●「健康にいい塩」などない ナグモクリニック総院長 南雲著
最近は、にがり製法によるミネラル豊富をうたった天然塩も、いろいろな種類が出回っています。
天然塩は、
塩化ナトリウムの合成塩よりも体にいいと誤解されている面もあるようですが、
塩分の摂り過ぎを助長しているようで非常に危険だと思います。
たしかに天然塩にはミネラル分も含まれています。
けれど何もミネラルを塩から摂らなくてもいいでしょう。
塩からミネラルを摂ろうとすると、相当量が必要になってしまうからです。
ミネネラル分はむしろ海藻や魚介類から摂ることをおすすめします。
たとえば、もずくやめかぶを、酢だけで昧つけして食べれば、
塩分量を抑えて、ミネラルをたっぷり摂ることができます。
天然塩からわざわざミネラルを摂取するよりも、はるかに健康にいいことは明らかです。
ミネラル豊富をうたい文句にしている天然塩の中には、
岩塩のようになめてみるとあまりしょつぱくない、むしろ甘みを感じるような塩もあります。
それが、かえっておいしく感じ、しよつぱくないのだから体にもいいのではないかと誤解を招き、
肉の上に大粒の岩塩を喜んでふっているグルメな方もいます。
塩なのに、なぜ甘みを感じるのでしょう。
そもそも味というのは、
味蕾(みらい)のセンサーに触れたときに感じるものなので、
岩塩のような大きな塩の結晶はカプセル状になっていて、それを口に入れてもすぐには舌先で溶けず、
しよつぱさを感知できないまま胃袋の中に入っていってしまいます。
それでついつい多めに使ってしまうことになります。
ですから本来は、
岩塩などの大粒の塩はミルですり下ろして細かい粉末にして使いましょう。
わずかの量でもしょつばさを感じることができて健康的なのです。
辛党に好まれる漬け物や塩辛なども、保存が効くものは塩が大量に使われています。
発酵を止めるためには大量の塩が必要だからです。
市販の塩辛には賞味期限が半年から一年先になっているものも珍しくありません。
それに比べて、寿司屋で出るような自家製の塩辛は甘塩で、二日目くらいがちょうどいい食べ頃になります。
同じ塩辛を食べるなら、塩分量が少ないほうを選んでください。
ぬか漬けなどの漬け物も、発酵を早く進めるためには塩分を少なめにするのがコツです。
メタポリックシンドロームが、
カロリーやコレステロールの摂り過ぎに注意しなければならないことはよく知られていますが、
メタボの診断基準となっている血圧値と血糖値は、塩や砂糖の摂り過ぎが大きく関係しています。
この際、塩分の摂り過ぎについても、しつかりチェックしておきましょう。
お塩ちゃん 注釈
>塩化ナトリウムの合成塩
化学的にいえば、食塩は塩素(cl)とナトリウム(Na)の化合物です。
しかし、世界中で利用されている食塩は、食用も工業用も、すべて天然の海水や岩塩が原料です。
化学合成した食塩などは利用されていません。そんな手間とコストの掛かることは誰もしません。
塩は食品添加物ではなく、れっきとした食品です。
砂糖や醤油や酢や食用油も食品です。砂糖は炭素・水素・酸素の化合物です。
食用油も炭素・水素・酸素の化合物です。肉のタンパク質は炭素・水素・酸素・窒素の化合物です。
ヒトの体も様々な元素の化合物で構成されています。
いずれも人工的に化学合成したものではありません。
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岩塩について
C気取ったレストランの食卓にコショウと塩の二つのミルが置いてある
店があります。大粒の塩を岩塩に見立ててミルで轢く設定です。
コショウは引き立てが香りが逃げずおいしいのですが、塩は香りとほ無縁です。
単なるノスタルジア、時代錯誤、レトロ調です。
この塩で腹痛を起こす心配はありませんからとやかく言う筋合いではありませんが「私の店は塩については無知です」と言ってるのと同じです。
メニューに『鴨の岩塩包み焼き』などと書いてあることがありますから
注意してみてください、そのレストランのセンスと実力が分かります。
日本で一流と言われている料理人さんにも岩塩を礼賛している人が多いのですが、説明を聞いたらすぐ納得してくれる懐の広い人が多いのは嬉しいことです。
※お塩ちゃんの感想
どんなにお偉いお医者様の著者でも、お塩に関しての知識は、お塩ちゃんには、かないません。
「
科学がすべて」信仰が崩れ始めています。西洋医学が、だんだん、信用を失っていく過程には、「過信」がある。
どれを信じるかは個人の勝手ですが・・・・