よく「水を飲んでも、お茶を飲んでも太る」とぼやいている人がいらっしやいます。
西欧医学的には「摂取エネルギー」が 「消費エネルギー」を上回っているからこそ太る、と考えるので、
「肥満」は「食べすぎ」か「運動不足」かその両方かにより起こる、とされています。
よって、「水やお茶はノンカロリーなのでダイエットには全く支障がない」
どころか「水は新陳代謝をよくするので、ダイエット中のみならず日頃、大いに摂るべきだ」
などと水分の摂取を積極的にすすめる傾向さえあります。
しかし、体脂肪率は20~30%がふつうで、どんなに多くても40%台ですが、
人間の体内の水分は約60%もあります。
つまり、体重に一番影響を及ぼしているのが「水分」なのです。
だから巷には 「水を飲んでも、お茶を飲んでも太る」という人がいらっしやるわけです。
水をビニール袋に入れて、上から吊り下げると下方が膨らみますが、人間のからだも同じです。
水分は重力で下のほうへ移動していく傾向があるので、下半身デブ、大根足、下腹ポッン、二重アゴ……等々、
下方が膨らむのは、水の為せる業と考えてよいでしょう。
つまり「水太り」なのです。
水にはもうひとつの欠点があります。
「雨にぬれると冷える」、「風呂上がりにしっかり拭きとらないとからだが冷える」や
「冷却水」という言葉があるように、余分な水はからだを冷やす作用があるのです。
確かに、体内で行われるあらゆる反応はつきつめれば「水」と「熟」で行われています。
もちろん「水」は大切ですが、水が多すぎると
「熟を冷ます」のですから余分な水は代謝を阻害するという心配も出てくるわけです。
体温が1℃低下すると、代謝は約ほ%落ちるとされているので、
同じものを食べても体温が低い人は、太りやすいということになります。
逆に、体温が上がると代謝がよくなり、脂肪がよく燃え老廃物の排泄も促されて、やせやすくなるわけです。
本書「朝だけ塩りんごダイエット」はこれまでのダイエット本とは違い、
「カロリーの出し入れ」には委細かまわず、
①いかにして、体内の余分な水分(水太り)を汗や尿で排泄するか
②どのように体温を上げて(その結果代謝も上げ)、同じもの、同じ量を食べてもやせやすい体質にするか
の2点に重点を置き、「塩」「りんご」「しょうが」「紅茶」「ニンジンりんごジュース」…
などによるダイエット効果を、平易に説きました。
本書を読まれた方々が、ひとつでも、ふたつでもご自分に合ったダイエット法を実行され、
スリムな健康美をゲットしていただければと思います。
さて、太る原因は、水分の摂りすぎによる冷えだけではありません。
私たち現代人は 「食べすぎ」「栄養過剰」なのです。
前の晩、遅くまで飲食しても、翌日もしっかり朝昼晩と食事をしていませんか?
たいしてお腹がすいていないのに、時間がきたからとなんとなく食べていませんか?
食欲がないといううのは、からだがいらないといっているサイン。
人類の長い歴史は、干ばつ、氷河期、戦争、飢饉といった、「飢餓」 の連続でした。
人間は、食べるものがなく空腹状態でも、生命を維持する機能は持ち合わせているものの、
現代の食生活のような食べすぎに対処するメカニズムは働かないのです。
食べすぎで処理できなかった老廃物、余剰物が血液に入り込むと、
血液は汚れて流れが悪くなるので、からだが冷えてしまうのです。
でも、「朝食を食べないと活力がでない」とか「食べないとからだが冷える」と思われるでしょうが、
じつは、食べないほうがむしろからだが温まるのです。
食べ物が胃に入ると、消化、吸収を促進させるために、全身の血液が胃と小腸に集中します。
するとその間、ほかの臓器、組織、器官へ供給される血液量が少なくなります。
その結果、体熱を生み出す筋肉と脳への血流が減り、熟の産生量が減って、体温が下がってしまうのです。
逆に、胃に食べ物がなければ、脳にも筋肉にも十分な血液が流れるため、
体熱が作られ続けて体温が高くなるというわけです。
ただし、完全に朝食を抜いてしまうと、頭やからだがボーッとするというのは、
寝起きの状態から脳とからだが目覚めていないから。
脳や筋肉を働かすエネルギーは「糖」。
朝食をまったく食べないと、糖が脳に回らないので「低血糖状態」になつてしまうのです。
朝食を食べるということは、糖分補給なのです。
そこで、寝起きの胃腸に負担をかけず、朝からからだを温めて、
代謝もよくなる朝食メニューの代表が「塩りんご」なのです。
切ったりんご、もしくはすりおろしたりんごに、適量(おいしいと思う程度)の塩(粗塩)を振るだけ。
りんごはビタミン、ミネラルが豊富なうえ、脳の栄養素「糖」も十分に含まれています。
また塩にも、種々のミネラルが豊富に含まれているだけでなく(第3章参照)、
からだ温め効果と引き締め効果の両方が期待できます。
塩は高血圧や脳卒中の原因とされ、私たちの食生活の中でともすると敬遠されがちですが、
じつは、からだにとって欠かせない大切な食品なのです。
塩は食品として摂取するだけでなく、
タラソ・セラピー(種々の病気を海水や海岸の砂を使って治療する方法)にも使われるなど、
心身の健康にとても重要な役割をはたしているのです。
塩には新陳代謝を促して、体温を上げるという働きがあります(第3章参照)。
よって、塩分が不足すると体温が下がり、新陳代謝が悪くなるのでやせにくいからだに。
もちろん、過剰に摂取するのは考えものですが、「塩辛いものが食べたい」と思って食べる分には、
それは本能が望んでいることなので問題はないのです。
しっかりとした朝食を食べるかわりに、
消化のよい「塩りんご」にすれば、朝から脳もばっちり目覚め、胃腸への負担も軽くなる分代謝が上がり、
からだも温まって、やせ体質のサイクルにうまく乗れるというわけです。
●恐怖の血液ドロドロ状態
このように水分の摂りすぎなどで体温が低下すると、代謝が低くなってやせにくくなります。
しかし、恐ろしいことに、血液の流れにも悪影響を及ぼすのです。
「血液の循環が悪くなる」-水が冷えると氷になるように、
からだが冷えることによって血管が硬くなり、流れが滞ってしまうのです。
血液は、人間のからだを作る約60兆個の細胞に栄養や酸素、水分、免疫物質などを運び、
その機能を維持しています。
ほかにも全身を巡りながら、
各器官の細胞から出た老廃物を肺や腎臓などの解毒器官に運んで体外に排泄する働きがあります。
もし、血液の循環が悪くなると、全身に必要な栄養が届かず、老廃物もきちんと排泄することができません。
すると、血液中に汚れがたまって血液ドロドロ状態に。この状態を、漢方医学では「瘀血」といいます。
瘀血の「瘀」には、「滞る」という意味があり、
瘀血とは「血の滞った状態」、つまり血液の循環の悪い状態を意味します。
瘀血は西洋医学でいうならば、静脈系の血行不順といえるでしょう。
瘀血は、肩こりや頭痛、めまい、のぼせ、耳鳴り、情緒不安、不眠、手足の冷え、生理不順、生理痛などといった、いわゆる「不定愁訴」を引き起こし、つらい症状に悩んでいる女性が多いのです。
赤ら顔、目の下のくま、吹き出物なども瘀血が原因です。
●下半身の冷え
つまり、瘀血は体調を悪くするだけでなく、美容にとっても大敵なのです。
瘀血が生じる原因としては、まずはからだの「冷え」。
とりわけ、下半身の冷えは瘀血の大きな原因となります。
下半身が冷えると、下半身の血や熟や気が、上半身に向かって上昇していきます。
血や熟や気の下からの突き上げは、心臓の拍動を必要以上に強くします。
同じく肺も、下半身からの突き上げで、何となく息苦しくなります。
血や熱や気の突き上げは、顔のほてりや発疹、吐き気や咳、口内炎なども引き起こします。
突き上げが頭まで上がってくると、せきたてられるような不安・焦燥感におそわれ、不眠の原因にもなります。
こういった精神的なストレスは、美容にも大きなダメージを与えます。
下半身の冷えの大きな原因として、水分の摂りすぎや排泄不足があげられますが、
水分を摂りすぎると、下半身に水がたまり下半身デブや大根足、下肢のむくみを引き起こすことは、
いうまでもありません。
雨に濡れるとからだが冷えるように、水があるところは冷えやすく、瘀血の原因になるというわけです。
さらに運動不足も下半身の冷えの原因にあげられます。
人間のからだの熱の約40%は、運動や労働をすることによる筋肉運動から生じます。
からだの筋肉の70%以上は腰から下にあるので
運動不足になると特に下半身の産熱量が減り、下肢が冷えてくるのです。
つまり、水分の摂りすぎに注意し、下半身を中心とした適度な運動をすれば、
下半身の冷えを防ぐことができます。
冷えがなくなれば瘀血も生じなくなるので、血液がスムーズに流れ出し老廃物も排泄され、
お風呂上がりのようなみずみずしく若々しい美肌になるのです。
冷えがなくなればむくみも解消されるので、下肢もすっきりするというわけです。
その昔、クレオパトラは、その実しさを保つため、センナを愛用して便秘を解消した、といわれています。
からだが冷えて瘀血が生じると、老廃物がきちんと体外に排泄されず、いろんな不調を引き起こします。
女性が悩む〝便秘″もそのひとつ。からだが冷えると腸も冷え、腸の働きが悪くなるのです。
便秘になると、腸内の老廃物、余剰物が血液内に吸収されて血液を汚すし、
血液の流れも悪くなるため体内の余分な水分や老廃物も排泄されにくくなります。
肌荒れや肥満の原因になるだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす高脂血症や大腸ガンの原因にも。
たかが便秘ではすまされないのです。
便秘解消のために水や牛乳をたくさん飲む、生野菜から繊維を摂る、
果物(とくに南方産のバナナやパイナップルなど)を食べることを積極的に心がけている人も多いでしょう。
でもじつは逆効果になってしまうことがあるのです。
これらの食べ物(陰性食品、第2章参照)は腸を冷やし、かえって腸の働きを悪くしてしまうからです。
食べ続けて便秘が解消したとしても、それは単にお腹をこわした結果。
根本的な便秘の解決にはなっていません。
便秘を改善するためには、「塩リンゴ」などの腸を温める食品を食べ、腸の力を強めてあげましょう。
そのうえで、食物繊維を摂って老廃物を排泄することが大切です。
便通がいつもある人に、まず肥満体の人はいません。
毎日、便を大量に出すということは、毎日、老廃物をたくさん排泄するということ。
ダイエットには欠かせない要因となっています。
また、便と一緒に余分な水分も排泄されますから、水太りも解消されます。
一般に 「ダイエット食品」といわれるものは、緩下作用をもつものがほとんどです。
しかし、大貴やセンナなど強い緩下作用をもつものを安易に用いると、健康をそこなうこともあります。
健康的に便通をよくするためには、腸を冷やす食品はできるだけ避け、
食物繊維の多い、しかも腸を温める食品を積極的に摂るようにしましょう。
たとえば海藻類、豆類、ごま、ごぼうなどです。
もちろん食物繊維の豊富なりんごと、からだを温める塩を組み合わせた「塩りんご」もおすすめです。
食物繊維は腸の中で、余分なコレステロールや脂肪と結びついて、便とともにからだの外に出してくれます。
よって、高脂血症や肥満を防いでくれるのです。
そのほか腹筋運動や軽い運動、お腹のマッサージで腸の働きをよくすることも効果的です。
しかし、何といっても大事なのは腸を冷やさないようにすることです。
水太りの人は腸の中にも水分が多く腸が冷えていて、働きがにぷくなっています。
水太りのため、からだ全体の体温が下がれば腸内の温度もさらに下がり、機能は落ちます。
そうなると、便秘が起こるのです。このような人に冷たい牛乳を飲ませても効きません。
むしろ、サウナや温泉で腸を温めるほうが効果的です。
私が推奨する塩りんごやニンジンりんごジュース、しようが紅茶の愛用者に、体重が減ったという方が多いのは、
りんごに含まれるカリウムの利尿作用で、排尿量が多くなることのほかにも腸内の温度が上がり、
腸の働きが活発になって便通がよくなるからです。まさに、水太りで便秘の方におすすめのダイエット法です。
からだを冷やさないためには、食べ方にも大切なポイントがあります。
ひと言でいえばからだを温める食べ物とは、「やせる食べ物」なのです。
2000年も前から、漢方医学では、すべての事象を陰と陽に分けて考えてきました。
食べ物も、からだを温める食品(陽性食品)と、からだを冷やす食品(陰性食品)に、
体質も「温かい体質」と「冷える体質」とに厳然と区別してきたのです。
したがって、陽性体質の人は陰性食品を、陰性体質の人は陽性食品を食べると、
からだのバランスがとれて健康になれるというのが漢方医学の考え方なのです。
ところが、水太りで冷え性体質の人が、
からだを冷やす陰性食品をたくさん摂れば、ますます体が冷えてむくんでしまします。
代謝が悪くなり、やせにくくなるだけでなく、
「冷え」からくる女性特有のからだの不調や病気を引き起こす可能性もでてきます。
これでは健康的に美しくやせるどころの話ではありません。
冷え性の陰性体質の人が、陽性食品を意識的に摂らなくてはいけない理由がここにあるのです。
また、同じカロリーでも、陽性食品のほうが脂肪や老廃物を燃焼させる効果が大きいので、
ダイエットにより適しています。冷え性体質の人は、ぜひ積極的に陽性食品を摂りましょう。
食品の見分け方はとても簡単。
・ひとつめのポイントは 「色」 です。
からだを温める陽性食品は、黒・赤・だいだい・黄というように暖色系の濃い色をしています。
・一方、からだを冷やす陰性食品は青・緑・白などの寒色系です。
また食品の中には、からだを温めも冷やしもしない間性食品というものがあります。
黄色やうす茶色をした食品で、どんな体質の人が食べても健康になれる食品です。
玄米やいも類といった主食のほかに、りんごがこれに含まれます。
・もうひとつは、「産地」。寒いところでとれる食べ物はからだを温めます。
一方、暑いところでとれるバナナやパイナップルなどは、
体を冷やすたてべものなので、ダイエットには向いてません。
なお、私たちが住んでいる温帯地方では、夏にとれる食べ物を陰性食品、
冬にとれる食べ物を陽性食品と考えればよいわけです。
ここで注意したいのが、色よりも産地が優先されるということ。
コーヒーやトマトは暖色系の食べ物ですが、南方産なので、からだを冷やす食べ物の部類に入るのです。
女性の肥満の多くが水太りが原因と考えれば、効果的なダイエットのためには、
できるだけ陽性食品を多く摂るように心がけましょう。
また、塩もからだを温めるすぐれた作用をもつ食品です。
寒い地方の人々が、塩けのきいたものを多く食べ、血圧を上げてからだを温めてきたことからもわかります。
また、冷え性の人が、塩分の多いものを好んで食べる傾向があるのも本能的なものなのです。
むしろ、ダイエットでは、塩分を制限せず適度に摂取することで、からだを温めることが大切です。
余分な塩分は、運動をしたり、利尿効果の高いカリウムをたくさん含むりんごを食べて、
からだの外に排泄すればよいのです。
このように見てみると、
塩とリンゴを組み合わせる「塩りんご」は、ミネラルを補給しながら体を温め、
余分な塩分も排泄してくれる理想的なダイエット方法なのです。
上手にダイエットをするには「水分の摂りすぎ」と「冷え」に気をつければいいわけですが、
そのうえで、「きれいに」やせられればもう言うことなしです。
「体脂肪を落としてきれいにやせる」が今どきのダイエットの主流です。
「きれい」というのは、外見的には肌のハリやみずみずしさ、引き締まったボディーなどですが、
じつは、からだの中からきれいになることがとても大切なのです。
「ダイエットでやせたけど、なんだか肌がパサパサして……」
「やせたらしわが目立って、急に老けたような気がする」
これではせっかく努力したダイエットも台無しです。
ダイエットは単にやせればよいというものではありません
いかに健康的に若々しくやせられるかということも大切なポイントなです。
女性の若さは、美醜が決めるわけではありません。
若さを決定づけるもの、それは「全身がうるおってみずみずしいかどうか」なのです。
人間のからだの水分含有量は、生まれたばかりの乳児では70%もあるのに、
3~5歳では早くも65%に、さらに成人で60%、老人になると55%にまで減ります。
つまり、老化とはからだがだんだん干からびていくことなのです。
私たちのからだは、約60兆個の細胞でできています。
それらすべての細胞がみずみずしければ、いつまでも健康的な若さをアピールできるわけです。
そのためには、細胞内の水分を一定量以上、保持する必要があるわけです。
うるおいのある肌、弾力性のある筋肉、丈夫な骨や内臓を作るためには、
細胞内に水分を十分にため込む能力、つまり 「保水性」が大切なのです。
「それならば水をたくさん飲めばいいのね」
もうここまで読まれた方ならおわかりですね。
若さを保つコツはあくまで細胞内に水分を保つ「保水性」であって、「多水性」ではないのです。
水をたくさん摂りすぎると、細胞と細胞の間に水たまりむくみを生じ、
体を冷やしてかえって若さを阻害してしまいます。
「むくみ」や「水太り」の原因となる水の摂りすぎが、じつは若さをじゃまする「水毒」でもあるのです。
今までのダイエット方法の多くが、摂取カロリーを減らすか消費力ロリーを増やすかを中心に考えられていました。
でも漢方医学では、「冷え」と「水」を取り去ることがダイエットに大切な要素だと考えられています。
甘いものを食べても太らない「やせやすい人」と
水を飲んでも太ってしまう「太りやすい人」の差が出るのもこのためです。
太る原因はカロリーの問題だけではないのです。
本書ではこれから、「冷え」「体質に合った食べ物」「からだを温める工夫」といつた観点から、
「簡単で、無理しない」「長続きしやすい」「リバウンドしない」「きれいにやせられる」・・・
「塩りんご」ダイエットをご紹介していきます。
まずは、基本のからだを温める塩りんごやしょうが紅茶からニンジンりんごジュース、
同時に、手軽に室内でできる運動や血行がよくなる入浴法を紹介します。
「リバウンドなしにきれいにやせられる」だけでなく、
花粉症や生理不順、アトピー症状が改善した、肌がきれいになったといったうれしい効果も期待できます。
さあ、これから「リバウンドなしのやせ体質」を手に入れるべく、「体質改善ダイエット」を始めましょう!
漢方では、森羅万象が「陰」と「陽」で成り立っていると考えます。
もちろん人間の体質も「陰」と「陽」に分けられます。
そして、私たちのからだは陰でも陽でもない「間性」の状態になろうとする本能がもともと働いているのです。
その際に、「体質に合った食べ物を摂れば、より本来の健康な状態に近づくことができる」
いうのが、漢方の陰陽の考えです。
何をどのように食べるかで健康にも大きな影響がでてくるとなれば、おろそかにできません。
漢方の「陰」には「陽」を組み合わせるという基本的な考え方をべ-スに「体質に合った食べ物を摂る」ことが、
病気治療や健康維持、ひいてはダイエットにも非常に大切なのです。
陰性体質の人は、一般的に色白で細いか、ぽっちゃり水太りタイプの冷え性の女性に多く見られます。
一方、陽性体質の人は太っていても固太りタイプです。
たとえば「陰性体質」である「冷え」体質の人が、
からだを冷やす作用の強い「陰性食品」をたくさん摂れば、「冷え」はますます促進され不調をきたします。
暑がりの 陽性体質」の人が、からだを温める作用の強い「陽性食品」を多量に摂ると、
からだは熟過剰・栄養過剰に陥ります。
そこで「陰性体質」の人は「陽性食品」でからだを温め、
「陽性体質」の人は「陰性食品」でからだの熟をとればからだが自然と「間性体質」になり、
健康になるというわけです。
「やせる漢方薬を処方してください」と私のクリニックを訪れる女性の方たちは、
みなさん黒っぼい洋服を着ています。
「黒」がからだを引き締めてやせて見えるということを知っていらっしゃるからでしょう。
しかし、そうした方の中には、
お茶やジュース、ケーキやパン、グレープフルーツといったものが大好きな方が多いものです。
漢方では「相似の理論」という考え方があります。
簡単にいうと、「外見が似ているものは、性質も似ている」ということです。
「パンやケーキなど、フワーツとしたものを食べると、フワーツとしたからだつきになる」
「果物や清涼飲料水など、水分の多いものばかり食べると、水太りになる」
「白米や白砂糖など、白っぽいものばかり食べると、からだが白くふくれる」
……つまり人間のからだは、食べたものと同じ形(相似)になるわけです。
ぽっちゃりした人が黒い洋服を着ると、からだが引き締まってスマートに見えるのですから、
同じように黒い色の引き締まった食品(陽性食品)を、しつかり食べて陰性食品を控えれば、必ずやせられるのです。
太った女性に限らず、どちらかというとやせ型の女性でも、
たるみのない引き締まったからだと若々しさを目指すのであれば、
ぜひ普段の食事にも陽性食品をたくさん取り入れてみてください。
「陰性体質」で普段から「陰性食品」を大量に食べる食生活をしている人は要注意です。
健康になりたい、やせてきれいになりたいというのであれば、
意識してからだを温める 「陽性食品」 を食べるようにしましょう。
ちなみに、「陰性食品」をしっかり摂るべきなのは、
「ずんぐりむっくりで赤ら顔の、頭のうすい高血圧のおじさん」に代表される、「陽性体質」 の人だけです。
ここでは「陰性食品」と 「陽性食品」 の見分け方のポイントを簡単に説明します。
①色
黒、赤、だいだいなどの暖色系の食べ物は、「陽性」
青、緑、白などの寒色系の食べ物は、「陰性」
というのが、見分け方の基本です。
肉や魚はほとんどが赤い色をしているので陽性食品。
同じごまでも、黒ごまは陽性度が高く、白ごまは陽性度が低くなります。
色の黒い根菜類は陽性、色の白いきゆうり、レタス、もやしなどは陰性で、
とくに、現代人の食生活で多く摂取される牛乳、豆腐、白パン、白砂糖、マヨネーズといった白い食材は、
ほとんどが陰性食品です。
②締まっているかどうか
水分が少なく「締まっている」ものは陽性、水分が多くフワーツとやわらかいものは陰性というふうに見分けます。そばやスパゲティはかたく締まっていますから陽性、やわらかく水分の多いうどんは陰性になります。
水分の多い牛乳はそのままだと陰性食品ですが、水分を取り除き熟を加え、
かたい状態になったチーズは陽性食品となります。
キャベツもかたく巻いているのでからだを温める食品です。
③産地
熱帯地方の人たちは、からだを冷やす食べ物を摂ってからだを冷やす必要があります。
反対に、寒い地方の人たちには、からだを温める食べ物が欠かせません。
こういった理由から、熱帯地方でとれる食材には、からだを冷やす陰性食品が多く、
寒い地方でとれる食材にはからだを温める陽性食品が多くなります。
一般に太陽に向かって伸びるバナナやココナツなどは陰性食品です。
それ自体が冷えているので、宇宙で一番 「熱い」太陽に向かって成長すると考えられます。
逆に太陽と反対の地下に向かって伸びる根菜類は、
色が黒くなくても(だいこん、玉ねぎなど)陽性食品といえるのです。
よって、バナナやマンゴー、パイナップルなどの両国産の果物、南米原産のトマトやインド原産のきゅうり、
暑い国に欠かせない香辛料やコーヒー、カレーなどスパイスのきいた食べ物は陰性食品に分類されるので、
食べすぎには注意です。
④塩がきいているかどうか
からだを温める食品の筆頭にあげられるのが「塩」です。
梅干し、みそ、しようゆ、佃煮、めんたいこ、干物、漬物など、
日本に古くからある塩分の多い食品は、全て陽性食品なのです。
東北地方などの寒い地域の人ほど、塩分の多い食べ物をたくさん摂ります。
塩分には血圧を上げる働きがありますから、
昔から東北地方の人たちは塩けの多いものをたくさん食べることで血圧を上げてからだを温めてきたのです。
また水分の多い野菜に塩を振るとしんなりやわらかくなるように、塩には水分を外へ出す力があります。
つまり、「水太り」を改善する作用があるのです。
ここ50年くらい高血圧や脳卒中を引き起こす原因として、塩分の摂りすぎばかりが問題視され、
減塩の必要性があちこちで説かれています。
しかし、からだが要求する塩を極端に減らせば、ダイエットの敵「冷え」を防ぐことができません。
からだを温めるためにも、適度な塩分摂取はむしろダイエットには必要なのです。
すべては 「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」です。
もうひとつ食べ物には、陽性食品と陰性食品のほかに、陰にも陽にも属さない「問性食品」というものもあります。色でいえば、黄色やうすい茶色をしたものがこれにあたります。
玄米、黒パン、あわ、きび、ひえ、大豆、いも類、とうもろこし、りんごなどですが、
間性食品には、いわゆる「主食」として私たちが日々食べているものがたくさんあります。
誰が食べてもよい 「間性食品」ですから、毎日の食事にはぜひ取り入れていきましょう。
「間性食品+陽性食品」という組み合わせで毎日のメニューが体質改善ダイエットメニューに変わります。
もちろん 「塩りんご」もこの組み合わせです。
でも、「大好きな食べ物が陰性食品ばかりだわ」とガツクリきていらっしやる方も大丈夫。
陰性食品でも、ひと工夫で陽性食品に変えることはできるのです。
それは、
・熟を加える(妙める、煮る)
・塩を加える(漬物にする、塩を振って食べる)
の2つ。コーヒーも、からだ温め効果の高いシナモンを加えて飲めば、からだを冷やす作用が緩和されます。
また、すいか、トマト、きゅうりなどの陰性食品は、塩を振ると陽性になります。
陰性食品をどうしても食べたいというときは、こうした工夫をしてみるのがおすすめです。
健康なからだを作るには、「歯の形に合った食生活をする」ことも重要なポイントです。
人間の歯は、20本が穀物用の臼歯、8本が果物・野菜用の門歯、残り4本が肉食用の犬歯。
つまり、穀物を約60%、果物・野菜・海藻類を約20~30%、
肉・魚類を約10%の割合で食べるというのがもっともバランスのよい食べ方なのです。
動物性タンパク質を摂取すると、血液は酸性に傾くので、それを中和するために、
骨などからは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが引き出されます。
そうなると、からだ中のミネラルが不足するので、食べ物が欲しくなるわけですが、
不足したミネラルだけではなく、すでに過剰となったタンパク質、糖、脂肪までも余計に摂るという悪循環の結果、
かえって太ってしまうのです。
肉や魚などは、1日1000g以下に抑え、炭水化物はしっかり摂りましょう。
冷えたからだを温め、からだの余分な水分を排泄し、水太りを解消するには、陽性食品を摂るのが効果的です。
その陽性食品の代表といえる 〝塩″。でも塩は高血圧や脳卒中といった病気の原因とされたり、
スーパーでも、減塩しょうゆや減塩みそなどがずらりと並んで宣伝されているのをみると、
何となく 「あまり摂りすぎないほうがいいのかしら」と思ったりしませんか。
でもじつは、「むしろほしいだけしっかり摂るべき食品」なのです。
〝塩からい食べ物を食べたい″ というのは、本能(=自然治癒力)がからだを温めて代謝を上げて、
脂肪を燃やそうとしている反応なのです。
古代口-マ、ギリシャ時代は、「おいしいものこそ健康によい」と考えられており、
その代表がsal(塩)だったので、ラテン語(イタリア語、フランス語、スペイン語の祖語)では
「健康」をsalusと言うのです。生野菜に塩をかけて食べていたのでsaladと言い、
口ーマの兵士の給料は塩で支払われていたのでsalaryという言葉ができたわけです。
日本でも平安時代、官吏の給料が塩で支払われていたことからしても、
塩が私たちにとって、とても身近でからだにとっても大切なものであることがわかります。
先の高血圧や脳卒中が東北地方に多かったのも「寒さ」「運動不足」によるからだの冷え(低体温)が
原因だった可能性も十分にあります。
逆に、塩分をきちんと摂って、からだを温めることで高血圧が改善したケースもたくさんあります。
塩には老廃物や脂肪、糖などの余剰物を排泄、燃焼させ、体温を上げる働きがあります。
そのうえ、引き締め効果もあるとなると、
問性食品のりんごと組み合わせる「塩りんご」は理想的なダイエット方法といえるのです。
ただし、摂りすぎた塩分を、体内にそのままためておくのはよくありません。
運動で汗をかいたり、
ニンジンりんごジュース(りんごには塩分を体外に出す作用のあるカリウムがたくさん含まれています〉を飲んで、
余分な塩を排泄するように心がけましょう。
海水には、食塩(塩化ナトリウム)のほかにも、人体が必要とする約100種類のミネラルが含まれています。
ミネラル(mine〉は「鉱物」のことで、もともとは 土の中の成分」という意味です。
「死ぬと土に還る」 というのは、この体内のミネラルが土に還ることなのです。
人体に含まれるミネラルは約3也。そのうち約80%が骨の成分です。
生命と健康のために毎日摂らなければならない 「必須ミネラル」のうち、
食事からたくさん摂取しなければならないものを「主要ミネラル」といいます。
カルシウム、リン、カリウム、イオウ、塩素、ナトリウム、マグネシウムの7種類で、
これらは海水から作られる「にがり」や「自然塩」にバランスよく含まれています。
ミネラルは微量でも、生命の維持・増進に大切な働きをしているのです。
精製塩には微量のミネラルしか含まれていないので、自然塩(粗塩)や岩塩がよいでしょう。
近頃は、外国のものも含めて、さまざまな種類の塩が簡単に手に入るようになったので、
気に入った味の塩を見つける楽しみもあるでしょう。
●朝食と排泄の関係
私たち現代人は、夜明けとともに起きて農作業をしていた時代とは違い、不規則な生活を強いられがちです。
遅い夕食や深夜の飲酒、慢性的な睡眠不足といった生活をしていると、起きてすぐ食欲があるはずもありません。
せっかく睡眠中に休んでいた胃腸に無理に食べ物を入れるのは、からだにとって決してよいことではないのです。
朝は老廃物を排泄する時間帯。
寝ている間というものは、短い「断食」をしている状態そのものです。
よって、朝は吐く息が臭い、目ヤ二や鼻汁がたまっている、尿の色が濃い……
などの本格的な断食と同じような排泄現象が旺盛なわけです。
ところが、朝食を食べることによって、逆に排泄の機能がじゃまされてしまうのです。
なぜならば、腎臓や大腸などの解毒・排泄器官のために使われるはずの血液が、
消化・吸収に使われてしまうと、
腎臓や大腸の排泄機能が低下しからだの中にどんどん老廃物や毒素などの汚れがたまってしまうのです。
「吸収は排泄を阻害する」という人間のからだの摂理からすれば、老廃物や毒素をどんどん外へ出すためには
食べない時間も必要なのです。
「塩りんご」とは読んで字のごとく、生のりんご すりおろしたものでも)に適量の塩を振るだけ。
この「塩りんご」にニンジンりんごジュースやしょうが紅茶を組み合わせて代謝アップ、
体温上昇をはかるのが 「塩りんご組み合わせダイエット」です。
朝、胃腸に負担をかけない 「塩りんご組み合わせダイエット」をすれば、
消化・吸収器官への血液供給が少なくてすみ、
血液が、人体最大の産熟器官である筋肉や肝臓、脳などのほかの部分に優先的に使われて、
体温が上がるというわけです。
●免疫力もアップ!
体温が1℃上がるだけで、代謝は約ほ%も高くなります。
消費力ロリーの60~70%は、何もしなくても消費される基礎代謝ですから、代
謝が12%高まるということは、ものを食べて何もしなくても「12%やせる」ということなのです。
体温が上昇すれば、代謝が高くなり、もうおわかりですね、冷えと水太りが解消されるというわけです。
「塩りんご組み合わせダイエット」は、単に1日の摂取カロリーを減らすだけではありません。
「痩せやすいリバウンド知らずの体質」を作る方法でもあるのです。
代謝アップで老廃物が排泄されれば、細胞内の保水性も高まり、
いつの間にかみずみずしい肌が起るといった具合に、いいことずくめです。
また、体温が上がることで新陳代謝も高まり、血の巡りが良くなるなど、
血液中の白血球の働きが活発になり免疫力がアップするため風邪などもひきにくくなります。
体温が平熱より1℃上昇すると、免疫力は5~6倍もアップするとされています。
反対に、体温が平熱の36・5℃より1℃下がると免疫力は30%以上低下してしまいます。
健康のためにも、からだを温めることはとても大切なのです。
老廃物を出すには、寝ている間の「断食」状態をうまく利用する。
やせる!病気が治る!石原式「朝だけ断食」
ではこれから、やせ体質作りに効果的な「組み合わせ」を紹介します。
どれも手軽で簡単にできるので、面倒くさがりの人にもぴったりです。
塩+りんご
まずは基本の「塩りんご」。塩には、体を温め、引き締める効果があります。
りんごと組み合わせ、朝食の代わりに摂れば快適な一日のスタートです。
脳と細胞を動かす唯一の栄養素は糖分です。
朝、糖分をまったく摂らないと、糖分が脳に回らず頭がボーッとしてしまいますが、
ビタミン、ミネラル、果糖などをバランスよく含むりんごは強い味方。
最近話題の 「塩キャラメル」や「ソルトクッキー」は、甘さの中にほんのり塩けがきいているところが、
おいしさの秘密ではないでしょうか。
それと同じく、りんごの甘さの中にちょっと塩の味がするのも、なかなかおつなものです。
もちろん「塩りんご」に振る塩は、各種ミネラル豊富な自然塩がおすすめです。
振りかける量は、おいしいと感じる程度で。
朝、食欲がなく、りんごを固形のまま食べたくなければ、すりおろし塩りんごでも大丈夫。
ニンジンりんごジュース+塩
ニンジンも多くのビタミン、ミネラル、そしてファぜ秒針蒐力鼎豊です。
栄養的にバランスのとれたニンジンりんごジュースをそのまま飲んでも、
また塩と組み合わせても、朝から胃腸に負担をかけず、からだを温め代謝をアップし、
老廃物の排泄を促してくれます。
もちろん、糖分も含まれているので、朝から脳もばっちり働きます。
とくに、肌がカサカサ乾燥気味の人、貧血の人にはおすすめのジュースです(作り方は77ページ参照)。
朝、「塩りんご」と交互に摂れば、飽きずに長く続けられるでしょう。
でも、ジュースはからだを冷やすのでは? と心配になるかもしれませんが、
ニンジンは陽性食品、りんごは問性食品なので、
これに超陽性食品の塩を加えるとからだを温める組み合わせとしては最高です。
本書を読まれて、これまでのダイエット本とは違い、摂取力ロリーや消費力ロリーなどはさして気にかけず、
からだを温め、余分な水分を汗や尿で体外へ排泄することこそ、
ダイエットに最も大切であることがおわかりいただけたと思います。
ダイエットのみならず、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、フワーツとした感じ、
生理不順、生理痛などの不定愁訴的な症状から、
種々の病気に至るまでのあらゆる不調を予防・改善するのにも大いに役立ちもします。
今、話題のメタポリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、高脂血症、高血糖(糖尿病)、
高血圧をはじめ心臓病や脳卒中を惹起しやすいことが知られています。
しかし、「肥満」は、こうしたメタボ以外にもその他ありとあらゆる病気の温床になるし、
また、女性にとっては肌あれ、吹き出物、くすみ、しみ……等々美容の大敵ともなるのです。
からだを引き締め、血液を浄化し、
さらにはラテン語の健康を意味するsalusの語源にもなった「塩」(ラテン語のsalは塩の意)。
「1日1個のりんごは医者を遠ざける」という英語の諺もあるほどの「りんご」。
欧米の自然療法病院では必ず用いられ、人体に必要なビタミン(約30種)、
ミネラル(約100種)をほとんど含む、超健康野菜の「ニンジン」。
我々が使う医療用漢方薬約150種類のうち、70%に生薬として用いられている「しょうが」。
からだを温め、強心・利尿作用を有し、
最近ではインフル工ンザウイルスを抑える作用もあることがわかってきた「紅茶」……等々を用いた、
まさに画期的な 「novel diet(新ダイエット)」をぜひともお試しになり、
輝ける 「健・美・体」を得ていただければと切に願っています。
「腎」の機能を高めて、乾燥をストップさせる「不老飲料」
漢方では、「相似の理論」という考え方がある。人間の下半身は植物の根にあたり、地面の上に出ている菓や茎、花は上半身にあたるという考えだ。したがって下半身、「腎」を強くするには植物の根、つまり根菜類を補うべしと4000年も前から伝えられてきた。根菜類の中でも、ニンジンはこれから述べるように「体を温める色」の暖色をしており、体に余計な水分がたまって、全身が冷えている人にはもっともおすすめの食材といえる。漢方の生薬の中でも、朝鮮人参やエゾウコギなどの「根の生薬」は、大病によって極度に弱った状態から回復する際、あるいは虚弱体質や老衰の人のために処方されてきた。エネルギーにあふれた人のことを「馬力がある」というが、馬の好物はなんといってもニンジンだ。鼻先にニンジンをぶら下げれば、全速力で追いかける……などという逸話にも事欠かないが、馬力の原動力が「ニンジン」というのはなかなか真理をつく表現である。今日から実践一全身がみずみずしくなる食べ物、日常生活法「ニンジン・リンゴ・塩ジュース」 に入るリンゴは、北方産で赤い色をしており、くだものの中でも体を冷やす心配のない食材だ。さらに、塩を加えることで、前章で説明したように、より強力な「水分コントロール」を可能にした。
「ニンジン・リンゴ・塩ジュース」の効果は、西洋医学から見てもお墨つきである。
30年ほど前、私が難病治療で高名であったスイスのベンナ一病院へ勉強に行った時、もっとも驚いたのが、患者が毎朝ニンジン・リンゴジュースだけを飲んでいることだった。この病院では、1897年の創立以来、肉や卵、牛乳などの動物性食品は食べさせずに、黒パンや野菜、漬物、岩塩、ハチミツなどの自然食やさまざまな物理療法で
難病・奇病の治療に実績をあげていた。その中でも、毎朝のニンジン・リンゴジュースは食事療法の中心だった。当時の院長、ブラシユ博士は、
「このジュースには、体に必要なビタミン・ミネラル (約-30種) がすべて含まれている」と説明してくれた。
いわばベスト・ミネラル野菜であるニンジンと、ニンジンほどではないものの豊富なビタミンやミネラルを含み、なにより:ンジンの匂いをほどよく中和して味を調えるリンゴは、配合の妙としかいいようのない組み合わせだ。私自身も、ベンナ一病院で「ニンジン・リンゴジュース」を知って以来、毎朝欠かさずに飲んでいる。非常においしいばかりか、それまで悩んでいた下痢もピタリと止まった。以来、365日休むことなく働いて現在まで、自慢ではないが体はピンピン、肌もピカピカである。このように微量栄養素をくまなく含み、ビタミン・ミネラルバランス抜群の飲料である「ニンジン・リンゴジュース」ではあるが、まれに「胃のむかつき」や「冷え」を感じる人がいる。長年の臨床経験から、こうした例は体の中に余分な水分がたまって全身が乾燥している人に多いことが明らかになつている。体中の水たまりが邪魔をして、スムーズな吸収を妨げているのである。そこで、前述したように塩を加え、細胞への吸収力を一段と高めたのが、この「ニンジン・リンゴ・塩ジュース」というわけだ。東洋医学、西洋医学どちらの立場から見ても、「腎」からはじまる若返りには最適の飲料である。
老化は体の乾燥が原因だった 石原結實著
加齢とともに下肢・腰の筋力が低下し、下半身が細くなると腰痛、ひざの痛み、下肢の冷え、
むくみなどに加えて、インポテンツなどの老化現象もあらわれる。
これらは典型的な「腎虚」である。腎虚の症状はこのように「下半身」にまつわるものが多い。
細胞に吸収されずに余った水分が、重力の関係で、下へ下へと落ち、ヘソの下方付近にたまる。
ちょうどそこに位置する臓器が、腎臓や生殖器などの「腎」にあたる。
その結果、たまった水分によって「腎」は冷やされ、働きが衰えていくのだが、
そのとき、同時に「腎」にあたる腎臓、副腎、泌尿・生殖器の細胞は猛烈な勢いで乾燥している。
「腎」が弱体化して「ひからびた海綿体化」してしまったら、インポテンツになつても仕方がない。
同じことは、女性についてもあてはまる。 同様の原理で、潤い不足が生じるのだ。
まさに「乾燥」がセックスの悩みに通じるゆえんである。
八味地黄丸という漢方薬は、こうした「腎虚」に効力があるとされているが、
先に述べた「乾燥が原因で起こる糖尿病」にも効果があるといわれている。
そもそも糖尿病にかかると、インポテンツになるというのはよく知られている。
インポテンツも糖尿病も、根本の部分では、同じメカニズムによってあらわれた症状であることの証左であろう。
「腎」を強化し、乾燥を防ぐためには何より下半身の筋力を高めることと、
下半身を温めることが肝要である。
たらふく食べている先進国では子供が減り、飢餓線上をさまよっている民族に子供が急増しています
食べ物と精力・性欲は反比例するようです。
セックスは塩分を物凄く消費するから
腎虚になります。
減塩奨励が少子化傾向を助長していないでしょうか
腎臓病や心臓病など陰性の病気に対しては塩は身体を温めるから十分取るべき食物です
夫の性欲を増すために婦人が夫に塩を振りかけている
はじめに
私が医師になつた一九七〇年代の中頃、日本の医師の数は約一〇万人でした。その頃は医師不足が叫ばれていましたが、その後、新規に医大がどんどん開設され、今では二六万人ものお医者さんがいます。 その間、医学は長足の進歩をとげ、エコー、CT、MRIなどの医療機器で、患者に苦痛を与えず、体内の病気を発見できるようになりました。血液検査でも、新しく発見されたホルモンや物質、腫瘍マーカーなどによって、体内で起きているさまざまな病的変化を把握することができるようになりました。 それにもかかわらず、ガンや膠原病など自己免疫疾患と称される「難病」をはじめ、さまざまな「原因不明」の病気がどんどん増えています。今や、年間に三〇兆円もの医療費を使いながら、病気はいっこうに減る気配はありません。「医学が発達」しているのに、なぜ、病気の数が増え、国家予算の三分の一以上にあたる医療費を使っても、病人の数を減らすことができないのでしょうか。それは、現代医学が発達しているといっても、その中身は「診断学」の発達であり、「治療」についてはおおよそ、対症療法に終始しているからなのです。ガンが発見されると、ほとんどの場合、手術、放射線あるいは抗ガン剤で、摘出したり焼却・消滅させるという治療法がとられます。
確かに、ガン腫は、その臓器そのものの働きを阻害したり、周辺の臓器を圧迫したりします。
また、患部が出血しやすくなることもあるので、そうした治療法が悪いとは言えません。
しかし、ガンの患部を取り去っただけで、ガンの原因を取ったわけではないのです。
だからこそ、同じ生活習慣を続けると、ガンが再発したり、転移することが多いわけです。
その点、東洋医学では、「万病一元、血液の汚れから(生ず)」として、
血液を浄化して病気を治そうとする立場をとります。
この血液を汚す最大の原因は「食べすぎ」と「冷え」です。
そのことは、炎症性疾患(風邪、肺炎、腸炎、勝胱炎など)やガンなどさまざまな病気にかった時、
「食欲不振」と「発熱」が生ずることからもよくわかります。
野生の動物は、死ぬまで元気に過ごします。
私が大好きな山歩きをしている時も、「心筋梗塞」でうずくまっているキツネを見たことはないし
脳卒中で半身不随のタヌキに行き合ったこともありません。
また、寝たきりイタチなどもいません。野生の動物は、たとえ病気をしたり、ケガをしても、食を断ち(熟も出し)じっとして治す術を知っているからです。
「世界の二人の名医」というべき、「食欲不振」と「発熱」を日常の健康生活に応川したのが、
本署に書いた石原式「朝だけ断食」です。
現代人は、食べすぎで病気になつています。
たとえば高脂血症・脂肪肝(過剰物質=脂肪)、高血圧(同=塩分)、高尿酸血症=痛風(同=尿酸・プリン体)
糖尿病=高血糖(同=糖分)、乳ガン・卵巣ガン・子宮頚ガン(同=コレステロール1女性ホルモン)
前立腺ガン(同=コレステロール1男性ホルモン)等々……。
人類三〇〇万年の歴史は、まさに飢餓との闘いの歴史でした。
我々の体は、飢餓に対してはいかようにも対処できるのですが、過食には慣れていません。
おなかも空かないのに、時間が来たからと習慣的に胃の中に何かを詰め込むという食生活が、
飽食を生み、その結果、先に述べた生活習慣病という形で表れてきていると考えてよいでしょう。
ぜひ「朝だけ断食」を始められてください。
空腹の心地よさを悟られると、日頃の心身の不調やちょっとした病気なら、雲散霧消していくはずです。
多くの先人たちによって、その効能が明らかにされてきた断食療法ですが、
では、断食はどうしてさまざまな病気を治癒させることができるのでしょう。
それを理解するために、まず、なぜ人は病気を患うのかを考えてみましょう。
東洋医学に「万病一元、血液の汚れから(生ず)」という考え方があることは、先にもふれました。
すべての病気は血液の汚れが原因である、という意味です。
人体は、およそ六〇兆個の細胞からできていますが、
これらの細胞を養うのは、いうまでもなく私たちが食べる食物によってです。
その食物が口から入った後を追ってみると、胃と腸で消化され、栄養分として血液に吸収されて、
体中の細胞へ運ばれます。これを取り込んだ細胞は、代謝活動の結果できた老廃物を血液に戻します。
そしてこの老廃物はまた血液によって運ばれ、腎臓から尿として、また、肺から呼気(吐く息)として捨てられることになります。もし、この老廃物が体外に排出されなかったらどうなるでしょうか。
当然ながら、血液はどんどん汚れていきます。そうしたことが起きる、代表的な病気に腎不全があります。
慢性腎炎や糖尿病性腎症などで腎機能が低下し、尿として老廃物が排出されなくなった結果、
血液中に尿素窒素やクレアチニンなどが多くなった状態のことです。悪化すると、尿毒症に陥ります。
尿毒症の症状は、食欲不振、吐き気などの消化器症状に始まり、むくみ、高血圧、不整脈、
うっ血性心不全、肺水腫などの循環・呼吸器症状、さらには痙撃、昏睡、
意識障害などの中枢神経障害、運動障害、知覚障害などの末梢神経障害など、全身に及びます。
血液中には、こうしたすでに明らかになつている老廃物のほかにも、
さまざまな老廃物が存在しており、血液の汚れの原因となつています。また本来、血液中に常に存在しなければならない成分が過剰になった状態も、血液の汚れと考えることができます。
つまり、コレステロール、中性脂肪、糖、タンパク、尿酸、赤血球などの成分の過剰が、
西洋医学でいう、高脂血症(動脈硬化1脳血栓・心筋梗塞)、高血糖症(糖尿病)、
高タンパク血症、高尿酸血症(痛風)、多血症(脳血栓・心筋梗塞)などを引き起こします。
このように、体内の老廃物や血液中の過剰な成分は、尿毒症ほど強烈でなくとも、
血液の汚れとなつて、体の細胞や臓器を徐々に傷害していくことになります。
「万病一元」とは、このことです。病気の原因が血液の汚れであったことがよくわかります。
では、血液はどうして汚れてしまうのでしょう。その原因を順次、見ていきます。
これもくり返し述べてきましたが、血液を汚す原因の第一にあげるべきは「過食」 です。
テレビの動物番組などで見るライオンを思い出してください。
満腹のときは、そばを獲物が通っても知らん顔をしています。 空腹でもないのに、気晴らしや味覚という楽しみのために、食べ物に手を伸ばすのは人間だけではないでしょうか。
特に物が豊富なうえ、すっかり便利になつた現代では、お金さえ出せばファストフード店や
コンビニエンスストアなどで、いつでも、どこででも食べ物が手に入ります。
そのため、大人も子どもも、食事時間に関係なく、スナック菓子やインスタント食品、レトルト食品、
ファストフード類など、口当たりのよさだけの食べ物を食べ続けています。
口当たりのよい食べ物の材料といえば、どうしても、玄米よりも白米、黒パンよりも白パン、
黒砂糖よりも白砂糖と、精白された食物になります。
これに、肉、卵、牛乳、バターなどの欧米食が加えられます。
どれも柔らかく、胃腸に負担のかからない、消化のよいものばかりです。
しかし、消化のよいものは、満腹感もなかなか得られず、これがますます過食に拍車をかけることになります。
それに、消化のよい食物というのは、一方で食物繊維などもあまり含まれていない、
排泄の悪い食物ということでもあります。
排泄されなかった食物は宿便となり、腸内で腐敗して有毒物質を発生させることになります。
その結果、血液は細胞や神経を侵す毒素や老廃物でどんどん汚されていくことになります。
また、精白された白砂糖は、それだけ糖として純化されており、
消化吸収を経て血液中に取り込まれるのも速いので、急激な血糖値の上昇をもたらすことにもなります。
その結果、すい臓からインスリンが大量分泌され、そのために逆に血糖が下がってきます。
血圧や体温などを見れば想像できることですが、体内の諸条件の急激な変動は体によいわけがありません。
なかには、血糖値の急激な変動の精神への影響を心配する研究者もいます。
近頃の若者が「キレる」原因が低血糖だというのです。
過食と並んで問題なのが「食い違い」です。
食性に合った正しい食物を食べていないことも、血液を汚す大きな要因です。
人間も動物も、なにが正しい食物であるかは、歯の形で決まっているのです。
陸上動物でもっとも体が大きく、体重は六〇〇〇kgもある象は草しか食べません。
牛肉や牛乳を提供してくれる牛もそうです。平べったい草食用の歯しか持っていないからです。
その草食動物である牛に、羊の肉と骨の粉末を与えたことで、脳がスポンジ状になるBSE(狂牛病)が発生し、
世間を騒がせる結果となりました。
反対にライオンやトラは、尖った歯しか持っていないため、草は食べられないので肉だけを食べます。
そこで、雑食動物である人間の歯を見てみると、三二本のうち、六二・五%に当たる二〇本が穀物用の臼歯です。
そして八本(二五%)が野菜・くだもの・海藻などを食べるのに適した門歯、
四本(一二・五%)のみが肉魚用の犬歯という割合です。
つまり、人間は食物の九〇%近くを、穀物や野菜などの植物性の食品をとるようにできているわけです。
昔の日本人の食生活は、ほぼこれに近いものでした。
ところが、戦後、一九六〇年頃を境に急激に変化してきたのです。
現在の食生活を、戦後間もない一九五〇年と比べると、
肉の摂取量は約九倍、卵が七倍、牛乳・乳製品が一九倍と激増。
反対に、米、いも類の摂取量はほぼ半分に減少しています。
これは、戦後という時代の中で、伝統的な文化や生活習慣を捨て、
新しげな「栄養学」などという、私から見れば「おかしな学問」を信奉した結果です。
この「栄養学」がなにを基盤に作られたかといえば、野菜やくだものがほとんどとれず、
やむなく狩猟によって得られる肉を食べるようになつたヨーロッパ人の食習慣なのです。
気候が温暖なため農作物がよく育ち、海産物にも恵まれた日本で、なぜそんな必要があったでしょう。
六〇年代以降、肉や卵、乳製品を食べ過ぎるという「食い違い」が食習慣に浸透した結果、日本人の血液は、
血液中の成分の過不足(主に過剰)や老廃物の増加を引き起こし、汚れがひどくなっていきました。
ガン、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、痛風、脂肪肝などの生活習慣病が激増した原因は、まさにこのためなのです。
運動不足でも汚れた血液が溜まる運動不足が体に悪いことは誰でも知っていることです。
運動不足に陥ると、筋肉を使わないせいで体温が低下し、血流も悪くなります。
すると、血液中の老廃物の燃焼や、発汗や利尿による排泄も悪くなって、当然ながら血液は汚れてきます。
血液は、心臓がポンプのように収縮する力で押し出され、動脈を通って体中の細胞に酸素や水、
栄養などを届け、細胞から老廃物を受け取って、また心臓に戻ってきます。しかし、静脈を通って戻るときには、心臓のような動力がありません。そこで代わりに働いているのが筋肉なのです。
筋肉と静脈と神経は、ほとんど一体となって体中に配置されています。
そして、筋肉が運動によって収縮したり、弛緩したりすると、血管が圧迫されたり、開放されたりして、
血液を送り返す力となっているのです。
ちなみに、肩こりや筋肉痛が起きるのも、運動などで血液中に生じた疲労物質が、
不自然な筋肉の緊張によって血流が悪化して一個所に溜まってしまったとき、
近くの神経を刺激して痛みとなるわけです。
だから、指圧やマッサージなどで筋肉の緊張がほぐれて血流が改善されると、
疲労物質が流れ去って痛みも消えることになります。
また、体の中で下半身は、全体の七〇%にあたる筋肉があり、それを養うだけの大量の血液が必要です。
そのうえ、心臓から遠く、また低い位置にあるため、よけいに血液が滞留し
やすい条件にあります。
これを解消するには、歩くことがもっとも効果的です。歩いて脚部や足の裏の筋肉を働かせてやれば、
全体の七〇%の筋肉が滞留した血液をどんどん心臓に向かって送ってくれます。
「老化は足腰から」とか、「足の裏は第二の心臓」などといわれるのも、そうしたことからなのです。
西洋医学的にも、一日一万歩以上歩くと、善玉のHDLコレステロールが増加して、
動脈硬化の予防に役立つことがわかっています。
また、散歩や運動によって体温が上昇すると、
細菌や体内の老廃物を会食処理する白血球の働きも活発になり、血液の浄化も進みます。
転勤や転職、人間関係のトラブル、近親者との死別、忙しさからくる精神疲労、肉体疲労、病気、寒さ、暑さ…
私たちの生活にはストレスの種が尽きません。
ストレスは、心や体がさまざまな刺激に適応しょうとする反応であり、よくゴムボールに例えられます。
ボールに圧力を加えるとへこみますが、力を抜くと反発力で元へ戻ります。
ところが、圧力が限界を越えると、元へ戻る力を失ってしぼんだままになってしまいます。
ストレスが限界を越えると、人間の体にも同じょうなことが起こります。
ストレスが発生すると、副腎髄質からアドレナリンというホ~モンが釦され、血管は収縮し、血圧が上昇します。
また、副腎皮質から分泌されるコーチゾ~というホルモンは、
白血球の表であるリンパ球を溶解させ、免疫力を低下させます。
活動的であるべき富をこのような緊張状態で過ごしたとしても、夜になって休息に入り、
深い安眠をとりさえすれば、血管も弛検し、免疫力も回復するので、心臓や消化警ど内臓の疲労もとれ、
血液中の老廃物も浄化されて、翌朝には体調は回復しています。
しかし、夜も眠れないほどの緊張が長く続いたりすると、自律神経の働きが乱れて、
正常な状態に戻ることができなくなり、血圧は1がりっばなしで、血液も浄化できなくなって、
高血圧や感染症を引き起こすことになります。
このほか、ストレスは血液中のコレステロールや尿酸、赤血球を増加させて、高脂血症や痛風、
血液中の血栓(脳梗塞や心筋梗塞の原因)の発生などを起こしやすくすることもわかっています。
いずれも、血液の汚れといえます。
「冷え」という考え方はもともと東洋医学のもので、西洋医学にはありません。
その、「冷え」も、血液を汚す原因となります。 人間の体のあらゆる臓器は体温で動かされています。
外傷を負っていなくとも死ぬことがあるように、「冷え」頑強な若者でも、
冬山で遭難すると、は生命を危機に陥れる力を持っています。
冬になると、風邪や肺炎、高血圧、脳卒中、心筋梗塞など、
明らかに「冷え」に関係した病気が起きやすくなります。
また冬には、ガン、腎臓病、膠原痛など、あらゆる病気の死亡率も高まります。
一方、一日のうちで、もっとも気温や体温の低くなる午前三時から五時の間が、もっとも
死亡率が高い時間帯であることも、よく知られた事実です。喘息や異型狭心症の発作、
アトピーのかゆみがひどくなるのもこの時間帯です。
どんな病気も、きれいな血液が十分に回ってくれば、どんどん回復していくものですが、
「冷え」は血管を収縮させ、血流を悪化させるので、各細胞や臓器に十分な酸素や水、栄養物質が届けられなくなります。また、平常体温で代謝、燃焼されていた栄養物質や老廃物が、しつかりと処理されなくなり、血液も汚れてきます。
そうしたことが、病著さらに悪化させ、すでに悪化しているものは死に至ることにもなるわけです。
血液を清浄に保つという意味で、「冷え」は大敵といえましょう。
また現代は、大気汚染、水質汚染、土壌汚染、食品汚警ど、環境から食物までが有害物質で汚染されています。
水道の水には、消毒用の塩素や、塩素が水の中の有機物と合成されてできる発ガン物質トリハロメタンが含まれていますし、野菜にはダイオキシンや残留農薬、インスタント食品などの調理済みの食品には
化学調味料や添加物が数えきれないほど入っています。
そのほとんどは、自然には存在しなかった人工的な物質です。
これらの有害物質は、最終的には血液中に吸収され、血液を汚すことになります。
そして、始末の悪いことに、その中には体の持つ処理能力では無害化したり、
排出ることができないものも多く、それらは体内に蓄積されてしまいます。
こうして、過食や食い違い、運動不足、ストレス、冷えなど、さまざまな理由から血液は汚れていきます。
すると、私たちの体は種々の反応を起こして、なんとかこれを正常に戻そうとします。
そこで働くのが、私たちの体に備わった病気を治そうとする働き=自然治癒力なのです。