☆NHK教育TVは小中学生向けの科学番組で塩を身近かな物質の代表としてし ばしばとりあげます。
一九九七年四月八日(火)一四:00〜一四:三〇
「塩の大きな結晶・岩塩 を水に溶かしてみましょう」と言って
原塩を糸で水槽に吊るして実験して見せ ました。
その他、大学教授クラスの人が川崎市の輸入原塩が積み上げてあるところへ行って指さして
「メキシコから輸入した岩塩です」などと言い切るのですから、
誰でも大粒塩のことを岩塩と思うのは当然でしょう。
☆NHK京都一九九七年春・・・京都の豆腐料亭『奥丹』石井康家・一二代目当主。
女性ナレーターの軽快なテンポのナレーション。
豆腐の作り方・・・豆乳にニガリ。
「ワラ(カマス)の中に入っている岩塩が空中の水分を吸い、
岩塩に含まれるニガリの成分を数日かけてぽたぽたと落とすのです」と解説していましたが
(奥丹さんには関わりないことでしょうが)これは真っ赤なウソです。
戦前のニガリたっぷりの三等塩でも梅雨どきでないと二〜三日ぐらいでは採れるものでほありません ニガリ入りの岩塩など見たことありません、地質学を書き換えなければならない大事件です、
そんな珍品は見せてもらいたいものです。
☆京都の西愛宕山の麓・・・三〇〇年続くアユ料理の店‥『鳥居本』
地元・保津川で取れた天然アユしか使わない。
振りかける塩は岩塩を細かくしたもの″を素早く振って一気に焼き上げる。
石毛直道氏が食べる。なぜ岩塩でなければいけないのでしょうか?
☆NHKの「今日の料理」でパスタの湯がきに
『塩は少しつつ入れないと噴きこぼれますから注意しましょう』と
説明していた女性講師がいましたが、
JT食塩に防湿加工している添加物である塩基性炭酸マグネシウムのラムネ作用であって、
JT食塩だけの特徴だということを知らなかったようでした。
☆一九九五年九月三日(日)10:30〜11:00 RNB・南海放送/制作・著作
中京TV『ワザあり紀州の奇跡 完熟梅干し』
松野周次郎さん・忠夫さんの家族を紹介して、女性パーソナリティ高見知佳さんが
『紀州梅の最高級品と言われる訳を解き明かしましょう』とナレーションをいれました。
画面にはっきり、塩の袋に赤い大きい文字で『原塩』と書いてあるのに
『天然の岩塩しか使いません、自然のミネラルがたっぷり含まれているんです』、
だからここの梅干しほ素晴らしい、おいしい梅干しができると感情こめて何度も話しました。
塩の現物の袋を見ているのに何故間違うのでしょうか。
塩を見て粒が粗いから、岩塩のほうが塩として優れているとの思い込みで
原塩=岩塩とレポートしたのでしょうか。
原塩を使うのは品質の違いに無頓着で値段が安いから多くの業者が横並びで使っているだけです。
ゴミが多くて非衛生なので一般市場へは流通させていない塩です。
本当の高級な梅干しには原塩は使いません。
高見知佳さんは事前にレクチャーを受けていなかったやっつけ仕事だったのでしょうか。
結果として、自分の無知さを全国へ知らせたことになり、
TV局は、取材した松野さんの梅干しが並のものであることをしらせ、
スポンサーも大恥をかいたことになります。
☆ANA機内誌「SKYSHOP」一九九七年一〜二月号にのっている広告
[万曜草根粥]
『天然エネルギー変性加工を施した、通常のものよりアルカリ度が高い国内産天然塩を使用』。
これ何ですか?天然エネルギー変性加工と聞いてすぐ分かりますか?有り難いですか?初耳です。
通常の塩とはJT塩のことでしょう。
これはpH10.7もあり、石鹸のpH10よりも強アルカリです。
天然・自然海水塩は海水と同じ弱アルカリであるpH8前後です。
これ以上にpHが高かったら国内産であろうと何であろうと天然塩ではありません。
具体的な銘柄を聞いてみたいものです。
☆ANA機内誌「巽の王国一九九七年六月号」
佐藤隆介氏が沖縄・粟国島の塩をレポート‥
「ミネラルたっぷり、ニガリたっぷり、名実ともに世界一のミネラル含有率を誇る」と
最大限の賛辞で書いておられますが、
このままでは昔の身長五尺・人生五〇年に逆戻りする可能性はないのでしょうか。
こんなレポート を信じてニガリたっぷりの塩を食べた人は悲劇です。
☆一九九七年九月二六日 一三:00〜TV朝日上沼恵美子の料理番組「おしゃべりクッキング」
あべの辻調の先生が協力‥ペンネを湯がくのに原塩を使ったら、
上沼さんが、 「岩塩を使うとおいしい」と言ったのに
「これは岩塩ではありません」と訂正をしなかった。
先生が大粒を岩塩と思い違いをしているのか、
それとも上沼さんに恥をかかしたらいけないと遠慮したのか?
☆一九九七年一〇月二日(木)TBS はなまるマーケット
「外国のハムはミネラルのある岩塩を使うが、
日本国内製のハムはミネラルのないJT塩を使うよう義務づけられているから、
岩塩に含まれているようなミネラルが不足しているのでミネラル分を溶かした塩水に浸している」と 説明していた。
しやべっている本人が正しいと信じてあれだけ堂々と塩についてもウソを言えば
視聴者は正しい情報と信じ込んでしまうのは無理ないことです。
「当然ですがJT塩を使うように義務づけられ」てはいません。
☆一九九七年九月三日 二〇:00〜 NHK 「ためして合点」
塩抜きの「迎え塩」に化学調味料添加のエソリッチ塩″を使っていた。
塩の用途が全く分かってない者が番組を作ったのが歴然です。
大阪・けつねうどん本舗・松葉屋の宇佐美辰一(たつかず)さんを
「たついち」と読んだ。全く失礼なことです。
☆一九九七年一〇月二四日(金) 二二時〜フジTV
《料理の鉄人》「塩対決」後藤雅司VS坂井宏行
料理人がどんな塩を使おうとその人の考えだからよいけれど、
塩使いの名人達人と言われてTVに出るときには人を納得・感心させる理由があるべきでしょう。
塩の大きな塊を擦り降ろしながら調理をしていましたが、
岩塩でも海塩でもげんこつぐらいの大きさの固まりはできます。
おろしだちの塩がおいしい訳ではありません、ワサビを擦り降ろすのとは違います。
お客の目のとどかない調理場でもこのやり方が料理がよりおいしくなると
思ってやっているのなら首をかしげたくなります。
化粧に使うフルール・ド・セル以外は殆どの場合、
塩は水に溶けて役に立つのですから料理の味には何の関係もありません。
岩塩を使う理由は 「岩塩は食品としての品位は海塩より劣る」ことを識った上で、
「それでも自分が好きだから」でなければいけないでしょう。
全くの素人受けをねらっただけのパフォーマンスとしか思えませんでした。
服部幸應先生が「肉には岩塩を、魚には海の塩を」と言っておられましたが、
陸上動物の肉にはもともとミネラル(塩分)があるから(ミネラルがない)岩塩を使ってもよい、
魚肉にはミネラル(塩分)が殆ど無いからミネラルのある海塩が合う、
有無あい補い合うということです。
「白い料理に白ワイン、赤い料理に赤ワイン」という語呂合わせ的なものとは違います。
☆橘 出雲著『幸せをつかむ食べ物食べ方』はいわゆる「ハサミと糊」で受け売りを書いた本、
自分の足で歩いて書いた本ではないようです。
p.47〜p.66まで「塩」について書いてありますが、一知半解です、
これを信じる読者はお気の毒です。
p.51に、[ニガリをたっぷりと含んだ「本物に近い塩=自然塩」を口にするよう心掛けることです 自然塩にはマグネシウム・カルシウムなどの各種微量ミネラルがバランスよく含まれているから。
それが、母なる海の恵みだからです]。と書いてあります。
ニガリたっぷりが各種ミネラルバランスが良いのでしょうか?
それなら結晶になる前の濃厚海水が理想的な成分ではありませんか?
塩のミネラル(ニガリ たっぷりは料理の味も、あなたの健康も壊します。
さらにp.54に良書紹介として『自然海塩の超健康パワー』
ジャック・ラングレー著、原悠太郎訳を推薦しておりますが、
この本はフランス・グランドの泥まみれの塩を宝珠の如く持ち上げています。
これぐらい塩について不勉強で間違った偏見と独断を書いたものはありません。