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岩塩とミネラルウォター
岩塩のほうが海塩よりおいしいと思い込んでいる
死海の塩

 ♪海水塩と岩塩の違い

岩塩信仰は誤解・迷信です。
これだけ清報が氾濫している日本で、文化人、学者、料理人さんや
料理出版界などの人達の多くが、岩塩についての一知半解の間違った知識で
凝り固まっていて、岩塩を有り難がって吹聴する未熟な国です。
岩塩を誤解していることは物理的な事実誤認であって、
意見や感性の違いとは訳が違います。
岩塩と海塩を間違うのは「ひらめ」を「かれい」と言うようなもので、
ハマチをブリと言うのよりもっとひどい間違いです。
プロはこんな基本的なことで間違ってはいけません、恥ずかしいことです。
岩塩のほうが海塩よりおいしいと思い込んでいる
 ♪岩塩と海塩

海塩と岩塩(陸塩)は採れる場所、産地の違いで言い分けます。
粒の大きさ、色のあるなしではありません。
岩塩と海塩は成分比も値段も違います。
市場に出ている海塩にも岩塩にも大粒もあれば小粒もあります。
岩塩は山(陸)から採れた塩で、粒の大きさではありません。
土を除いた、塩としての成分はNaclが殆ど
100%の純塩化ナトリウムでミネラルが無きに等しい塩です。
成分的にはJTのイオン塩と変わりません。健康面でも自然海塩より劣ります。
神代の昔から雑味のある海塩で育ち刷り込まれているに日本人の舌には
味は尖ってただ辛いだけです。岩塩は日本では産出しません。
輸入も殆どしていませんから普通では手に入りません。
掘り出した時は土の色でグレー、ブルー、ピンクなど様々で昔は流通していたのですが近年の先進国の市場ではまず流通していません。
精製して「真っ白で徴粒なヨード添加精製塩」にして流通させています。
アメリカ、カナダ、スイス、ドイツ、東ヨーロッパ、中央アジア、中国奥地や
発展途上国などの内陸部では、岩塩しか出ないから岩塩を使っているだけのことです。
未開発国や発展途上国、中国奥地辺りでは掘り出して砕いたままの
未精製の塩(泥やゴミの色がついている)を見つけることがあります。
色のついている岩塩を水に溶かして濾紙で漉してみれば、
色の付いた物(塩の成分ではない)は濾紙に残り透明な塩水がとれ、
この塩水を煮詰めれば白い結晶になります。
色のついた岩塩は先進国の人には標本か岩塩鉱山ぐらいでしか見られないものです。
高純度Naclは、ミネラル不足、
特にヨード不足で甲状腺に異常(バセドー氏病、クレチン病)を起こすことが
分かってから、岩塩産出国は食用塩には法律でヨード添加を義務づげているぐらいです欧米でも食用としては二級品扱いです。
  ♪岩塩には二種類の採りかたがある
@地下の塩水層、塩水の井戸または岩塩層までボーリングして
水を流し込んで塩を溶かし、ポンプで汲み上げて、
ごみを分離して煮詰め精製ヨード添加する。
安全で効率が良くゴミ・泥がとれるから純白で極めて細かい粒に
仕上げられています。コストが安いので世界の主流はこの方法です。
A石炭を掘るように掘り出しますから土が混じっています。
掘り出した時点では土の色がっいています。
水洗いして@と同じプロセスで仕上げます。
 したがって色のついた岩塩は出回りません。
水に溶けない泥は塩の成分ではありません。
唯の土を"ミネラル"といって塩分比率にカウントしてNacl70%などと言うのは無茶です残り30%はミネラルと誤解します。
Nacl・・・・99%の専売塩でも土を混ぜればいくらでも計算上の純度は下がります。
岩塩に混じっているぐらいの土を食べても腹痛を起こすようなことはないし、
土がおいしいと言うのは個人の味覚であって横からとやかく言う筋ではありませんが、塩に混じっている土が特に有り難い訳でもおいしい訳でもありません。
昔の妊婦は、
つわりの時に味覚が急に変わって壁土をほじくって食べたりしたことがあります。
 ♪岩塩とミネラルウォター

海が陸地に囲み込まれて岩塩になるときに、
Nacl以外のニガリ分はNaclより水に溶けやすく重いので、
数億年〜数千万年の間に地下へ降りてしまうから、塩の中には残っていないのです。
従ってその辺りの地下水にはニガリ(ミネラル分)が溶け込んでいるので水は、
強いミネラルウォーター(硬水)です。
塩と水とでワンセットです。
濃い、ミネラルは下剤です、軟水で育っている日本人はいっぺんにお腹を下します。
日本で、
ミネラルウォーターと言って売られている水は限りなく蒸留水に近い水です。
「うちのは蒸留水です」と言っていたセールスがいましたが正直で宜しい。
日本で市販されている「ミネラルたっぷりと強調しているミネラルウォーター」は、
下痢覚悟で飲みましょう!下痢しなげれば「ミネラルたっぷり」は嘘になります。

♪死海の塩

自然の状態でニガリが多いほど健康によいと
主張するミネラルたっぷり派の人達なら
死海の塩を食用にするのが理想的ではないのでしょうか。
イスラエルとヨルダンの間にある死海の塩水が
自然の状態ではミネラルが世界一多いのですから
これが持て嚇される歴史があってもよいでしょうが、
死海周辺では有史以来誰もこの塩を「ニガリが多すぎる」と言って
食用にしていません。
死海の近くで説教をしたキリスト様もこれを食ベよとは言っておられません。
死海の塩は浴用とか、マグネシウムを採るためにイスラエルでは
死海工業が操業していますが食用塩は作っていません。
イスラエルは国の南端の紅海に面したエイラートに塩田をつくり
食用塩を自給しています。
死海では勝手に結晶になつてくれるので、
まるで、川か海岸で砂を採るのと同じようなものです、
砂は採れぱ減りますが死海の塩は採っても採っても無尽蔵に結晶になります。
死海そのものが、「老の滝」か「打ち出の小槌」みたいなものです。
製造原価はゼロで、集めて積み出して運ぶ費用だけでよいのです。
食ベることができない塩は塗っても良いが、
塗って良い塩は食ベても良い(害がない)とは限らないのです。
一九九四〜九五年の塩浴ブームのときにこの塩を浴用に輸入した業者は
いましたが食用に売った業者はいませんでした。
世界中から欲の権化みたいに思われているイスラエル(ユダヤ)人が
「日本人はこの塩を@一〇円/sで仕入れて
@一、二〇〇円で(美容・浴用に)売っている、欲が探すぎる」とぼやいていました
死海で、目を閉じて瞼の上から湖水を顔に軽く塗っただけでも耐えられないほど
しみました。映画『怒りのアフガン』のロケに来ていたシルベスタースタローンが
『俺は別人だ(鉄人だ)』と湖面に顔をつけて目の痛みに耐え兼ねて
大騒ぎになったそうです。

NHK教育TVは小中学生向けの科学番組で塩を身近かな物質の代表としてし ばしばとりあげます。
 一九九七年四月八日(火)一四:00〜一四:三〇
 「塩の大きな結晶・岩塩 を水に溶かしてみましょう」と言って
 原塩を糸で水槽に吊るして実験して見せ ました。
 その他、大学教授クラスの人が川崎市の輸入原塩が積み上げてあるところへ行って指さして
 「メキシコから輸入した岩塩です」などと言い切るのですから、
 誰でも大粒塩のことを岩塩と思うのは当然でしょう。
NHK京都一九九七年春・・・京都の豆腐料亭『奥丹』石井康家・一二代目当主。
 女性ナレーターの軽快なテンポのナレーション。
 豆腐の作り方・・・豆乳にニガリ。
 「ワラ(カマス)の中に入っている岩塩が空中の水分を吸い、
  岩塩に含まれるニガリの成分を数日かけてぽたぽたと落とすのです」と解説していましたが
 (奥丹さんには関わりないことでしょうが)これは真っ赤なウソです。
 戦前のニガリたっぷりの三等塩でも梅雨どきでないと二〜三日ぐらいでは採れるものでほありません ニガリ入りの岩塩など見たことありません、地質学を書き換えなければならない大事件です、
 そんな珍品は見せてもらいたいものです。
京都の西愛宕山の麓・・・三〇〇年続くアユ料理の店‥『鳥居本』
 地元・保津川で取れた天然アユしか使わない。
 振りかける塩は岩塩を細かくしたもの″を素早く振って一気に焼き上げる。
 石毛直道氏が食べる。なぜ岩塩でなければいけないのでしょうか?
NHKの「今日の料理」でパスタの湯がきに
 『塩は少しづつ入れないと噴きこぼれますから注意しましょう』と
 説明していた女性講師がいましたが、
 JT食塩に防湿加工している添加物である塩基性炭酸マグネシウムのラムネ作用であって、
 JT食塩だけの特徴だということを知らなかったようでした。
一九九五年九月三日(日)10:30〜11:00 RNB・南海放送/制作・著作 
 中京TV『ワザあり紀州の奇跡 完熟梅干し』
 松野周次郎さん・忠夫さんの家族を紹介して、女性パーソナリティ高見知佳さんが
 『紀州梅の最高級品と言われる訳を解き明かしましょう』とナレーションをいれました。
 画面にはっきり、塩の袋に赤い大きい文字で『原塩』と書いてあるのに 
 『天然の岩塩しか使いません、自然のミネラルがたっぷり含まれているんです』、
 だからここの梅干しほ素晴らしい、おいしい梅干しができると感情こめて何度も話しました。
 塩の現物の袋を見ているのに何故間違うのでしょうか。
 塩を見て粒が粗いから、岩塩のほうが塩として優れているとの思い込みで
 原塩=岩塩とレポートしたのでしょうか。
 原塩を使うのは品質の違いに無頓着で値段が安いから多くの業者が横並びで使っているだけです。
 ゴミが多くて非衛生なので一般市場へは流通させていない塩です。
 本当の高級な梅干しには原塩は使いません。
 高見知佳さんは事前にレクチャーを受けていなかったやっつけ仕事だったのでしょうか。
 結果として、自分の無知さを全国へ知らせたことになり、
 TV局は、取材した松野さんの梅干しが並のものであることをしらせ、
 スポンサーも大恥をかいたことになります。
ANA機内誌「SKYSHOP」一九九七年一〜二月号にのっている広告
 [万曜草根粥]
 『天然エネルギー変性加工を施した、通常のものよりアルカリ度が高い国内産天然塩を使用』。
 これ何ですか?天然エネルギー変性加工と聞いてすぐ分かりますか?有り難いですか?初耳です。
 通常の塩とはJT塩のことでしょう。
 これはpH10.7もあり、石鹸のpH10よりも強アルカリです。
 天然・自然海水塩は海水と同じ弱アルカリであるpH8前後です。
 これ以上にpHが高かったら国内産であろうと何であろうと天然塩ではありません。
 具体的な銘柄を聞いてみたいものです。
ANA機内誌「巽の王国一九九七年六月号」
 佐藤隆介氏が沖縄・粟国島の塩をレポート‥
「ミネラルたっぷり、ニガリたっぷり、名実ともに世界一のミネラル含有率を誇る」と
 最大限の賛辞で書いておられますが、
 このままでは昔の身長五尺・人生五〇年に逆戻りする可能性はないのでしょうか。
 こんなレポート を信じてニガリたっぷりの塩を食べた人は悲劇です。
一九九七年九月二六日 一三:00〜TV朝日上沼恵美子の料理番組「おしゃべりクッキング」
 あべの辻調の先生が協力‥ペンネを湯がくのに原塩を使ったら、
 上沼さんが、「岩塩を使うとおいしい」と言ったのに 
 「これは岩塩ではありません」と訂正をしなかった。
 先生が大粒を岩塩と思い違いをしているのか、
 それとも上沼さんに恥をかかしたらいけないと遠慮したのか?
一九九七年一〇月二日(木)TBS はなまるマーケット
 「外国のハムはミネラルのある岩塩を使うが、
 日本国内製のハムはミネラルのないJT塩を使うよう義務づけられているから、
 岩塩に含まれているようなミネラルが不足しているのでミネラル分を溶かした塩水に浸している」と 説明していた。
 しゃべっている本人が正しいと信じてあれだけ堂々と塩についてもウソを言えば
 視聴者は正しい情報と信じ込んでしまうのは無理ないことです。
 「当然ですがJT塩を使うように義務づけられ」てはいません。
一九九七年九月三日 二〇:00〜 NHK 「ためして合点」
 塩抜きの「迎え塩」に化学調味料添加のエンリッチ塩″を使っていた。
 塩の用途が全く分かってない者が番組を作ったのが歴然です。
 大阪・けつねうどん本舗・松葉屋の宇佐美辰一(たつかず)さんを
 「たついち」と読んだ。全く失礼なことです。
一九九七年一〇月二四日(金) 二二時〜フジTV
《料理の鉄人》「塩対決」後藤雅司VS坂井宏行
 料理人がどんな塩を使おうとその人の考えだからよいけれど、
 塩使いの名人達人と言われてTVに出るときには人を納得・感心させる理由があるべきでしょう。
 塩の大きな塊を擦り降ろしながら調理をしていましたが、
 岩塩でも海塩でもげんこつぐらいの大きさの固まりはできます。
 おろしたての塩がおいしい訳ではありません、ワサビを擦り降ろすのとは違います。
 お客の目のとどかない調理場でもこのやり方が料理がよりおいしくなると
 思ってやっているのなら首をかしげたくなります。
 化粧に使うフルール・ド・セル以外は殆どの場合、
 塩は水に溶けて役に立つのですから料理の味には何の関係もありません。
 岩塩を使う理由は 「岩塩は食品としての品位は海塩より劣る」ことを識った上で、
 「それでも自分が好きだから」でなければいけないでしょう。
 全くの素人受けをねらっただけのパフォーマンスとしか思えませんでした。
  服部幸應先生が「肉には岩塩を、魚には海の塩を」と言っておられましたが、
 陸上動物の肉にはもともとミネラル(塩分)があるから(ミネラルがない)岩塩を使ってもよい、
 魚肉にはミネラル(塩分)が殆ど無いからミネラルのある海塩が合う、
 有無あい補い合うということです。
 「白い料理に白ワイン、赤い料理に赤ワイン」という語呂合わせ的なものとは違います。
橘 出雲著『幸せをつかむ食べ物食べ方』はいわゆる「ハサミと糊」で受け売りを書いた本、
 自分の足で歩いて書いた本ではないようです。
 p.47〜p.66まで「塩」について書いてありますが、一知半解です、
 これを信じる読者はお気の毒です。
 p.51に、[ニガリをたっぷりと含んだ「本物に近い塩=自然塩」を口にするよう心掛けることです 自然塩にはマグネシウム・カルシウムなどの各種微量ミネラルがバランスよく含まれているから。
 それが、母なる海の恵みだからです]。と書いてあります。
 ニガリたっぷりが各種ミネラルバランスが良いのでしょうか? 
 それなら結晶になる前の濃厚海水が理想的な成分ではありませんか? 
 塩のミネラル(ニガリ たっぷりは料理の味も、あなたの健康も壊します。
 さらにp.54に良書紹介として『自然海塩の超健康パワー』
 ジャック・ラングレー著、原悠太郎訳を推薦しておりますが、
 この本はフランス・グランドの泥まみれの塩を宝珠の如く持ち上げています。
 これぐらい塩について不勉強で間違った偏見と独断を書いたものはありません。

岩塩について

●プロの料理人の勘違い−岩塩信仰

 洋食の料理人さんには岩塩信仰が根強いので驚いてしまいます。
いわく、
「岩塩はミネラルが多いから、素材の持味を引き出してくれる」
「料理の味が一段と良くなる」
「ヨーロッパで修業していたときは色のついた岩塩″を使っていた」
「岩塩に含まれるにがりが良い……」
 ただし、これらは誤解と勘違いであることが多いのです。
ここの岩塩″という言葉を大粒の海塩≠ノ入れ換えれば、おそらく100パーセント正しい表現になるでしょう。
 要するにプロの料理人は、形状が大粒の塩のことをやみくもに岩塩と表現する傾向があるのです。
しかし、実際ほそれらは大粒の海塩 
つまり日本たばこ産業が、ソーダ工業原料として専売法で輸入した「原塩」というものです。
 岩塩は日本では産出しませんし、とくに必要がないので輸入もしていません。
したがって、日本では市販流通されておらず、飲食店が業務用に継続して岩塩を使うことはほとんど不可能です。
 もしも、レストランなどで〇〇〇の岩塩風味≠ネどというメ二ユーがあったり、
「岩塩のほうが良い」と教える料理学校、調理師学校、シェフ、料理の本などがあったとしたら、
料理の最も基礎である塩≠ノついて、プロとして勉強不足ではないかなどと勘繰ってしまいます。
 この洋食料理人の誤解には、どうも岩塩のミネラルという言葉がネックになっているようです。
つまり、自分がヨーロッパで使っていた岩塩は粒が大きくて色がついていた、
その色は、ミネラルの色だ……、ミネラルの多い塩は良い塩だ、
というように、誤って信じ込んでしまったのではないかと思うのです。
 たしかに、岩塩にはプラウソ、グレー、ピンク、ブルーなどいろいろな自然の色が付いています。
しかし、これらの色は多くの場合、塩鉱や岩塩層に混じっている土の色などであって、
塩に本来含まれているべき、ミネラル成分の色とはいいがたいものです。
 岩塩はほとんどNaCl 100%です。
高純度塩はクレチソ病、バセドー氏病の原因になるというので、
食用岩塩にはヨード添加を義務づけている国もあります。値段も海塩の半分くらいです。
 色のついている自然塩は、たいていの場合、水に溶かしてペーパーフィルターでこすと色の成分が紙に残り、
そのこした塩水を煮詰めると白い塩になります
(こうすると、味もよりおだやかになります)。
もちろん、精製した塩に人工着色した塩はそのかぎりではありません。

●誤った岩塩信仰のルーツ

 第一次世界大戦後、敗けたとはいえ当時科学の先進国だったドイツへ留学していた日本人留学生が帰国しました。
そういう人たちが東大の教授になったり、日本の各方面の知的リーダーとなって活躍したわけです。
 彼らは当然、ドイツを賞賛しました。
こうして、ドイツを見習い、追いつき追い越せという風潮が日本人に出来上がっていきました。
 当時のドイツには岩塩しかありません。
ドイツは黒パンを常食とするような質素な国ですから、
山から掘りだした岩塩をそのまま砕いただけで、色のついたまま市販され平気で使われていたのです。
そこへもってきて日本人のドイツ信仰が、
ドイツの岩塩は味も良く健康にも良い塩だと思わせてしまったのではないでしょうか。
 フランスで修業した料理人が、
フランスで使用していた色のついた大粒の海塩をそのように誤信してしまったのも、
ひょっとしたら先進国信仰の産物なのかもしれません。
 しかし、こうなったのは料理人の方々が勉強嫌いであるためではありません。
一流の料理を目指す方々ほ、本当に勉強熱心です。
だからこそ、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、中国語などたくさんの言葉も達者なのだと思います。
 これは、日本の専売制度に責任があると思います。
世界でもトップレベルにある日本の塩の研究成果と多くの情報ほ専売当局の内部にキープされ、
「依らしむべし、知らしむべからず」で私たちにはほとんど選択の余地なく一方的に買わされてしまうわけです。

●岩塩をミルで挽く − 時代遅れなファッション?

 レストランへ行くと、テーブルの上に胡椒と塩のミル(粉挽き器)が置いてあることがあります。
胡散のミルはご家庭でも使われていると思いますが、
塩にミルを使うのはあまり知られていないのではないでしょうか。
さすが高級レストラン″と思わせます。
 しかし、これは一つのファッションにすぎません。
 この塩のミルは、製塩技術がまだ未発達だったころ、
岩塩や塩田塩が大粒のまま流通されていた時代の遺物なのです。ここにも、岩塩信仰があるようです。
 胡椒は、たしかに挽きたてのほうが香りがよく、香辛料としての役割としてより効果があります。
しかし、塩はそういうものではありません。
ミルで挽く必要がなければ、ミルも必要もないと思うのです。
 変な話ですが、塩をミルで挽くというファッションのために、
塩化ナトリウム純度を高くした塩をわざわざ大きい粒に再結晶させて固めた塩が、
少量ですが高価で市販されています。
 グルメ指向が盛んになっている日本人には、食通ぶりも一つのファッションなのかもしれませんが、
ミルで挽いた塩は味が良くないということは覚えておいてください。
 日本人の舌ほ古代から海塩に馴染んでいますので、味覚の面でも海塩のほうが岩塩に勝ります。
岩塩料理のドイツレストランより
海塩料理のイタリア、フランス、スペイン料理のほうがはるかに多いことが証明しています。
岩塩と海塩では、海塩のほうに軍配が上がります。

塩の質を選ぶ

●料理人の塩への讃辞
 塩加減というのは、本当に難しいものです。ひと振りだけでも、料理を台無しにしてしまうことがあります。
 そういうことから、塩に関してほむかしからプロの料理人がいろいろなことを言っています。
家庭でも参考になるものが多いので、次に列挙してみましょう。
「究極の味は塩から。味の決め手。味の起源。味の心棒」
「塩は味の基本、健康の基本。味は塩にあり」
「素材の持味、うま味を引き出すのが塩」
「素材を生かすも殺すも塩です。塩加減が狂うと、すべてが狂ってしまいます」
「料理は塩に始まり塩に終わる」
「塩あじがまっとうなら、すべての味がまっとうになる」
「塩の生かし方に芸が現れる」
「塩に厳しい人が一流になれる」
「塩の味がわかれば、本当のグルメだ」
「塩を知り尽くしたとき、真の料理人となる」
「塩振り三年」
「上板(年期の入った人)でなければ塩は持たせてもらえない。塩を使わせてもらえだしたときに、上板と尊敬される
「トンカツは塩で食べるのが美味しい」
「ステーキは塩がいちばん」
「エビのてんぷらには塩が合う。生きのいいエビの甘さが冴える」
「減塩の風潮が料理人をへっぴり腰にし、腕を鈍らせてしまう」
「味を殺してしまうはど塩を減らしては、元も子もない」
「私は砂糖がなくても料理は作れますが、塩がなければ引き受けません」
「今の味噌・しょう油ほ、塩が足りないので、塩を少し足しています。驚くほど味が締まります」
「塩を充分に使うと料理に力がでます。味に堂々とした風格が出ます」
「塩を制するものは食を制す」
「真夏はよく汗をかきますし、冬は寒くてトイレが近くなりますから、この季節には塩を多めに使います」
 − いずれも、言い得て妙です。
 しかし、これらの名言は、ほとんどすべて味つけと塩加減に関するもので、
塩の質についてほ言及されていません。
これも、専売制によって塩に質などないと信じ込まされてしまった弊害かもしれません。
 料理人がキチッと塩を使えは、塩の質の違いが味の違いとなって出てきます。
塩の質によって味は生かされも殺されもするのです。
美味しいと評判のお店、食べてみて「いけるな」と感心した店は、必ず良い塩をキチッと使っているものです。
 私の知っている範囲で、いちはん熱心に塩の質と使い方を研究し、こだわり続けている人は、
大阪南船場のけつねうどん″元祖松葉屋のご主人、宇佐美辰一さんです。
この方は塩振り必殺仕事人″とでもいうべき料理人で、
塩を振るときの手のひねり方が右ひねり、左ひねり、外ひねり、内ひねりなどによって、
六種類の味を自由自在に操るのだそうです。
テレビで何度も実演されていますから、ご存じの方もたくさんいらっしゃるでしょう。

●塩選びは素材選びの原点

 すべての素材には、品質の善し悪しがあります。
少しでも良いものを選ぼうと五感を総動員するプロが、
塩は塩辛ければなんでも同じだ″と疑うことをしないのは残念です。
素材にうるさい料理人のなかにも、塩はフリーパスというケースは少なくありません。
タバコに違いがあることを知っていても、塩の質に違いがあることはご存じないか、あるいは気にしない人がいます。
 砂糖も、グラニューよりは三温糖が良いなどといわれます。
ところが、もっと微妙なものであるはずの塩加減、
これに使う塩という素材に無頓着では、出来上がった料理も違ってくるはずです。
 ただし、最近になってようやく一部の料理人が塩を見直しはじめました。
こういう風潮は、ぜひ広がって、塩を素材として吟味することが常識になってほしいものだと思います。
「伯方の塩」などの自然塩は、一九七四年から売り出されています。
健康・自然食晶店、生協、一般のスーパーの店頭にも並んでいます。
売れ行きも悪くないので、家庭では自然塩が見直されて使われているということです。
こうした自然塩が料理飲食店や、漬物、味噌、しょう油、麺頼などの食品加工用に使われはじめたのは、
ごく最近でした。
以来、使う店が見る見るひろがっていくようです。
 私は、手前味噌かもしれませんが、自然塩を使っている店のほうが美味しい店だと信じています。
良いレストランかどうかは、私はテーブルに置いてある塩をなめて判断します。
粒が小さくて、なめてみるとビリビリとただ辛いだけの精製塩の場合には、当然私の評価は落ちるわけです。
 また、てのひらに塩をのせたときに、
粒の大きさが二種類あり、キラキラと輝いて、なめたときに少し甘味があるときは、
化学調味料の混じったものと思ってよいでしょう。
東京の有名なてんぷら屋さんでこういう塩に出会って、びっくりした記憶があります。

塩が主役、おすすめ一品

●ほかの調味料、塩との相性は?

 日本人は一日に二〇グラムの塩分を取る、などといわれますが、
二〇グラムの塩を量ってお皿に盛り、いっべんになめるようなことはしません。当たり前の話です。
 塩は、塩だけでなめると非常にしょっばいものです。
しかし、これを調味料としてうまく使うと、ほかの味との素晴らしいシンフォニーを奏でるのです。
 たしかに、本当の酒飲みは塩をなめながら日本酒を飲むなどといわれますが、
その場合にしてもお酒の味を引き立てる脇役に徹しています。
 食べ物に関していえば、塩はど裏方に回った名脇役はいないのではないでしょうか。
己の姿を隠し、自己主張をせず、ほかのうま味を立て、あるときはまったく反対の甘味を引き立てることもあります。
そういう名脇役を充分に使いこなしてこそ、キッチンのプロになれるというものです。
そこで、塩の分量の目安をお教えしておきましょう。
・ひとつまみ      約〇・六グラム
・ひとにぎり      約二五グラム
・小サジすり切り    約六グラム
・大サジすり切り    約一五グラム
・計量カップ(一八〇CC)すり切り 約二〇〇グラム
「塩を制するものは料理を制する」とか……。
 まずは、調味料としての塩の特徴を知っておきましょう。
@甘味と塩あじの関係
甘いアンコを煮るときに、隠し味として塩を入れることは、むかしの主婦なら常識でした。
濃い味の煮物にも、醤油と砂糖の組合せが味の主役になっています。
こういう味は、やはりご飯のおかずとしてのお惣菜料理を作ってきた日本の家庭料理ならでは、
といえるのではないでしょうか。
女子栄養大学助教授の松本仲子先生が、この塩あじと甘味のバランスについて次のように
教えてくれ
 (やさしい味)     (しっかり味)    (濃い味)
ニンジングラッセ    さといも煮ころがし   しいたけ含め煮
塩分    糖分      塩分   糖分    塩分   糖分
〇・五 ― 一・五    一・五 − 五     三・〇 一 一〇
  卵とじ
一・二 − 五

このバランスは、お袋の味のバランスです。
お袋たちは、この微妙なバランスを毎日の台所で経験的に覚え、
勘だけで見事に素晴らしい味を作ることができたのです。
このバランスがくずれると、どうしても私たち日本人の口には合わなくなってしまうのでしょう。
 表を見ると、濃い味からやさしい味まで、塩対砂糖の割合はそう変わらないようです。
これらの料理はもちろん、いろいろな料理で砂糖と塩のバランスや相性について、
ご自分でも確かめてみることをお勧めします。 きっと、台所のプロに一歩近づくことでしょう。
Aすっぱ味と塩あじ
 日本には酢という古くからの調味料があります。これも、塩とともに非常によく使われます。
 純日本的な料理で、酢と塩できわめて簡単な調味を施したものといえは、お寿司です。
 米一カップに対して、酢を大さじ一・五杯、塩を小さじ二分の一杯を混ぜ合わせて寿司用の酢ができます。
この塩分濃度は八%にもなるのですが、とくに塩辛く感じません。
ちなみに八%の塩分濃度というのは佃煮と同じで、すまし汁は一%です。
 要するに、すっぱ味は、塩あじを弱めるはたらきをするのです。
梅干しの塩分濃度は二〇%にもなるものがありますが、
味はしょっぱい≠ニいうよりもむしろすっぱい″はずです。
すっぱ味というのほ、それほど強い主張があるわけで、
これが塩あじや、砂糖と塩あじが重なった味をまろやかにしてくれるのです。
 また、逆のこともいえます。
すっぱすぎる夏みかんなどに塩をかけて食べることもありますが、
これは塩あじがすっぱ味を緩和させるからです。
適度なすっぱ味と塩あじは、互いに薄め合う関係にあると考えておけばよいでしょう。
 味をととのえるときに、塩加減ほど難しいことはありません。
ちょうど良い加減の幅がきわめて小さいためです。
少しでも入れすぎると、しよつばすぎて、はじめの一口は良いとしても、
最後まで食べるうちにイヤになってしまうものです。
 煮物やお吸物で、ちょっと味が濃くなってしまったと思ったら、酢をはんの数滴加えてみましょう。
多少、味は濃厚な感じになりますが、それなりにととのうようになります。
ただし酢は非常に効くので、ごく少量ずつ入れて味の変化を確認しながら調味してください。
Bうま味と塩あじ
 うま味というのは、簡単にいえばだし汁″の味です。
昆布、かつおぶし、貝など、あっさりした魚介類から出るエキスは、日本の味のうま味の正体です。
中華料理や西洋料理では、鶏ガラや野菜などから出る濃厚なうま味を利用します。
 化学的に分析して、合成的に調味料にしたものが、化学調味料といわれるものです。
きちんとだしを取らなくても、だれでも似たような味ができますが、香りは出せません。
本物の だし汁には遠く及ばないのは当然のことです。
自然のうま味というのは、成分だけで取り出すことができないからです。
これは、化学的に作られたイオン塩がまずいのと同じことだと思います。
 閑話休題。
 だし汁はうま味≠ェたくさん入っているとはいっても、
そのまま飲んでも決して美味しいスープにほなっていません。
なんとなく香りのする、頼りないお湯という感じです。
 ところが、このだし汁をお椀につぎ、塩をひとつまみ入れてみてください。
うま味成分が塩によって息を吹き返したように、素晴らしい味になります。
 もう一つ例を考えてみましょう。
 たとえば、ホウレンソウのおひたしのように、それ自体はうま味をもたないようなものには、
あまり多くの醤油は付けたくなくなります。少しの醤油で充分に味が感じられるからです。
ところが、刺身の場合には、たっぷり付けてもそう塩辛い気がしません。
とくに、中トロなどには、かえって醤油の付け方がたりないとものたりない感じになります。
 これも、刺身に含まれるうま味と塩あじの相性を示しています。
うま味が塩あじを求めるから、うま味の含まれる刺身には醤油が合うのです。
ところがホウレソソウにはうま味がないので、醤油の味がストレートに感じられてしまうというわけです。
 ホウレンソウのおひたしには、よくかつおぶしが振り掛けられています。
かつおぶしと醤油と和えてあるものもあります。
これらは、うま味と醤油の塩あじとのバランスをつけて、美味しく食べようという知恵なのです。

●素朴な「炊き込み塩ご飯」はいかが

 塩の味は、素人の方にはなめただけではわかりにくいかもしれません。
しかし、すまし汁にすると一目瞭然です。
だし汁との相性だけで塩の味を味わえるのですから、塩の差が出やすいわけです。
 もう一つは、おにぎりでしょう。
塩とご飯の相性もなかなかのものですから、ごまのおにぎりにして塩を味わってみてください。
 おにぎりというのは、塩をのせて″使う調味法です。
ご飯のなかにしみ込ませるのではなく、表面に塩をかけて食べる感覚です。
こうすると、塩あじが強く感じられます。
 試しに、おにぎりを作るときに塩の量は同じにして、
一方はてのひらにお塩を付けて握り、
もう一方はあらかじめ塩とごほんを混ぜてから握ってみましょう。
この二つのおにぎりを食ベ比べてみると、てのひらに塩をしたほうがしょっばく感じられると思います。
あらかじめ塩とご飯を混ぜたものは、全体に薄い塩あじがただよった味つけご飯のような感じで、
ものたりないかもしれません。
 あらかじめ塩とご飯を混ぜたものほ、いわゆるしませる味″であって、
てのひらに付けたはうはのせる味≠ニいうわけです。
野菜の煮物や漬物などはしませる味の代表で、トマトやてんぷらなどにかけて食べる場合ほのせる味になるわけです。
 これはそれぞれの料理によって異なるわけで、オーソドックスなおにぎりはふつうのせる味で食べるわけです。
しかし、炊き込みご飯などをおにぎりにした場合には、
ご飯を炊いたときに塩分をしませたわけですからしませた味になります。
 おにぎりの場合、どちらが好きかは好みになるでしょうね。
 では、塩をしませた味で、塩あじを味わうシンプルな料理もご紹介しましょう。
塩の味つけご飯です。これは、ご飯を塩にまぶすだけでなく、炊くときから塩水で炊いてしまおうという魂胆です。
 炊き込みご飯は、あまり塩辛いと飽きてしまいます。
主食ですから、すまし汁よりも薄い〇・五%くらいの調味が適当です。

●塩あじがわかるだし汁″のバリエーション

 日本のすまし汁は、まずほかつお節と昆布です。
@作る量より少し多めの水に昆布(一〇センチ×一五センチくらいの大きさ)を入れ、中火にかけます。
A充分に沸騰したら、一杯分一〇グラム程度のかつお節を入れ、ふたをして火を止めます。
 五分後にもう一度火をつけ、再び仰騰する寸前で止めてから、同じように五分ほど置きます。
B昆布とかつお節を布巾でこして、出来上がりです。
 これに、一%くらいの塩を加えればすまし汁になりますが、
いちいち計算して量るのではなく、自分の舌の感覚で覚えてしまうことをお勧めします。
 これに味噌を溶かし込めば味噌汁になりますが、
味噌汁の場合には昆布を多め、かつお節を少し少なめにすると味噌の香りが引き立つように思えます。
また、だし汁をとるときに、かつお節を入れてから一分から二分は弱火で煮ます。
 しかし味噌汁を作るときに最も大切なのは、味噌は煮ないということです。
だし汁を充分に沸騰させたら火を止め、すぐに手早く味噌を溶かしていただくのがお美味しいのです。
味噌を入れて沸騰させてしまったものせ比べると、驚くはど味が違いますから、試してみてくださ。
 最近は甘口の味噌が多いようですが、
そういう場合には味噌をちょっとものたりない程度に少なめにして、少量の塩を加えるとシャンとした味になります。
 美味しいだし汁ができるようになれば、料理の基本がわかったことになります。
この要領を生かしていろいろとチャレンジできる勇気もわき、また楽しみにもなってくるほずです。
こうなると、料理もなかなか楽しいものです。
 簡単な応用編としては、うどんやそばのお汁を作るというものです。
 だし汁に、お酒、みりん、水少々を加え、一分くらい中火で煮立たせます。
お酒やみりんは味をよくしますが、アルコール分をとばすために油仰騰させるのです。
これに、塩、醤油、少量の酢で味をととのえるのです。
 このお汁に、ゆでたうどんやそばを入れれば、立派な一杯のかけそば(かけうどん)になるわけです。
 もう少しお袋の味っぼくするなら、大根やニンジンを加えましょう。
だしを取った昆布をだし汁に戻し、少し水を加え、
沸騰したらいちょう切りにした大根・ニンジンを入れて柔らかくなるまで煮ます。
沸騰したら、同じように酒とみりんを適当に加えます。あとは同じです。                    
 大根は厚め、ニンジンは薄めに切ると同じ時間に柔らかくなるでしょう。
また、もっと濃厚なこってりした殊にしたければ、ころ合いの挽き肉を野菜と一緒に適量入れてみましょう。
この場合には醤油味が合うので、前述のように酢を使いながら、濃いめの味に仕上げると美味しくできます。

●妙めものには、塩加減に要注意

 油をたくさん使う料理に塩加減するときは、ちょっと注意してください。
 油料理は、素材のまわりが油にまみれますから、塩あじが浸透していきません。
つまり、典型的なのせる味″となるわけです。
ということは、煮物などの感覚で塩をたしていくとしょっぱくなりすぎて、思わぬ失敗を犯してしまうわけです。
 てんぷらは塩で食べるのもサッパリと美味しいものですが、少量をつけてもかなり塩あじが効くはずです。
これも、塩が油に溶けないからなのです。
 妙めものは、強火で時間との勝負という慌ただしい料理になりますが、
そこでエイヤッと適量の塩を振れるように、あらかじめ入れる分量を容器に別にしておくべきかもしれません。
炒めながら、塩を取りにいくようではいけません。
 少量の塩あじだけでも美味しいのですが、
酒、みりん、酢などの調味料との相性を利用するとより美味しくなります。
そういう場合には、はじめから入れる調味料の分量を合わせておくと素材を無駄に熱してしまう心配がありません。
 キャベツ、シイタケ、サヤエンドウ、むきエビ、イカ、チンゲンサイ、モヤシ、豚肉などなど、
冷蔵庫に余っているものを適当に整理するにはもってこいでしょう。

●気軽にもんでみよう、塩と野菜

 塩を使ったカンタン料理といえば、キュウリもみです。
夏の食欲のないときなどほ、キュウリやナスを塩でもんだだけのものが妙に美味しく、
ビールもすすむというものです。
 ただし、最近はキュウリもナスも一年中ありますが、
やはり夏場に食べるのが美味しいということをお断りしておきます。
キュウリの塩もみ
 キュウリは、ななめに薄切りにします。太いものは、たて半分に割ってからスライスしてください。
これをボウルに入れ、少し多いかなと思う程度の塩を入れ、
少量の水(カップ一杯程度)を入れて指先で軽くもみます。
 紫蘇の菓をみじん切りにして置いておき、署荷はスライスにして塩水につけておきます。
もんだキュウリは、▲食べてみてし上つばいと思ったら、サツと水で淡いま一す
簡単に水を切ったら、みじん切りの紫蘇とスライスの著荷を合わせればできあがりです。
 お好みで、タマネギのスライス(塩水に充分にさらす)、ピーマンの千切り、
ショウガの千切りなどを少し加えてもいいでしょう。
ナスの塩もみ
 ナスは、へたを取ってたてに割ります。
割れた平面を下にしてまないたに置き、漬物を切るように三ミリくらいの厚さで斜めにスライスします。
これをボウルに入れて、キュウリもみと同じように多めの塩とカップ一杯くらいの水を加えてもみます。
水の色が真っ黒になったらザルにあけ、水洗いすれば出来上がりです。
 キュウリのときと同じように、薬味を加えると美味しくいただけます。
また、ナスの場合にはレモンの絞り汁を少量たらすと、塩あじとナスの風味がより引き立ちます。
カブの塩もみ
 カブは、二、三ミリにスライスします。
大きいかなと思ったら、例によってたてに半分に割ってからスライスするとよいでしょう。
葉や茎の部分も、二センチくらいに刻んで一緒に食べます。
カブの葉は大根の葉ほどは固くありませんから、ゆでるまでもありません。
生に近いものをガシガシと食べるのもまた、うまいものです。
固いものが嫌いなら、サッと熱湯にくぐらせる程度で適当な柔らかさになります。
 これも、同じように塩もみします。
ゆずを混ぜるとか、左党なら鷹の爪を少しみじん切りにします。
海苔に巻いて食べると美味しい、という人もいれば、ショウガ醤油が合うという人もいます。
その人なりに気ままに楽しむのが、料理上手の第一歩だと思います。