲いが要る。砂出
し済みを買って来ても念のためもう一度砂出しすることをお勧めします。
○卵を溶くとき塩を一つまみ入れると黄味と白味がムラ無く溶け合う。
○昔は「今夜はえらい喉が渇く」、「そう言えば今晩は御馳走を食べたわい」と
言ったもの
○コンニャク刺し身は塩を振って棒でたたいてから刺し身にする。
○糸ひき納豆ほ塩をかけてから醤油を香り付けにちょっとたらすとおいしい。
○塩は世界中の総ての酒に合う。飲ん兵衛への料理は塩を良く効かせること。酒
は陰性、塩は陽性で陰陽のバランスがとれ健康にも良い。枡酒、テキーラ、ソ
ルティドッグ、マルガリータ。
○氷を長保ち‥お刺し身の下に敷く氷を塩あべかわにすると長保ちする。
○ビールやワインを急いで冷やしたいときにクーラーの氷水に塩をがばっと入れ
るとマイナス七度ぐらいまですぐ下がる。氷枕、氷嚢なども氷が長持ち。
○塩にほんの少しニガリが居ると、塩味の角が取れてまろやか。
○塩を必要とする量は一回の食事(調理済み)のときに卓上塩を追加で振りかけ
るだけでも、体調によって三〜一〇gぐらいの個人差がある。
○塩で染み抜き‥寿司屋の白木のカウンターなどに醤油を落としたときには、す
ぐ塩を置いて濡れた布巾で擦る。乾いたら取れない。
○おこげが癌の原因物質なら、サンマの塩焼きを沢山食べていた江戸時代から昭
和の長屋の住民はみんな高血圧・成人病・癌になっていなければ話が合わない。
おこげスイッチの付いた自動炊飯器はガン製造機になる。女性は薄化粧、ご飯
は薄焦げに如かず。ジョギングして長生きするのなら、江戸時代の飛脚も新聞
配達もみんな長生きしたはず。
○昔からの農業では「田圃一反に対して塩を一合まく」と言われたり、海水を畑
へ撒いたもの。
○「お米を毎日食べましょう」と農協以下が大合唱しているが、はかばかしくな
い。米・塩・水が悪くてはご飯がおいしくない。お米・水・塩は毎日食べる月
月火水木金金。農業に下肥を使っていたころは糞便は塩分を含んだ有機肥料で、
土を分解して土壌菌を養い活性化して土が柔らかく力があった。稲も野菜も今
ほど脆弱ではなかったし美味しかった。今は農薬と化学肥料を使い品種改良と
いう名の変質で水、塩、土の三点セットも昔とは様変わりし、したがって野菜
も米・麦も変わった。戦前の米は粗のままで三年保存が出来たが、今は一年も
保たない。