Tokyo DD Clinic 医院長 内海聡先生のfacebookより 抜粋
ジョゼフ・マーコラの水記事を要約
ボトルウォーターに関して、さまざまなことが言われている。
水道水より健康に良い、ビタミン補給ができる、
実は水道水と変わらない、非常に環境負荷が高い、などなど。
水については矛盾した情報が錯綜していて、混乱を招きがちだ。
環境への影響
ピュアなイメージの裏に隠そうとしても、そうはいかない。
ボトルウォーターは、環境を破壊する。
毎日、6700万本もの水のボトルが廃棄されている。
水のボトルはたった10%しかリサイクルされていないのだから、
膨大な無駄といえるだろう。
リサイクルは良いことという印象があるが、実際は手間や費用がかさみ、
天然資源も消費するため、必ずしも生態系にとって最善の手段とはいえない。
それに、使用済みボトルを「リサイクル」と書かれたゴミ箱に
放り込んだからといって、リサイクルできるとは限らない。
そしてもう一つの問題は、
プラスティックやガラスのボトルという重い荷物を、
スーパーや自宅、オフィスまで輸送するために必要になる大量の燃料だ。
また、アメリカにおいてボトルウォーターの約40%は、水道水と変わらない!と
いうことは、避けているつもりだった水道水の化学物質に加え、
ボトルのプラスティックに由来する化学物質まで摂取してしまっている可能性がある。
プラスティックボトルから水を飲むことにより、
あなたと家族の健康は深刻な健康リスクにさらされる。いくつか例をあげてみよう。
ボトルウォーターは、これまで信じ込まされてきたような、
健康的な選択肢ではないとおわかりいただけるだろう。
プラスティックがほとんどのボトルウォーターの抱える問題であることは
言うまでもない。
家庭などで浄水器を通した水、さらには汲みあげたままの湧き水であっても、
飲む時までプラスティックの容器で保管すれば、その害が及ぶことになる。
水の容器に最適なのはガラスである。
プラスティック容器を使うと化学物質に曝露される可能性があるからだ。
「おいしい水」健康法―体質を変える水の不思議 高橋由美子著
生命のカギを握っている水″ 地球は水の星と呼ばれています。そして水こそが、生命をはぐくむみなもとだと考えられているのです。 たとえば私たちの太陽系。いちばん内側の水星から冥王星まで、地球の空気とはちがっていても、大気≠ニ名づけられる気体をもっている惑星はあるようです。太陽光線も、かすかだとはいえ最外周の冥王星を照らしています。 ところが、水が、気体、液体、固体の三つの形体で存在するのは、地球だけなのです。そして生命は、この地球の上にだけ存在しているのです。さらに話を宇宙全体に広げてみても、数十億という確認された星々のなかで、このようなかたちで水のある天体はほかにひとつもないようなのです。もちろん、宇宙人はおろか原始的な微生物ですら、いまのところどこにも発見されていません。 もしかすると、生命の根本的なカギを握っているかもしれない水。この本は、そうした水の、不思議な、秘められた、そして圧倒的な力≠ノついてお話しする本です。
まず、いくつかの興味深い「 ? 」のことを述べてみます。
ちょっと遠まわりかもしれませんが、生命の謎に関連することですから、みなさんも考えてみてください。
はじめは、一九六三年ソ連の生物学者エドワード・ナウモフ博士が行なった実験。
親ウサギと子ウサギ数匹を、別々なところに引き離しました。
親ウサギは、ソ連本土の研究所に飼っておきます。
子ウサギは潜水艦に乗せて、遠い海の中へ連れていきました。
親ウサギのほうは、脳波などの生理的な変化を測定できるようにしておきます。
そしてはるかな海によってへだてられた潜水艦の中で、子ウサギを一匹ずつ殺していきました。
すると子ウサギが殺されるたびに、地上の親ウサギは明らかに大脳生理的な反応を示したというのです。
どういうことでしょう?
人間にもじつは、同じような事例があるといわれていますね。
「胸さわぎ」などがそうで、ふだんの生活では考えられないような体験が、身近な肉親の死によって生じたりします。
多くの人がもっていると思われるこんな実体験ですが、はたして今の近代科学で解明しきれているでしょうか。
なぜウサギにも、人間にも、こんなことが起こるのでしょう?
これが最初の「?」です。
二番目は、『百番目のサル』というタイトルで本が日本でも翻訳されている有名な研究です。
日本の幸島(九州束岸)で、一匹の革新的なサルが、とんでもないことを始めました。
それまでまったくサルの習慣になかったのに、イモを突如として海水で洗って食べたのです。
それを見ていた他のサルが、まねをしてやはりイモを洗って食べました。
そして次々にこの新しい習慣が広まっていき、ついに一〇〇匹目のサルに達したとき、
驚くべきことが起こったのです。
なんと、海をへだてた別の島々のサルたちも、いっせいにイモを海で洗い始めたのです。
そしてまるで大昔からそうであったかのように、どのサルも海水で洗ったイモを食べ始めました。
通信手段もない離れ島まで、その日サルたちはどうやってこの方法を伝えたのでしょうか。
一〇〇匹という数を超えることで、何か量的変化から質的変化へ移ったのでしょうか。
食塩などをある条件下で水に溶かしていくと、その量が臨界点を超えたとたんに、
こらえきれなくなっていっせいに結晶化する、という事実があります。
そんなことが、まるでサルの精神≠フ世界に起こったようなのです。
やはりここでも、似たような体験をおもちの方は多いはずです。「以心伝心」というものです。
ちょうど電話をしようと思っていた人から連絡が入ってきたり、
ひさしぶりに昔のことを思い出していたら、旧友から手紙が届いたり。
「マーフィの鏡の原理」のように、科学的には証明される以前でありながら、
すでに経済・経営などのビジネス面で積極的に活用されている例もあります。
それは、「こちらが好感をいだいている人は、相手もこぢらに好感をもってくれている。
逆になんとなく気まずく思う相手は、こちらに対してもそう思っている」という原理で、
確実に手ごたえのある実践法としてすでに年数を経ています。
三番目の「?」として、次の例をごいっしょに考えていただきたいと思います。
ひと粒の種子を植えるとします。
トマトでも朝顔でも、菩提樹のような巨木でも、なんでもけっこうです。
ご自分の好きな種子を土に埋めることを想像してみてください。
日本のふつうの自然の土地でしたら、それほどむずかしい条件がそろわなくても、
種子は芽を出し、根を張り、茎が伸び、開花してその植物としての成長をとげていくはずです。
なぜなのでしょう。
科学者の説明する成分や構造式のことではありません。
なぜこのように生命がはぐくまれるのでしょうか、といった素朴でしかも大きな質問なのです。
ハイポ二カというトマトの巨木の実験は、私たちにとって驚きでした。
種子を植えれば、それがあたりまえのようにして開花し実をつけると考えている私たちに、
ハイポニカをつくった野澤重雄さんの言葉は重大な問いを投げかけてくれます。
「その植物をとり扱う側の心によって、どの程度の実りになるか左右される」
ごくふつうのトマトの種ひと粒から、一万二〇〇〇個の実を成らせた巨木をつくった、
その実体験をふまえてのお言葉なのです。
このことはつまり「トマトという植物の種子が無限に伸びる力をもっている」という考えで対応するとき、
種子はそれに呼応し反応する、という意味なのでしょう。
あるいは別の言葉でいえば、ひと粒の種子の背後に巨木をつくりあげる大きな生命力がある、という信念。
もちろん野澤さんのお考えの大前提には、自然法別に対する真撃な、二十五年にも及ぶご研究があること、
そして宇宙の不動の真理に対するご尊敬の念をもたれていること、
こうした点についてはいうまでもありません。
さて、以上お話しした三つの「?」。じつはこれを「?」にしているのは、科学者たちなのです。
むしろ科学者以外の多くの人々は、こうした事実を自分の経験と照らし合わせ、
「そんなこともあるだろう」「うーん、そうにちがいない」などと納得されているはずです。
この科学的最先端″ の時代にあって、ますますそうした人がふえていることを、私は身近に感じています。
たとえば、ニューサイエンスというトレンドがあります。
先ほどのサルの研究者でもある、『生命潮流』という本を書いたL・ワトソンなどが有名ですが、
彼らの共通点は、「垣根をとっぱらう」という考え方です。
植物学とか実験心理学などの狭い専門分野にとじこもることなく、
それらをふまえた哲学、心理学、生物学、そして精神界そのものを大きくトータルに学んできた人々。
つまり「生命って何だろう?」という全体的な問題に、正面から真剣にとりくんできた人人です。
彼らにとっては、先の三つの「?」など疑問でもなんでもありません。
「当然のこと」として受けとめるはずです。
これに対して、従来どおりのシステマティックな科学の枠内で考える人にとっては、
「そんなバカな、非科学的な」となります。
両者の距離がますます広がりつつあるのが現代、といえそうです。
生命をトータルに考える人々のことを、ニューエイジ″と呼んだりもします。
もちろんエイジといっても、年齢のことではありません。
六〇年代に始まり、七〇年代に展開し、八〇年代に決定的に変化してきた時代の流れを的確にとらえて、
生きる使命を自覚している人々のことをさす言葉です。
アメリカでもヨーロッパでも、世界中の人々が、あらゆる分野でそんなニューエイジ≠ニして、
活躍しっつあるのです。
ある意味で、科学や技術の台頭とひきかえに失われてきた部分、
たとえば「宇宙の真理」としかいいようのない部分を、再度見つめなおす時代がやってきた、
といえるのではないでしょうか。
三つの「?」を考えるとき、生命における一種の「共鳴現象」ということに思いが至ります。
「共生」といいかえてよいかもしれないこの現象の、じつは媒介として「水」が働いているのではないか。
しかしこの点についてはあとでゆっくり考えるとして、
ともかくもちょっとしたヒントになりそうなエピソードを、ここでご紹介しておきたいと思います。
最近アメリカで、次のような水の研究がすすんでいるのです。
バイオスペクトロニクス研究所のリー・H・ロレンツエン博士は、
水をコピーの触媒として用いることに成功しました。
どういうことかというと、たとえば痛みどめの薬があるとします。
この薬を、特殊な機械を通して水にコピー″させるのです。
その結果、外観や味はまったくふつうの水であるにもかかわらず、「痛みどめの水」ができてしまう。
つまり薬のかわりにその水を使えば、痛みがとまるのです。
そのほかにもいろいろ、実験が行なわれました。
長寿で有名なコーカサス地方に伝わるヨーグルト。
数十種の菌が入ったものですが、このヨーグルトをコピー″して、長寿の水≠ェできました。
また、車のエンジンの燃焼効率を高める薬品をコピー≠オて、エンジンのパワーを高める水もつくられたそうです。
驚くことばかりですが、その「理屈」はくわしくはわかっていません。
ただ、次のような仮説は考えられるようです。
水が、その物体のもっている振動(分子運動?)を記憶し、
その振動がたとえば人体の細胞内の水にコピーの輪を広げ、
ついに痛みをとめたり長寿の効果を与えたりするのではないか、ということです。
なおこの点についての研究は、日本ではいわば「πウオーター」と名づけられて論議をよんでいます。
いままで考えもつかなかった水の働き。人体内の水の役割。環境と人体の水との相関性。
そして、病気を治し、健康に生き、美しさを保つための水の役割。
こうしたことを、この本で考えていきたいと思うのです。
はじめにあげた三つの「?」も、きっと水にかかわってくると思えてきませんか。
水の星である地球。これをいいかえると、
あらゆるものに水を含んだ、特徴のある天体だということになります。
そういえば、日ごろ何気なく使う温度も、水を基準にしているのでした。
水が凍る温度を0度Cとし、沸点となって気化する温度を一〇〇度Cときめたものです。
ところで、この水の星・地球の、きれいな、良い水を考えるとき、
それがいまや大きな危機にさらされていることに気がつかざるをえません。
それは、最近たびたびテレビなどでもとりあげられている、地球環境の汚染の問題です。
たとえば、フロンガスという、誰もがなんらかの形で使っている日常的な物質の蓄積によって、
オゾン層の破壊が起こっていること。
これはまさに人類史上、いや地球史上初めての危機といえましょう。
また、酸性雨もあります。化学変化を起こして硫酸のようになった雨が、
森林の樹木にとりかえしのつかないダメージを与えようとしています。
これも、自動車の排気ガスや、工場から出る汚染された排気の蓄積によって生じている公害です。
どちらも、地球の水をすっかりダメにしてしまうかもしれない、恐るべき現象です。
そのほか、放射性物質や化学工場の地下水汚染、危険なゴミ≠フ海洋投棄の問題など、
数えあげればきりがないほど。
しかしここで、冷静に考えてみると、これらの危機には、以前には見られなかった、
少なくとも次の二つの共通する特徴のあることがわかります。
第一に、人間及び生物にとって欠かすことのできないオゾン、酸素、水といったものを広範囲にわたって破壊し
一人二人ではなく、人類全員の生存をおびやかしているということ。
第二に、その原因として、近代社会に住む人間ぜんぶがかかわっている。
つまり、好むと好まざるとに限らず、近代社会の人間みんなが加害者であること。
そのような文明の恩恵≠こうむる社会システムのなかでは、
環境汚染に十分関心を払っている人でも、多少は加害者の立場に立ってしまう。
ましてや、なんの注意も払っていない人ならば、知らず知らずに大いなる加害者になっている可能性があるのです。
そして彼らぜんぶが、同時に被害者でもあるという、ひじょうに恐るべき構図ができあがってしまっているのです。
第一の問題も第二の問題も、全体的で、一地域に限られない公害であることが特徴といえましよう。
ですからこうした危機を防ぐためには、一人だけがフロンガスを使わない、
ひとつの国家だけが排気ガスの規制をする、ということでは追いつかないのです。
解決への第一歩であるとはいえ、そうした細かな方法だけでは根本的な治療にならないのです。
地球全体の規模で行なわれる、なんらかの手だてがとられなければなりません。
フロンガスについては、ようやく世界的な規制のスタートラインに立ったにせよ、
その他の問題も含めてやはり大国同士の思惑がからみ、なかなかすっきりいけるものではないようです。
じっは、人間の体にも、同じことがいえるのです。
人体は、いわば小宇宙。その小宇宙の全体を見渡さないで行なわれる対策が、なんと多いことでしょう。
病気ひとつをとってみても、たとえば頭が痛ければすぐに頭の病気を考える。
足に水虫ができれば、水虫菌を殺すための薬を塗ることしか思いつかない。
糖尿病にはひたすらインシュリンを調節して、数値を下げる。
こうした対症療法的な考え方は、いわば局所的で、もっといえばその場しのぎの発想にすぎないのではないか。
「これだけでいいのかなあ?」と直感的に疑問をもたれる方がふえているのは、どうやら事実のようです。
漢方薬のブームなども、表面的なところがあるにもせよ、こうした疑問や不安のあらわれのひとつだといえます。
何よりも大切なのは、人間の休も、地球と同じように全体的に考えなければならない、ということです。
もはや部分部分の手当てではごまかせなくなって、全体的で根本的な視点から見っめなおす時代がやってきたのです。ガンや成人病などの「現代病」が猛威をふるう実情からすれば、
これまでのような局所的な考えでは対処できなくなっていることは、十分おわかりいただけると思います。
そこで、水が大事になってまいります。地球に生物が発生したみなもとである海。
その生命の歴史を見ても、また人間の血液の成分が海水と共通することを見ても、
あるいは受精卵の九〇パーセント、胎盤血液の八〇パーセント、羊水の一〇〇パーセントというもので、
胎児が水中で育ってゆく点から考えても、水が人間の生命の全体に、
いかに深いつながりをもっているかが理解できるはずです。
物理的にも、人間の身体は水と切り離せません。
飲み水だけでなく、体の組成からいってもそうなのです。
たとえば、この本をお読みのあなたの身体の七五パーセントは、水なのです。
そして、人間の中枢である脳の九〇パーセントは、水なのです。
このことを、ぜひくりかえし思い出していただきたいのです。
はじめに述べた三つの「?」でご紹介したようなことは、これからしだいに謎が明らかになってくるでしょう。
いまや、従来の科学が乗りこえられつつある時代、そして次の科学と呼ばれるものが始まりかかっている時代です。
その新しい流れのひとつの大きなカギとなるのが、水です。
この本ではさまざまな角度から、水の秘密や効能をとらえなおしていくつもりです。
とくに、あなたがいちばんよく知っている、
また知らなくてはならないご自分の体と水とのかかわりについて、
つまり「生命と水」について、じつくり考えていきたいと思います。
水が一滴もないと、人間は三日と生きていけないことを、誰もが知っています。
それほど生命に直結した大切なものでありながら、多くの人がまったくといっていいほど、
無関心な状態で暮らしています。
ところがそんな無関心な水が、あなたの生命と健康を支配していることを、ぜひ知ってほしい。
特殊な薬品でも珍しい食べものでもない水。
ごくごくあたりまえの水が、すべてのカギを握っているのです。
あなたの生命の秘密は、あなたの足元にあったのです。
はじめの「?」のようなことが、人生を良くすることに関するとすれば、
ご自分の水≠良くすることが、鍵となると思われませんか。
つまり、ひらめき、直感、生命力といったことが、
ひょっとすると人体の水≠フ良い悪いで、決まっているかもしれないのです。
カーネーションの切り花をふつうの水道水に生けておくと、だいたい一週間で枯れてしまいます。
ところがこれをあるちゃんとした水に生けておいたところ、なんと四十五日間も咲き続けたのです。
もちろん切り花用の特殊な薬品などは使っていません。
この例をどう考えるかによって、その人の生命観がわかるのです。
「なんだか変わった水だ」ですまされる方は、もしかするとご自分の健康や命に無関心なのかもしれません。
「四十五日にも寿命が延びたのか、きっとすごい水だ」と驚く方は、
生命活動というものに積極的な興味をおもちの方なのです。
さらに次のような考え方をすれば、ご自分が生きている意味について、
目をひらいていただくことができるでしょう。
「そうか、本来は四十五日も生きるはずの花の命を、われわれが一週間に縮めてしまっていたのか。
寿命や病気についての深い洞察にも、この考え方はつながっていきます。
神戸の誠仁会協和病院の林先生は、次のようにおっしゃっています。
「人間は、一生病気などする必要はなかった。
リウマチ、糖尿病、ガンなどの病気になることのほうがよっぽど大変だったのだ。
本来は健康な赤ちゃんとして生まれ、八十、九十、百歳と、泉重千代さんのようにすこやかに生きて、
大往生するようにつくられていたのだ」。
その証拠に、生物が地球に誕生して三十五億年。
これに対し、医学が生まれ人間が薬などを飲み始めてから、三千五百年。
医学のお世話になったのは、生命の全歴史のたった一〇〇万分の一の期間にすぎません。
それ以外のぼうだいな歴史を生物は人間は、医者や薬にたよることなしに生き延び、進化してきたではないか。
そう、林先生はおっしゃられます。
それがすっかり狂ってしまった。
医学はすすんだというのに、年をとってからの病気や不健康はいまやあたりまえ。
子どもの成人病だってふえているし、アトピーなどの皮膚炎もひどい。
それどころか、先天的な奇形や血液の病気すら増加しています。
どうしてこうなってしまったのでしょう。
基本的な問題点は、長寿村の例から考えることができます。
長寿村のご老人達はあたかもそれを実施してくださっているかのように死に到るまで元気です。
大自然の中で生き、食べ、眠る。
いいかえれば、自然の全体的な循環の中で暮らすということが、人間にとって本来の姿、生き方だったのです。
ところが悲しいことに、人間はそのサイクルからはみ出してしまいました。
大きく変わってしまったものの代表が水″であると、私たちは考えています。
人体の七五パーセントを占める水。
その水は、もともとは海に生まれ、夙によって運ばれ、大地に雨となって降りそそぎ、田畑をうるおし、
川となって流れ、地下水となって湧き出て、飲み水として人間の口に入る。
そんな自然の中のすこやかな水″でした。
当然、生命にとって必要な成分を含んだ、豊かな水でした。
そのサイクルが、とくに近代以後の工業化社会によって徐々に断ち切られていきます。
あるばあいには「健康ドリンク」としてビンに封じこめられて売られるようになる。
きれいなまま海に帰るべき水が、IC工場の洗浄用に使われて化学汚染され、地下に封入″されたりします。
水が、狭くて特殊な目的のためにバラバラに寸断されながら、
全体として恐るべき汚染にさらされているというわけです。
人間をつくっている水がそんな状態ですから、
それを飲んでいる人間の体が変わってしまったのもムリはありません。
この本は飲み水を良いものにとりかえることによって、
あなたの健康をとりもどすことがテーマでありますけれども、
さらにいえば、水を含めた大きな自然の循環の中に生命をとりもどす地球の健康状態も考える、
全体的な生命観をうったえるものでもあるのです。
人間にとってこんなに大切な水ですが、水を中心に人体を大きくつかんでいくと、
意外に知られていないおもしろい事実がたくさんわかってきます。
血液や汗や尿についてはばくぜんとした知識はおもちでも、
大きな水の流れ≠ニして体をとらえる考え方は、あまりなじみがないのではないでしょうか。
そこで、ここでは人体における水の働きについて、全体像をかんたんにスケッチしてみたいと思います。
「人体の七五パーセントは水である」と、たびたび述べてまいりました。
これらの水には、血液や涙や胃液などの体液のほかに、細胞内の水分なども含まれます。
その合計が七五パーセントというわけですが、ある考え方によれば、それでも少なく見積もりすぎているそうです。
完全に数えあげていくと、なんと八五パーセントが水だという数値も出てくるのです。
こうした、まるで地球の表面の四分の三が海であるのと軌を一にしたかのように、
人体の七五パーセント前後が水であることは事実なのです。
地球の水の汚染と人体の水の汚れと相関関係であることは当然のことといえます。
なぜこんなにも、人間は水と稼が深いのか。
いや人間に限らず、すべての生物は水なしではとうてい生きていけない。それはなぜでしょう。
地球上に命をもつあらゆる生物は、細胞と組織によってつくられています。
この細胞がいわば水にひたされることによって$カきているのです。
生命の基盤である細胞が水とともに生きているわけですから、はじめに水ありき、という形になるのも当然です。
この、細胞と水の深いかかわりは、どうやら海から始まっているようです。
生命の母体である海。
その中で生まれた原始的な生命−バクテリアヤアメトバの類−は、
海というスープの中で温められ、栄養を得て、発達していったのでした。
生命体のこの原始的な生き方が、のちのすべての生物の細胞にまでひきつがれていきました。
われわれの体が、呼吸とか消化とか自律神経とかのめまぐるしい働きで維持されている理由は、
ひとつひとつの小さな細胞にいちばん適切な、居心地のよい生活条件を与えるためだともいわれます。
その生活条件とは、すなわち、かつて海とともに生きていたと同じような水びたしの
状態をさすわけです。
なお、植物における水の割合は五〇パーセント〜七五パーセントと意外に低く、
海に住むサカナは八五パーセント前後、クラゲなどの下等な水棲動物は九五〜九九パーセントまでが水、
ということです。
さて、こんどはじっさいの体の中の水の様子を見てみましょう。
人間などの生物が生きていくためには、栄養やエネルギーを必要とします。
そのもとである食物が、体内に吸収される「関門」は、やはり水溶液の形で通過するのです。
反対に、老廃物が体外に出る「関門」もまた、水溶液となって通過します。
さらに、体中に栄養が運ばれるのも、血液やリンパ液など水溶液の形です。
このように、体の中も水だらけ。
体に入るのも水、体から出るのも水、栄養を運ぶのも水。
というわけで、「生命体は水溶液を入れた容器だ」との表現もあるほどです。
つづいて、体の働きを見てみましょう。
まず感覚。
ものを見る視覚は、眼球の水晶体というほとんど水″ のレンズを通して、光を感知します。
音を聞く聴覚も同じで、音波は蝸牛殻という耳の奥の部分に満たされた水の振動に共鳴″して感知されます。
味覚の味細胞も、水に溶かされた物でなければ刺激として感知できません。
これは臭覚も同様です。
プロローグでお話しした三つの「?」ともかかわりあっていることを思い出されていることでしょう。
それから、体内で行なわれている分子レベルの生命活動も、水に依存しています。
物理的あるいは化学的な反応−吸収とか排泄とか分泌、拡散などは、
水があることではじめて可能になるものです。
ここでは、とくに、水が物を溶かしこみやすい性質と、適度な粘り気をもっている点が生かされています。
消化という働きも、水によるものです。
水を加える加水分解と、イオンの働きをうながす水和作用といわれるものがそうです。
このような水の働きを可能にするのが、例の物を溶かしやすいという性質なのです。
生命活動イコール化学反応という見方からいえば、
さまざまな電解質と呼ばれるものを、体内の水が溶かしこんで、いることが、キーポイントになります。
電解質というのは、水の中でイオンに変わる物質をさします。
たとえば食塩は水に溶けることで、かんたんにナトリウム・イオンと塩素イオンに分かれます。
電解質というくらいですから、これらのイオンは正の電気と負の電気をもっています
(それぞれ陽イオン、陰イオンともいいます)。
食塩の例では、陽イオンであるナトリウム・イオンと、陰イオンである塩素イオンに分かれる、というぐあいです。
このほか、電解質として重要なものに、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラルがあり、
それぞれ水に溶けこむことによって、体内で重要な働きを行なっています。
その働きの原動力は、いわばイオンとしての電気の力≠ナす。
神経や筋肉の機能、浸透圧、ホルモンの作用、細胞の運動、血液の凝固、各種酵素の補助など、
生命活動そのものといっていいさまざまな役割をになっているわけです。
以上、人体の生理的な働きについても水が深くかかわっていることが、おわかりいただけたと思います。
体内の水はいくつかに「分類」することができます。
体の中にある水は、血液やリンパ液など、自由に移動できる「自由水」と、
細胞組織の水のように移動できない「組織結合水」の二つに分けられます。
その比率は、組織結合水が七、自由水が三ということです。
かりに人体の八〇パーセントくらいが水であると考えると、
体重六〇キロの人は、約五〇リットルの水をもっているわけです。
このうち一五リットルが自由水。
その中味を正確にいえば、血液、リンパ液、消化液、組織内液、脳脊髄膜液などで、
これらを総称して、「体液」と呼んでいます。
なお、こうした分類は西洋医学の考え方であり、説明にはべんりですが、
トータルに水を見る発想とはやや異なるところがあります。
東洋医学では別の考え方をしているので、その点については次章でまとめて述べてみたいと思います。
自由液である体液は、つねに体の中を動きまわっています。
体液のうちいちばん多いのは、意外なことに消化液です。
消化液は体液の約半分ほどを占め、先の例でいえば、一五リットルの体液のうち約八リットルにもあたります。
食事のときにはさらに二リットルもの水分が加わるので、
「食事はとうとうたる流れとなって体内をつらぬく」(医学博士・森下敬一先生)という表現もあるほどです。
体液で、消化液についで多いのが血液です。右の例でいえば五リットル。
つまり消化液以外のほとんどか血液、というわけです。
ただし厳密にいえば、消化液はやがて血液ともなるので、両者を完全に別のものとすることはできません。
こうした体液は、最後は老廃物を溶けこませた尿や汗となって、人間の体の外に流し出されていきます。
以上が、体の中にある水についての大ざっばなスケッチです。
こんどは、口から入って体外に排泄されるまでの、「人体における水の一生」を考えてみましょう。
人間にとっての水の入口はひとつ、口です。
口から入る水は、もちろん飲み水として飲まれるものが代表です。
そのほか、お茶、紅茶、コーヒー、清涼飲料水、酒など、さらにはスープ、
みそ汁という飲みものの形でも入ってきます。
また、野菜とか肉などの食べものの中に含まれる水分も、口を通して体内に入ります。
その総量は、一日約二リットル。
口からとりこまれた水は、食道⇒胃⇒小腸⇒大腸⇒肛門という細長い消化管の中を通っていきます。
その途中で、いろいろな管の内側にある粘膜から吸収されて、体内に入っていくのです。
胃と直腸からも、ごくわずかずつ吸収されるようですが、大部分は小腸と大腸の粘膜からとりこまれます。
体内に入った水には、別の旅が待っています。
水は、腸管をかこむ血管網やリンパ管網に入って、血液やリンパ液と合流します。
それらはともに静脈に注ぎこみ、心臓まで送られます。
心臓から動脈を経由して、水は体の末端にまで血液の形で運ばれていきます。
もちろん肝臓や腎臓などの内臓にも行くし、指先などの末梢組織にも届きます。
血管の先端″まで運ばれた血液はどうなるのでしょうか。
血液は、こんどは末梢の毛細血管から、組織ににじみ出していくのです。
そして、組織細胞のあいだをうるおす組織液として流れていきます。
それが、こんどはふたたび毛細血管網に吸いこまれたり、毛細リンパ管に吸いこまれたり、
というぐあいに逆流≠オていくのです。
組織のあいだを流れる水の中には、血液中の栄養素や酸素(赤血球から分離されたもの)が含まれており、
流れる途中で、これらを各細胞にわたしていきます。
良い水≠ゥ否かが、全身に影響を及ぼしてゆくのです。
ひとことでいえば良い水″を口に含み飲みこむと全身に良い結果を生むということです。
細胞は、生命活動に栄養素と酸素を使います。
その残りカス、つまり老廃物も、やはり細胞から組織液に溶けこまされて、血管やリンパ管にもどっていきます。
そして腎臓のろ過を経て、尿となって体外に排出されていくのです
こんどは、体から出る水について、少しくわしく考えてみます。
個体差はありますが、健康維持や病気の治療、美容などの観点から見ると、
この体外に出る水≠ヘ重要ポイントといえます。
ポイントというのは、二つの意味を含んでいます。
まず、不必要な汚れた水≠、とにかくスムーズに出してやろうということ。
次に、体から出る水を観る≠アとによって、体の健康状態をチェックしてやろうということ。
この二点です。
さて、体に入る水の人口≠ヘ口でした。
これに対して出口″は、じつは体全体にちらばっているといっていいほどなのです。
どんな形で水が出ていくかというと、第一には「蒸発」。
第二は「消化管からの排泄」。第三が「尿」となっています。
第一の「蒸発」ですぐ思いつくのは、汗です。
夏の暑い日など、汗が体の一面に浮き出て流れ、流れるそばから蒸発していきます。
この汗には、尿に溶けにくい異質で不要なものが含まれています。
また蒸発のときの気化熱により、先ほど述べた体温の調節作用の役割も果たしています。
汗の出方は、身の回りの温度によってずいぶんちがってきます。
寒い日はそれほど出ず、暑くなれば多量に発汗します。
日本みたいな高温多湿の国でも、大陸の砂漠地帯の乾燥したところでも、
ともに人間が生きていけるのは、こうした発汗による体温椎持作用によるところが大なのです。
また、暑い日や、激しい運動をしたあとなどでは、一時間で、〇・四リットルもの汗が出るといわれています。
汗は、運動したときにも出るし、精神的に緊張したときなどにも出ます。
運動時の発汗は、主として体温調節が目的ですが、緊張時の発汗は、あまりそれとは関係ないといわれています。
たしかに、ストレスを感じたりして手の平や足の裏にじっとりと浮かぶ汗は、
量も少なく、粘り気味で、体温調節には役立ちそうにありません。
これを「精神性発汗」などと呼ぶばあいがあります。
このように、ひとくちに汗といってもいろいろ。
東洋医学の立場からは、汗のぐあいを見ることで、心や体の状態がわかるほどです。
じつさいのチェックの方法については、第四章でお話しします。
さて、汗の量は、尿の量が比較的〓疋なのにくらべて、外気温などにより、大幅に異なってきます。
そして汗をたくさんかいたときには、のどが渇いて水が飲みたくなります。
発汗により血液の濃度が濃くなって、脳に「のどが渇いたよ」という刺激が送られるためです。
この点から考えると、汗の量こそが、身体の水の量をバランスよく保つ秘密だといえそうです。
ですから、ごくたまにみられる汗の出なくなる病気″などは、致命的なものになりかねません。
さて、蒸発による水の排出は、じつは汗だけではありません。
「汗をかいているな」と思わなくても、人間の皮膚からは、つねに水の蒸発が起こっているのです。
これを「不惑蒸発」といっています。
汗ほど目立たなくても、蒸発の形としてはこちらのほうがむしろ基本″で、
いちばん大事な働きであるとさえいわれています。
この直接皮膚から蒸発する量も、やはり外の環境によって異なります。
暑い、寒い、風の状態、日射しの状態などに影響されるわけですが、
だいたい一日〇・六から〇・九リットルが目安″です。
「蒸発」にはもうひとつあります。
それは、肺から吐き出す息の形で水分が蒸発するというものです。
犬などは皮膚の汗腺が少ないため、むしろこちらのほうがメインです。
犬が運動のあとや暑い日に、舌を出してハアハア呼吸するのはこのためです。
人間のばあいは比率が少なく、呼気による水分の排出は一日〇・一五〜〇・五リットルといわれています。
二番目の排出の形、「消化管からの排出」とは、ひとことでいえば大便に含まれる水のことです。
飲みもの・食べものを合わせて一日約二リットルもの水分が口から入ってきます。
そのほか唾液や胃液や胆汁など、多量の水が消化管を通ります。
しかし大部分は体内に吸収されてしまい、大便の形で体外に出る水は、一日わずか〇・一リットルにすぎません。
なお大便の中に含まれる水には、食べものから吸収しきれなかった水分や、
死んだ腸管表皮の細胞などの老廃物″なども溶けこんでいます。
ただし、おなかのぐあいが悪いときの「やわらかい便」は、もっとたくさんの水を含んでいます。
これは、体内に入ったものを緊急に水に溶かして外に出す必要から生じた非常手段と考えられています。
大便も、汗などと同じように、やはり健康状態のバロメーターです。
量や色や硬さ、においなどであなたがご自分で体のぐあいがチェックできる大変有効な方法といえます。
西洋医学でもこの点は重視されてきましたが、まだまだ東洋医学のほうに一日の長があるようです。
さて、三番目の排出は「尿」です。
尿には、体で不要になった老廃物が溶けこんでいます。
尿の量は一日平均、成人で約一・八リットル。
汗などの蒸発や大便で失われる量と合わせますと、
合計で二リットルから二・八リットルもの水分が、体から出されることになります。
尿の量は、ビールを飲みすぎたなどのとくべつの理由がない限り、汗とちがってほぼ一定です。
人それぞれの身長、体重、血液などによってだいたいきまっているのがふつうで、
思いあたることもないのに量が激変するのは、病気の疑いがあります。
たとえば、血圧が急に上がったときには尿がふえます。
なお神経性の頻尿というのもあり、ストレスなどによって変化するばあいがみられます。
このときはオシッコにいく回数がふえるだけで、トータルの量はそんなに変わらないのです。
尿には老廃物が含まれています。老廃物というのは、体の中でいらなくなったもののこと。
生命活動がスムーズにいとなまれるためには、必要なものはとり入れ、不要なものは外に出さなければなりません。
いままでの常識的な健康法では、体に入るもの=栄養とかカロリーとかのほうに重点がおかれ、
外に出す≠ルうはないがしろにされがちでした。
最近でこそ繊維食とかファイバードリンクとか、便通をよくするために繊維の多いものを、
すなわち排泄の大切さが認識されてきたようですが、まだまだ実体は付け焼き刃といっていいでしょう。
しかしいまや、栄養素を「つけ加える」のはもうたくさん、
むしろ便、尿、汗などの排泄器官より余分なものを「とり出す」ことのほうが、
生命の全体的な循環にとって必要な状況なのです。
そこで、老廃物という不要なものの内容や排出方法について、
まず基本的なシステムを知っておく必要があります。
ひとくちに老廃物といいますけれど、その内容は大きく分けて二つになります。
タンパク質の分解によってできるチッソ化合物と、
それから脂肪と糖質が体で燃える″ことによって生まれる炭酸ガスです。
ごぞんじのように、後者の炭酸ガスは、肺から吐き出される息の中に含まれます。
そして前者、つまりチッソ化合物が水に溶けて尿の中に含まれ、体の外に出ていくのです。
尿に含まれる老廃物とは、主としてこのチッソ化合物のことをさします。
これが、別名「尿素」です。
人間が生きるうえで欠かせないのがタンパク質。
そのタンパク質が体で使われたあと、最後に
残るのはアンモニアです。チッソ化合物「尿素」とは、さらにこのアンモニアのなれの果て″なのです。
タンパク質がついにたどりついたアンモニアという形は、体にとって不要なものです。
いや、不要どころか有害ですらあります。
肉が腐ってしまったときの気持ち悪いにおいの正体の主役は、じつはこのアンモニアなのでした。
では、なぜ人間は、そんな有害ですらあるアンモニアをさっさと体の外に捨てでしまわないで、
わざわざチッソ化合物に変えるのでしょうか。
それは、体外に周期的に捨てるためには、いったん体のどこかにためておかなければならないからです。
有害なアンモニアを体内にためるのは、一時的といえども危険です。
そこで、いったんアンモニアをチッソ化合物というはるかに害の少ない形にしてから体内にため、
必要に応じて排泄するというしくみになったのです。
その、ためておく場所は、もちろん膀胱。
かつて生物が海に住んでいたときには、アンモニアを直接海水の中に排出していた、という説があります。
すぐに洗い流される水中生活ではそれでよかったのでしょうが、
陸上に拠点を移すと、生活上のつごうからそんなたれ流しはできなくなりました。
その結果、アンモ二アを無害な尿素に変えていったん膜胱にため、排出する必要が生じた、というわけでしょう。
なお、このアンモ二アを尿素に変えるのは、体の中の「尿素サイクル」と呼ばれる、
老廃物の尿として体外へ排泄するシステムです。
腎臓は、ひとことでいえばひじょうに合理的なろ過装置です。
腎臓が尿をつくるしくみは、まさに神わざというべきみごとなものです。
毛細血管によって運ばれた血液から、まず体にとってまだ必要なタンパク質などをろ過します。
そのあとに残るのが、「原尿」と呼ばれるオシッコのもと″です。
原尿の量は一分間に120CC、一日だと178リットルにもなります。
いらなくなった老廃物を第一段階のろ過だけで捨てようとすると、
こんなにたくさんの水が必要になってしまうのです。
それに、原尿には、電解質などまだまだ体に必要な成分がたくさん含まれています。
ですから、原尿が腎臓から外に出るまでのあいだに、電解質や水の大部分が、
毛細血管の中に何段階かに分かれてふたたびとりこまれる、というしくみになっているのです。
こうした再吸収の働きをさせる原動力≠ェ、いくつかのイオンやホルモンです。
腎臓は、構造から見てもみごとなしかけになっています。
ヘアピンカーブのような細い管、糸をくるくるまいて球状にした部分、じょうごの形など。
ろ過や吸収というそれぞれの仕事″の必要に応じた形になっているわけです。
このようにして、最終的に体外に排出される尿がつくられます。
その量が、一日平均成人で約一・八リットルでした。
原尿のうち、じつさいに捨てられるのは約一パーセントということになるわけです。
なお、この尿の量はいろいろな理由があるときに変化しますが、
少なくとも一日に〇・七リットルは必要だとされています。それ以下ですと、体に老廃物がたまってしまうからです。
尿が体調のシグナル≠ナあることは、いまやなかば常識になっています。
血尿という異常は当然のこと、やたらに黄色い尿が出たら肝臓が悪いのかもしれない、
あるいは極度の疲労のせいもある。
ヘンなにおいがしたら、「きのうはちょっと飲みすぎたかな」などと思ったりします。
昔のくみとり式≠フトイレで、「お宅のは甘いにおいがする」と指摘されて家族の糖尿病が発見された、
などの詰もありました。
量の大きな変化も、病気のしるしかもしれません。
なお、余分な有害物のまざった水を飲むと、腎臓や肝臓は、
さらに過剰労働になり早くくたびれてしまいます。
いわゆる「老けた」といわれる老化病つまり、成人病になるのです。
そのためにも良い水≠入れていくことが大切なことなのです。
もちろんいまでは検査方法も精密になっていますから、タンパク、糖分その他のデータを尿によって
計測することができます。
腎臓病や糖尿病などの早期発見に大いに役立っています。
こうした西洋医学の方法とはべつに、東洋医学でもいろいろな症状の組み合わせから見るチェックの仕方が、
確立しています。
体にとっての水の動き、出入りをトータルに見るという視点によるもので、
ご自分で毎日健康診断ができる方法を次章でお話をさせていただくことにします。
生まれたての赤ちゃんは、約、身長50センチ、体重3000グラム。
さて、その大もとの受精卵といえぱ、わずか直径0.25ミリ。
つまり受精卵が赤ちゃんになるまで、なんと2000倍もの成長をとげるのです。
羊水は100パーセント水で、その中にある受精卵は、90パーセントが水です。
ということは、お母さんがどんな水を飲んでいるかが、決定的な意味をもつのではないでしようか。いまの水は、この意味では最悪です。発ガン物質のトリハロメタンをはじめとして、ゴルフ場で多量使用されている農業で汚染されている地下水。
なんとか汚れをおさえようと、強力な塩素を注ぎこんだ水。
マンションの貯水タンクで有害なカビが繁殖した水。
そんな水を、お母さんもあなたも、毎日飲んでいるのです。
受精卵、そして胎児へと発達する過程に、悪影響を与えないわけがありません。
たとえば、子どもの「成人病」がものすごくふえています。
糖尿病や高血圧の幼稚園児、小学生が目立つようになって、社会問題化しているほど。
それと、もちろん小児のガンも多くなっています。
白血病とか骨肉腫という残酷な運命が、子どもたちを待ちうけているのです。
あるいは小児ゼンソクなどなど。
近年増加している子どものアトビーという皮膚炎も深刻です。
ひどいばあいには、かゆみや痛みで七転入倒の苦しみをしています。
アレルギーの一種ですから、牛乳や卵をやめたり、苦労されていますが、
それだけでは治らない新型アレルギーともいえる人が増えています。
合成洗剤がアトビーの原因のひとつであるのはたしかなようで、
十年くらい前までは、洗剤を石けんにかえることで治る例が多くみられました。
しかし、最近ではそれでも効果がうすいようです。
どうやら生まれながらのアトビー体質として、できあがっているようなのです。
これは恐らく、最近の水汚染の加速ぶりと、関係があるはずです。
それから、異常出産もふえています。死産児のうち六割くらいが、内臓がとび出す、などの奇形児だそうです。大人もアレルギー性鼻炎などが増えていますが、胎児にはもっと強く影響するのでしょう。
こうした奇形をもたらす遺伝子そのものが、じつは細胞の核の中で、水によって保護されるものなのです。
良い水に守られる遺伝子は正常な発達をとげ、悪い水につかる遺伝子が傷つけられる。
あたりまえのことではないかと思うのです。
受精卵で90パーセント、新生児で80パーセント、成人で75パーセントを占める水。
この水が徹底的に汚染されていることが、こうした危機的状況のいちばんの元凶ではないでしょうか。
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妊婦こそ″良い水″を飲むこと
わたしたちは、あまりにも水の尊さを忘れ過ぎていたと、いま反省しなければならない。わたしたちが、この地球上に生物として出現したときは、一個の受精卵としてであった。その受精卵の90%以上は水分、そして胎盤血液の83%が水分、羊水は100%の水である。このことを考えると、水がいかに重要か、水が生命の鍵を握っているということをしみじみと感じざるを得ない。この水がもし″悪い水″であったなら、その生命の成長はどうなるか・・・ぞっとする思いである。産婦人科医のデータによれぱ、この妊婦の飲んでいる水によって明らかに安産、難産に分かれるという。すなわち「よい水」を飲んでいる妊婦は、つわりがほとんどなく、お産も軽く、生まれた赤ちゃんも丈夫、出産後のお母さんの経過も良好、母乳もたくさん出たということがわかった。 |
ダメになった水が、現代人の健康をそこない、あるばあいには病気をつくっていることは、まちがいないようです。飲みものの原点″である水道水がこのありさまですから、あとは知れたものというべきでしょう。
ところ、が、その水道水ですら、ましなもの″にみえてしまうほどの水≠、いまの人たちは、
たくさん飲んでいるのが実情です。
たとえば清涼飲料水と称されるドリンクのたぐい。
ジュースやコーラなど、えたいの知れない着色飲料は、あいかわらず全盛です。
付加価値″がない、ただの水など、見むきもされないかのようです。
しかしこうした人工的な飲料を丸ごと一本、
小さな子供が抱えて飲んでいる姿を見ると母親の無知に対してなんとかしなくてはと思わずにはいられません。
もともと清涼飲料水の原料″は、酸素のない「死んだ水」です。
そのうえ、人工甘味料や合成着色料などのオマケが入っています。
さらに問題になるのは、糖分が多いことです。
糖分のとりすぎは、まず、いちじるしく食欲を、そいでしまいます。
きちんとした食べものを欲しがらなくなるのです。糖尿病の原因になるのはもちろんです。
さらに、多すぎる糖分は、体の中のカルシウムを奪ってしまいます。
カルシウムは、骨や歯の主成分であり、弱アルカリ性を維持したり、
病原菌をおさえるなどの大切な働きをしているミネラルです。
ところが、多すぎる糖分が、このカルシウムを体外に連れていってしまうのです。
以前、コーラなどの飲みすぎは、虫歯や骨折の原因と騒がれたことがありましたね。
また、清涼飲料水に含まれるリンも、同じくカルシウムを奪う結果となります。
リンは、そのほかインスタント食品や加工乳にも多量に含まれており、
こうした食べものや飲みもので育つ子どもたちの体は、もはやガタガタといってもいいくらいです。
もちろん、さらに多くの化学合成添加物なども使われていて、それが人体にどんな結果を生むのか、
はなはだ恐ろしいことです。
肉体的な悪影響だけではありません。
カルシウム不足は、イライラをつのらせるといわれています。
校内暴力やいじめなどの原因のひとつに、子どもたちの清涼飲料水をあげる人もいるほどです。
もちろんこうした心身のダメージは、子どもたちに限らず、大人にもあてはまることです。
また、清涼飲料水には、一種の習慣性があるようです。
ある学校の調査では、毎日飲む生徒が5割近くにおよびました。
しかも一日1リットル以上飲む生徒が、一五パーセントもいたそうです。
素姓の良い水を飲まずに〈そんなものどこに行ったら手に入るのか、といわれそうですが)、
おかしな青白い貧血の顔をして色つきのドリンクばかりを飲む。
一見ファッショナブルにみえる、こうした現代の飲料水は、人間の体や心を大きくむしばむ原因になっているのです。
現代にはびこるそのような、悪い水=B
しかし、いわゆる病気をつくるメカニズムについては、まだまだわからないことだらけです。
過度の糖分や発ガン物質入りの水≠ニいう明らかな犯人≠烽「れば、
因果関係はつかめていないけれども怪しい$もある、といったありさま。
ここでは、しかしそういった個々の病原水″とはべつに、
もっと全体的で決定的な体のダメージにかかわる水の仮説を、話してみたいと思います。
その大きな手がかりとなるのが、「大便のにおい」です。
第一章で、病気の人は大便がとてもくさい、という話をしました〈三一ページ)。
しかし、じつはちょうど正反対のこともいえるのです。
つまり、「悪臭のある大便が、さまざまな病気をつくる」と。
健康をとりもどすと、悪臭はとたんになくなることも知っておいてください。
まず、大便のにおいの正体について、調べてみる必要があります。
その原因は、ひとことでいえば、腸内異常発酵です。
そしてこれは、大便のにおいばかりでなく、くさいオナラ、強い口臭やくさいゲップ、
さらには便秘とか下痢、消化不良などの原因となるものです。
悪臭のもととなる物質には、硫化水素、アンモニア、アミン類、フェノール、インドールなど
というものがあります。
このうち、もっとも代表的なのが硫化水素で、「卵の腐ったような」においを発する成分です。
温泉や火山のにおいでもおなじみ。
この硫化水素自体が、じつは体にとって有毒なのです。
アフリカのカメルーンの火口湖から流れ出た硫化水素のガスで、
千数百人の人命が瞬時に失われた大事故もありました(昭和六十一年八月二十一日)。
アンモニアのツンとするにおいもおなじみですが、このアンモニアも有毒なのです。
肝臓の働きなどが悪くなっている人は、有毒なアンモニアを分解しにくくなるため、
イライラしたり、ひどいときには、意識障害が起こったりします。
このあたりは、中国医学の考え方と共通しているところですね。
アミン類のなかで知られているのは、ヒスタミンです。
この悪臭を放つ物質も、湿疹や皮膚炎、ジンマシン、ゼンソクなどの誘因と考えられています。
また、肝臓が悪い人は、ヒスタミンによって胃潰瘍や十二指腸潰瘍にかかりやすいといわれます。
もうひとつ、ニトロソアミンという猛毒≠フ悪臭源もあります。
アミン類のなかまですが、発ガン物質として有名な存在。
いまの水道水や、ハムきに含まれる硝酸塩からつくられるものです。
胃ガン、大腸ガン、勝胱ガンの原因では、と考えられています。
フェノールは、やはり強いにおいのする腐食性の毒物で、やはり発ガン物質の疑いがかけられています。
肝臓に悪影響を及ぼすことも知られています。
インドールは、玉ネギの腐ったときのにおいのもとです。
白血病やリンパ腺のガン、膀胱ガンなどを誘発する物質です。
こんな勇ましい∴ォ臭のもとたちが、くさい大便の原因だとしたなら、
その大便のもちぬしが病気にならないのが不思議なくらいですね。
では、これらの有害物質は、どのようにして体の中でつくられるのでしょうか。
それは、人間の腸内に住む微生物たちの働きです。
その働きが正常でなくなったときに、腸内異常発酵が起こり、こうした有害物質がつくられてしまうのです。
ここに、どうやら悪い〃水″が一枚かんでいそうなのです。
人間の腸には、なんと約100種、100兆個もの微生物が住みついています。
出産ほやほやの新生児の腸には、まったく存在しないのにもかかわらず、
わずか二十四時間後には、成人とほとんど同じ比率の微生物がいる、ということです。
いったいどこから彼らがわいた″のか。それはいまもって謎とされています。
腸内微生物には、有害なものと、有益なものの二種類があります。
腸内細菌などと呼ばれるサルモネラ菌やチフス菌、赤痢菌、大腸菌、さらには腐敗菌などが有害な菌です。
いっぼう有益な腸内微生物もたくさんいます。
現在は、むしろこちらのほうに注目が集まっているようです。
彼らは、たくさんの有意義な働きをしています。
消化・分解を助けるものや、ホルモンをつくり出すもの。
酵素を分泌するもの、窒素を固定するもの。免疫にかかわるものなどさまざま。
こうした微生物たちの存在がなければ、一日たりといえども人間は生きていけないはずです。
有益な腸内微生物の代表格は、「乳酸菌」でしょう。
そのなかでも、「ビフィズス菌」が有名で、これをうたい文句にした飲料もあるくらいです。
乳酸菌は、人間が食物としてとった米やパンなどの炭水化物を分解して乳酸をつくる微生物の総称です。
母乳で育てられた乳児の便の九五パーセントがビフィズス菌であり、便の色や形もとてもきれいなものです。
逆に老人となると、ビフィズス菌のまったくない便の人が三割もいる。
悪臭もひどい、汚い便なのです。
ビフィズス菌は、ヨーグルト、チーズ、バター、清酒、ショウユなどをつくるのに欠かせない、有益な菌です。
また、ほかの乳酸菌のなかまに、乳酸梓菌、腸球菌などがいて、これらは一
般に 善玉菌≠ニ呼ばれています。
なお、これらの善玉菌は、水道水に入っている塩素やトリハロメタンなどのおかげで、
かなりのダメージを受けており、ここでも悪い水≠フ影響が出てしまうのです。
これに対して悪玉菌″と呼ばれるものの代表が腐敗菌です。
人間が食べたタンパク質を分解して、腐敗物質をつくる働きをします。
それが、先ほどの悪臭のもととなるのです。
腸内の異常発酵というものの正体が、これなのです。
腐敗菌は、正常な範囲内の量ならば、ある程度有益な役目をすることもわかっています。
しかし、くさい大便やオナラは、明らかに腐敗菌が多くなりすぎて、
体に有害な物質をつくり出している証拠となります。
なぜなら大便の半分は腸内微生物の屍からできているのですから。
腐敗菌のなかまには、大腸菌、クロストリジウムなどがいます。
彼らがタンパク質を分解して、硫化水素、アンモニア、アミン類などの人体に有害な物質をつくるのです。
これらの悪臭のもとである有害物質は、腸管から吸収されて肝臓に運ばれ、分解されます。
肝臓というのは、全身の解毒作用を一手にひきうける、重要な臓器ですね。
しかし有害物質の量が多いと、肝臓にいちじるしい負担をかけることになります。
そのあげくは、肝炎や肝硬炎を誘発したり、ということになるわけです。
またそれらの有害物質が、体のあちこちにバラまかれて悪影響を与えることもあります。
いっぼう、腸内でつくられた有害な発ガン物質が、腸内にとどこおって、ガンなどを引き起こす、
ということも十分考えられます。
ですから、悪臭のひどい便を出す人の体は、有害物質のふえた危険な状態であることになります。
病気だからくさい便を出す、ということも正しいのですが、むしろくさい便を出すから病気になる、
といったほうがよい。その理由は以上の点からおわかりでしょう。
このことは、逆にいえば長寿村のご老人は、赤ちゃんのような便をしていることからもわかります。
さて、肝臓で解毒作用を受けた物質は、ふたたび腸内へと排泄≠ウれます。
この腸から肝へ、そしてまた腸へというサイクルは、人間が生きるうえでの根本的なシステムのひとつです。
なぜならば、腐敗物質だけでなく、有益菌によって分解された栄養なども、
このサイクルにのっかって体の糧となるからです。
このサイクルが正常にいとなまれていれば、人間の体は健康です。
逆に有害物質に汚染されると、いろいろな病気や不調を引き起こす、というわけです。
この、生命活動にとって基本的なサイクルを動かすひとつの働き頭が、腸内のさまざまな微生物たちなのでした。
そして彼らの生存のあり方の根本に、どうやら水″がかかわっていそうなのです。
じっはそのメカニズムはまだよくわかっていないのですが、
次のような事実を見れば、意味するところは明白だと思われます。
それは、飲み水を良いものに変えると、大便の悪臭が激減する、ということです。
前にもお話しした神戸の誠仁会協和病院では、電解水という水を常時患者さんに飲んでもらうことで、
病状の改善をはかっています。
その第一の効果が、便の悪臭がなくなり、形状もきれいになるということです。
つまり腸内異常発酔がおさまり、硫化水素ヤアミン類などの有害物質が少なくなったということです。
それはとりもなおさず、水をとりかえることによって悪玉の腐敗菌が少なくなり、
許容できる正常な範囲におちついたこと、
つまり正常な腸⇔肝のサイクルをとりもどした、ということになります。
こうしたのぞましい効果は、電解水だけでなく、
ある種のミネラルウオーター″や新見の水≠ネどでも得られることがわかっています。
右の事実を逆にいえば、現代のさまざまな悪い水″こそが悪玉菌をふやす原因だった。
そういうことになるのではないでしょうか。
塩素入りの水道水が有益な微生物を殺してしまう可能性はもちろん、
合成保存料などの添加物が入ったインスタント食品、清涼飲料水などなど、
容疑者≠ヘ限りがありません。
そんな自然の姿からはほど遠い水″が、腸内微生物たちの生き方を狂わせてしまった。
どうもそのように考えなければ、謎はとけないようです。
なぜならば、この微生物たちも、七〇パーセントから八〇パーセントが水分だからです。
そして彼らが生きるうえでも、水はどうしても欠かせない基礎物質だからです。
その水が悪いものになっているのなら、微生物の状態が異常になっても不思議ではありません。
それは、先の遺伝子が悪い水によって傷つけられるのと同じことでしょう。
反対に、水を良いものにとりかえれば、腸内微生物たちも、本来のあるべき姿にもどるわけです。
なお、こうした腸内の微生物について、林秀光先生は次のようなすばらしい仮説を立てていらっしゃいます。
「人間の腸に住む一〇〇兆個の微生物は、全体としてひとつの臓器と考えるべきである。
進化論から見れば、肝臓・腎臓・膵臓という独立した臓器の、むしろ原型″というべきものではないか」
たしかに腸内微生物のさまざまな働きを考えると、彼らが各臓器といっしょになって作業をし、
彼らなしでは生きて≠「けないことがわかります。
人間の体は、微生物も含めたこうした大きな流れに沿う、総合的な、
あるいは全体的なしくみによっていとなまれているのです。
その全体の流れを一箇所でも断ち切ると ーたとえば悪い水が侵入すると−、
体の不調となったり病気になる、そういうしくみだと思われます。
なお、西洋医学になじんだ耳には聞きなれなかった中国医学の考え方、
たとえば臓器を個別として見るのでなく、働きの系統として見る、などの考え方や、
トータルな基礎物質・エネルギー=腎陰・腎陽という概念などについても、
右の説明で、ある程度納得していただけるのではないでしょうか。
人間の健康にとっての最大の敵であるガン。
まだまだ、この原因や療法は解明されていませんが、
このガンが、やはり水の乱れ″によってつくられるという説があります。
まず、一九七四年、アメリカのダマディアンという医学者が、次のような研究結果を発表しました。
「正常の細胞は周囲の水が構造化されて、水の分子がきれいに整っている。
ガン細胞 周囲の水は、構造化が少なく、分子が乱れてい 不安定である」というものです。
また、韓国科学院教授の全武植氏は、次のように述べておられます。
「正常な遺伝子の周囲の水は、遺伝子を保護するかのように、きれいにとりかこんでいる。
異常を起こした遺伝子の周囲の水は、乱れた構造をしている。
また、遺伝子の構造を保つのに、水が重要な役割を果たしている」。
ガンとは、細胞の中の正常な遺伝子がガンの遺伝子に変異してしまう結果、起こるものです。
いや、ガンだけではなく、さまざまな病気が遺伝子の異常によってつくられるのです。
以上の点から、林秀光先生は
「ガンになったから水が乱れたのではなく、水の分子が乱れたからガンになったというべきではないか」
とおっしゃっています。
そしてさらには、ガンも水を良いものにとりかえることによって、
治すことができるのではないかとも述べられています。
私も、このご意見に賛成です。
なお水によるガンの治療については、全教授も卓抜なアイデアをいくつか提出されています。
では、この分子レベルでの水の乱れは、どうして起こるのでしょうか。
詳細は今後の研究に待ちたいと思いますが、恐らく次のようなことはいえるはずです。
化学物質などによって汚染されたり、人工的につくられた″水など、
異常な状態におかれた水は分子が乱れているのであろう。
その分子の乱れが 発ガン物質その他の要因と組み合わさって、人間をガンにするのだろう、と。
このあたりは、次に述べる「フリーラジカル学説」と重なるはずです。
あるがままの自然は、恐らくこうした乱れが少ないはずです。
それどころか新見の水≠フように、分子がよく整い、さまざまな治療効果をもたらすと思われる水もあります。
こうした理想的な自然の水は、人間の体にとりこまれることにより、
生命活動と調和して、そのいのちをはぐくんでいくのです。
世界各地に伝わるいのちの水″ の話は、なかでもとくに人体にマッチした水のことであるにちがいありません。
たとえば北極地方の雪どけ水は、食堂壁を自由に素通りして、吸収が速い。
人体を若返らせ、健康にしたり、プランクトンを繁殖させる。
農作物の収量をふやす、などといわれます。
これはソ連のデルプゴリツという学者が発表した研究です。
デルプゴリツによると、
老化の原因は、体内の雪どけ水に似た構造の水が不足し、これと異なった構造の水がふえることだ、
ともいわれています。
ここで少し、「フリーラジカル学説」についてくわしく述べてみたいと思います。
フリーラジカルは、日本語では「遊離基」といいます。
ひとことでは「原子のばれんぼう」と呼んでいいかもしれません。
たとえばH2Oという原子の集まりである水。
これに放射線をあてると、酸素と水素の強い結びつきがむりやり引きさかれて、
OHとOように、不安定な二つの部分に分かれてしまいます。
この分かれた分子が、フリーラジカルです。
昔習った物理学を思い出してください。
原子というのは、陽子とその回りをまわる電子とでできているのでしたね。
この電子、ふつうは対で働いているものなのです。
つまり電子の数が、対になれる偶数個のときだけ、安定しているわけなのです。
ところが、いまの水の放射線のばあいのような異常な事態が起こると、
電子が一個奪われたり、一個つけ加わったりしています。これがフリーラジカルです。
つまり分子が強烈に引きさかれた結果の、
「対をなしていない電子をもった原子、あるいは原子の集まり」ということです。
このフリーラジカルは、電子が奇数個なものですから、非常に不安定です。
そのため、となりの分子から電子を一個奪って、安定しようとします。
ところが、こんどはその奪われた分子が、また次の分子の電子を一個奪い、次がまた奪い、というぐあいに、
連鎖反応が始まってしまうのです。これ フリーラジカル反応 呼んでいます。
フリーラジカルが攻撃するのは、まず細胞膜です。
細胞膜は、タンパク質と不飽和脂肪酸というものでつくられています。
フリーラジカルの攻撃によって不飽和脂肪酸が酸化して過酸化脂肪(腐ったアブラ)になってしまうのです。
酸化、つまり、細胞膜がさびついてしまったわけです。
細胞膜自体には出入口はありません。
栄養をとり入れ、老廃物を出す代謝の働きは、すべて細胞膜を透過して行なわれています。
だから、細胞膜がさびてしまったらたいへん。
なお、酸化してしまった過酸化脂肪は、それ自体がフリーラジカルとなり、
新しいフリーラジカルをつくり出す原因ともなります。
次に、フリーラジカルによる酸化は、細胞膜を破って内部にまで侵入します。
細胞の中には、重要な役割をになう小さな器官がたくさんあります。
DNAとかリゾゾームとか、ミトコンドリアなどがそれです。
DNAは遺伝子そのものですが、フリーラジカルにやられやすいのです。
そうなると、生命活動の中枢に乱れができてしまいます。
たとえば誤った指令を発して、狂ったタンパク質を合成させてしまい、ガン細胞の発生につながる、
などといった事態を引き起こします。
リゾゾームというのは、ウイルスのような異物が侵入すると食べてしまうもので、
数十種類の大切な酵素を含んでいます。
ところが、リゾゾームの膜も不飽和脂肪酸でできているため、フリーラジカルにかんたんに破られてしまい、
内部から「加水分解酵素」をはき出して、細胞内部を溶かしてしまったりするのです。
ミトコンドリアは、小さな糸球体ですが、エネルギーを生む母体のようなものです。
心臓の機能や、人間のスタミナなどにかかわる重要な小器官ですが、
やはりフリーラジカルにやられやすいのです。
以上のようなフリーラジカルの破壊のしくみについては、
先の、分子が乱れた水と一脈通じるものがあります。
乱れた水は、もしかすると、フリーラジカルを多量に含んでいるかもしれないのです。
ではこのフリーラジカルは、どのような原因から生まれるのでしょう。
分子をむりやり引きさいた結果が、フリーラジカルでした。
この引きさく力としては、
宇宙線、放射線、]線、太陽光線、工場や車の排ガス、タバコの煙、光化学スモッグなどがあります。
飛行機に乗っただけでフリーラジカルが出るとさえいわれています。
また食品にも、フリーラジカルを発生させるおそれのあるものがあります。
それは、不飽和脂肪酸を多量に合み、古くなると過酸化脂肪になってしまう食品です。
たとえば薫製、魚の干物、古いバターピーナツツ、ポテトチップス、
揚げてあるインスタント麺(とくに化学調味料や食品添加物入りのもの)、
酸化した油を使ったてんぷらなど。
そして、薬品などにも、あぶないものが存在します。
それは、肝臓で分解するときに過酸化脂質をつく叫出してしまうもので、
ある種の高コレステロール治療剤、経口抗糖尿病剤、睡眠剤、抗ガン剤などです。
もうどうしようもない、という感じですね。
次に、生体内でも、自然にフリーラジカルは発生します。
たとえば細胞内のミトコンドリア自身が、エネルギーをつくり出すときに、フリーラジカルを生んでいるのです。
だからこの点に関しては、生命活動がストップしない限り、
フリーラジカルはいつでもつくられるということになります。
さらに精神的ストレスが、フリーラジカルの発生国となることもあります。
胃潰瘍などは、胃の内壁がストレスによってフリーラジカル状態におちいった結果、という人もいます。
このフリーラジカル自身の寿命は、しかしごく短いもので、一秒の数千分の一といわれます。
代表的なフリーラジカルは、水酸基OH、超酸化基、過酸化水素、過酸化脂質です。
このうち、前述の過酸化脂質が、もっとも人間の身近にあるため、
老化の原因(老化の原因の一つは体内の酸化)となる恐ろしい物質だといわれます。
しかし、人間の体には、生まれつきフリーラジカルに抵抗する力がそなわっています。
その代表的なものが酵素です。
なかでも、肝臓でつくられるグルタチオン・ベルオキシターゼという酵素が代表的。
これは、セレニウムという微量ミネラルからつくられるもので、
セレニウムを含んだ水が体にひじょうによいといわれるのも、この抗フリーラジカルの力があるからです。
アメリカでは、制ガン剤としてセレニウムが使われていますし、
土壌にセレニウムの多い地域ではガンが少ないという調査結果もあります。
セレニウムによってつくられる酵素の、グルタチオン・ベルオキシターゼは、酸化をもとにもどしてしまう、
つまり還元の働きをもつたのもしい味方です。
いわば体のさび落とし≠ナす。
そのほか、フリーラジカルに抵抗する勢力としては、
体内にたくわえられたビタミンE、ビタミンB2、ビタミンCなどがあげられます。
なかでもビタミンEは、やはり強力な抗フリーラジカルの力をもっています。
セレニウムとちがって、こちらは脂質の酸化自体を防ぐのです。
さらにEは、セレニウムと協力して、よりいっそう抗フリーラジカルの力を高めあう働きをします。
これらは老化防止としても重要なものです。
以上のようなフリーラジカル学説は、分子生物学や分子物理学の分野では、すでに常識とされています。
同じ分子・原子レベルの乱れということで、水の乱れの学説≠ニ重なる部分もあります。
一歩すすめて、水の乱れとは水がフリーラジカル化することではないか、
だからこのことが水を良いもの、
とくに天然セレニウムが通常の水道水の一〇〇倍も含まれている新見の水≠ノとりかえることによって、
健康がとりもどせる理由の一つではないかと私は考えるのです。
体が老化するとは、別の面から見れば、水分が減っていくということでもあります。
新生児で八〇パーセント、成人で七五パーセントほどもあった体の水分が、
老人になると五〇パーセントを割ることもあるほどです。
そこで、「老化とは乾燥の過程だ」ともいわれるのです。
水には、基本的な新陳代謝の働きがあるからです。
ところで、同じ老人といっても、見るからに若々しい人もいます。
二十歳もサバよんでもバレない人もいるかと思えば、四十でもう老人の風貌、といった人もいる。
この差は、体内の水分の減りぐあいによるところが大なのです。
命の根源である細胞内の水が、年とともに減る人と、減らない人がいるからです。
細胞内の水には、カリウムイオンという微量成分が含まれており、
これがどうやら「生命力」に関係しているようなのです。
たとえば果実でも、カリウムの多い土壌で育つと、甘くみずみずしい実ができるということです。
老化にともなって細胞内の水が減ることにより、カリウムが失われて、
細胞のいきおいがなくなっていくというわけです。
カリウムの減少は、老化の確実な指標といわれるほど。
ですからカリウムを含んだ良い水をきちんと飲んでいる人は、年れに比べて老化が遅く、
悪い水を飲む人や、そもそも水を飲まない人は、老化が速くすすむということになります。
また、カリウムとは逆に、ナトリウムが増えるのも老化のしるしです。
ナトリウムは水分が少なくなるとともに細胞内に入り始め、神経系や筋肉の老化、
異常を引き起こすとも言われています。
たとえば意識障害、筋肉のけいれん、しびれ、マヒ、筋肉の低下などです。
なお年をとるとともに体の水分が少なくなっていくのは、次の理由によります。
新陳代謝がおとろえるため、体内でつくられる水の量が減る。
腎臓における水分の再吸収作用が少なくなり、薄い尿がどんどん出ていってしまう。
こんな状態ですから、老化そのものが水とおおいにかかわりがあり、
老化を防ぐには、やはりきちんとした水のとり方をしなければダメだ、ということがわかります。
じっさい、ある老人ホームでは、水をたくさん飲んでもらうことで、
お年寄りの死亡率が減少し、平均寿命も延びたというデータがあります。
良い水″は老化防止にも関係してきそうですね。
年をとるとともに気になることのもうひとつは、「美容」です。
赤ん坊や子どもの、スベスベした文字どおりみずみずしい肌は、年齢とともに失なわれていきます。
皮膚は乾いてカサカサ、吹き出物ヤシミ、小じわもふえ、なんとなく汚い感じになっていくのがふつうです。
このうち、たとえば小じわは、細胞内の水分が減って皮下組織が縮んでしまうことなどが原因です。
吹き出物も、便秘など水分の新陳代謝がうまくいっていない証拠です。
美容にも、明らかに水がかかわっていたのです。
それに何よりも、血液が乱れてくることが、美容のもっとも基本的な敵です。
皮膚の素材をつくっているのは赤血球だといってもいいくらいで、
つまりきれいな血液こそが美しい肌をつくるのです。
そのためには、血液のもとである水を、良いものにとりかえなくてはなりません。
前にもお話ししたアメリカの女性一〇〇人のアンケートで、
共通した美容法は、良い水を飲むこと≠ナした。
いまの人が水をあまり飲まなくなったのは、水道水の汚れと関係があるかもしれません。
あまりに水道の水がまずいため、ついついジュースやコーヒーなどの飲料に走ってしまう。
その結果、糖分の摂りすぎで肌を痛めることになったりします。
こうした飲料は、それほど多量には飲めないのがふつうで、どうしても水分補給自体が少なくなります。
そのため便秘がちになり、尿が出なくなったりで、体に毒素がたまり、またまた肌をダメにしてします。
さらに水に混しる塩素や、化学物質、清涼飲料水の食品添加物などが血液を汚し、
直接肌をいためる原因になっていることもたしかです。
若いうちはそれでもなんとかしのげるのですが、三十歳をすぎるともう老化″が始まってしまいます。
「老化とは乾燥の過程」ですから、意識して水を飲まないと、ますますひどいことになっていくわけです。
なお、白髪やぬけ毛、若ハゲなども、水とおおいにかかわりがあります。
良い水にとりかえることでハゲが治ってきた、黒髪がよみがえった、などの例も数多く存在しています。
化粧品の水の質もやはり決め手のようです。
全生命的な水″と同じ成分でつくった化粧品をつけると
「シワやシミがうすくなり、みずみずしい肌になった」、「輝きが出てきた」と、
全員からラブコールをいただいています。