本文へスキップ

   お塩ちゃん夕張店は 天日海塩750g総販売元です

電話でのお問い合わせは0123(57)7139

ご連絡 メルアド 変更しました



「水」を出せば、なぜ、やせられるか?
老化は、体の乾燥が、原因だった


ペットボトルのお水 ガソリンより高いって 気が付いていましたか

●なたの体内の「水たまり」が
         病気・不調の根本原因だった!

はじめに 「塩分」よりも「水分」が原因の高血圧がこんなにある  
体を温める一番の敵は?
あなたの“水分’’常識は、間違っています
◎いつもペットボトルを持ち歩いて、水分補給している
◎血液をサラサラにするために、頼る前と起きがけにコップ1杯を
 飲むようにしている
◎肌がみずみずしくなるように、 ミネラルウオーターを欠かさない……
こんな“水分常識”は、みんな聞達っています。
体が欲していないのに摂る水分は、体内の各所に溜まり、冷えの原因となり水太り、内膿への負担、そして発病につながっているのです。
生きるのはあなた自身です。水分のことをもっと真剣に考えてみてください
体のために、と無理して摂る水分、ペットボトルで飲む習慣……
今すぐやめなさい
#1515hajimeni

 
無理をして水を飲んでいないか みずみずしい体をつくるため
「水の飲みすぎ」が老化を早める!
体熱が下がると乾燥が進む   
なぜ「減塩」しても血圧が下がらないのか
「塩分不足」で全身がカサカサに
「食事を減らす」よりも「食べたものを出す」
体内の老廃物を出し切りたいなら「朝食を無理に食べない」
なぜやせられなかったのか●「水太りが肥満の根本原因だった

★はじめに

●なたの体内の「水たまり」が病気・不調の根本原因だった!
  体のために、と無理して摂る水分、ペットボトルで飲む習慣……今すぐやめなさい
いつから日本人はこんなに「水分」を摂るようになったのか。
・かつては、お茶は「湯飲みで飲むもの」だった。
  湯飲み1~2杯とは比べものにならない量が入ったペットボトルで冷たいお茶を飲む習慣などはなかった。
  だいいち、ビンや缶から直接飲む(ラッパ飲み)ことや、歩きながら飲むなど、
  そもそも行儀が悪いことではなかったか。
・今やどこへ行っても飲み物の自動販売機があり、どこにでもあるコンビニで飲み物がすぐ手に入る。
・電車に乗ると、若い女性のバッグからペットボトルが覗いている……。
 みんな、そんなにノドが渇いているのだろうか。そんなに体が水を欲しているのだろうか。
 私はそうではないと思う。
 水分はたしかに人体には必要不可欠だ。
それが必要量入って体内でしっかり利用され、きちんと排せつされればいい。
しかし、多くの人の現状は違う。
ほとんどが「摂りすぎ」であり、それが十分に使われずに、排せつもされずに溜まっている。
この体内に「溜まった水」こそが、現代人のほとんどの痛気の原因なのである。
 たとえば、こんな場面を想像していただきたい。
①田畑に水がなければ作物は枯れてしまうが、逆に水をやりすぎると根腐れを起こし、
 「洪水」になれば根こそぎ流れてしまう。
②でこぼこの土のグラウンドに雨が降ったあと、くぼんだところはいつまでも「水たまり」となってよどみ、
 ボウフラがわいたりもする。
 このように、水は摂りすぎたり、溜まったりすれば、すぐに悪い面が顔を出すのである。
 もうひとつ、典型的な例をあげよう。
燃え盛っている灯油ストーブの上から水をバシャツとかける。
すると、火は消えてしまい、水まじりの灯油が残る。
 これと同じ現象が、あなたの体の中で日々起きている。
 体に当てはめれば、「灯油」とは体を機能させる栄養分、「水」は余分な水分だ。
 本来、人体は食べた栄養は消化・吸収し、老廃物は排せつするようにできている。
ところが、そのメカニズムも、「火消し役」の水が邪魔をすると働きが悪くなり、「燃え残り」が残ってしまう。
火が消えた後の灯油に相当するこの「燃え残り」も、体のあちこちで病気を作る元になる。
 火事のような緊急時なら「火消し役」も必要だろうが、
内臓や器官という体内の大事な「エンジン」の火を消して、いったいどうするのだ。
 この余分な水分をカットし、
体内の「水たまり」を解消すれば、高血圧、心筋梗塞、脳卒中、肺炎(その他さまざまな炎症)、
腎臓病、肝臓病、糖尿病、アレルギー、ガンなど、
現代人のあらゆる病気は快癒に向かう。 たとえ、現在は顕著な症状がなくても、
・さまざまな健診数値が悪い人
・それほど太っていないのに下腹が出ている人
・胃下垂で食が細い人
・特に下半身の冷えを感じる人
・色白でポッチャリしている人
・お腹を叩くとピチャピチャと音がする人……
 などは水分過多が隠れている証拠だ。明らかに痛気の予備軍といっていい。
「水分を摂ることが体にいい」という危ない常識が、私たちの間にはびこつている。
 あなたは、「血液をサラサラにするために」と、飲みたくもない水分を摂っていないか。
 夜中にトイレに起きるので、その分、夜、寝る前に水を1杯、朝起きてまず1杯などと自分に義務づけていないか。
 ペットボトルの飲み残しを、ノドが渇いてもいないのに、
「もったいないから」とばかりにグイッと飲み干していないか。
「肌のカサカサや手先の乾燥を防ぐため」と、せっせとミネラル・ウオーターを飲んでいないか……。
  - これらは、今すぐやめないといけない。
 これから本文で述べるが、水を飲めば血液がサラサラになるわけではないし、肌がみずみずしくなるわけではない。体の細胞内にきちんと人らなければ、水分は役に立たないのである。
 この「水たまり」は、ふだんの食事や生活をちょっと工夫するだけで簡単に解消できる。
薬も特別な器具も何もいらない。
 あなたが体内から「水たまり」をなくし、本来の元気な健康体になっていただくことが、
日本の医療費の高騰をはじめ、高齢社会のさまざまな問題解決に直結する。
 本書がその手助けとなれば、著者としてこれに勝る喜びはない。

「塩分」よりも「水分」が原因の高血圧がこんなにある

その病気・症状は「水分の摂り方」しだいで根本から解決!
 私が医者になりたてだつた約30年前は、高血圧へのファースト・チョイス(第一番の選択)の薬は利尿剤だった。
 高血圧の原因とされていた塩分が尿とともに捨てられるため、という理由からである。
 その後、どんどん〝優秀な″降圧剤が開発され、利尿剤はほとんど使われなくなつた。
優秀とされる降圧剤とは、
血管を拡張する薬や心臓の収縮力を抑える薬、腎臓から分泌される昇庄物質を抑制する薬……などなどである。
 ところが、このほどアメリカの医学会で、何十、何百とある降圧剤の効果について再検討したところ、
最も原始的な利尿剤が一番よく効き、しかも、他の降圧剤に対して薬価も10分の1以下と安いことがわかった。
この結果を受けて、再び利尿剤が降圧剤の主流として使われる機運が生じてきている。
 高血圧の原因として「塩分の摂りすぎ」が指摘され、日本全国に減塩指導が普及してから40年以上にもなる。
しかし、高血圧で病院に通院する人の数はまったく減っていない。
それどころか、日本人の40代以上の人々の約50%、3500万人が高血圧症といわれているのである。
はたして塩分を悪者にしているだけでいいのだろうか。
 高血圧については、こんな「通説」もあった。
・気温が低下する冬は血管も収縮するので血液の通りが悪くなり、血圧は上昇する傾向にある。
 一方、暑い夏は血管が拡張して血圧が下がる
・血圧は午前中は低く、体を動かして活動量が多くなる午後に向かって高くなる。
 運動や入浴をしても高くなる
 しかし、最近はどうもこれらの通説、常識が通用しなくなった感がある。
 夏になると血圧が上昇する人、午前中や起床時に異常に血圧が高くなり、
日中、体を動かしたりスポーツをやった後は下がるという人……
これら現代医学泣かせの人がたくさん見受けられるのだ。
 こんな方の高血圧も、水分の摂りすぎが関連していると見ると説明がつく。
夏になると自然に水分を多く摂る。すると、血液中の水分も多くなり、血液の全体量も多くなる。
多くなった血液を体のすみずみに送り出すために心臓はいつも以上に力を入れるので、血圧が上昇するというわけだ。
 そもそも、「塩分が高血圧につながる」という説の根拠も元は同じだ。
 塩分を摂りすぎると血液中の塩分も多くなる。
塩分は吸湿性、つまり、水分を周りから引きつける性質があるので、血液中の水分がえ、血液畳も増える。
そのために高血圧になるというものだ。
水分を摂りすぎると血圧は上がるという考えと同じ理由ではないか。
 また、午後や運動後に上昇するはずの血圧が起床時に高いというのは、「冷え」が原因と考えられる。
起床時は体温も気温も一日のうちでかなり低い時間帯(一番低いのは午前3時~5時)である。
この「冷え」のために血管が収縮し、血液の通りが悪くなるために血圧が上昇するのだ。
したがって、起床後に体を動かし、体温も気温も上がってくると血管が拡幅し、
血流もよくなり、血圧は低くなっていくのである。
こんな方がいる。
 私が親しくしていただいている会社の社長N氏(60歳)は、もともと低血圧傾向であった。
ところが、ここ1年くらいで午前中の血圧が180~200/100~120mmHgと、上も下も急に上昇した。
 近所の病院に行って降圧剤を処方してもらって服用しても、なかなか下がらない。
ただし、夕方や入浴後は降圧剤を服用してもしなくても、
なんと110~120/70~80mmHgとウソのように下がるのだという。 
そこで、「降圧剤の服用はどうしたものか」と私に相談をされたのである。
 よくよく聞いてみると、夜、寝汗がひどく、
ひと晩で下着を3回も替え、ふとんのシーツがビショビショに濡れるほどだという。
 そのようになったのはいつからなのか、とさらに突っ込んで聞くと、
「60歳になったので、血栓を予防するために、日中2~2・5ℓの水分を摂るように〝努力″しています」
 というではないか。
「人間の体は体内に余っているものしか外に出しません。
それだけ夜間の発汗が多いのは、体内に水過剰=水毒が存在している証拠です。
その余分な水分が夜間から明け方にかけて冷却水の役を果たして血管を縮めるから血圧が上がるのです」
 と説明した。そして、
「対策としては、日中に無理して水分を摂らないこと。
摂る時は血管拡張作用と血栓を溶解する作用のある生妾を含んだ生妾紅茶(141ページ)を飲むこと」
 と指導した。
この指示を守ったN氏は1カ月で昼間の排尿が多くなり、体重も3K減少して、寝汗もかかなくなった。
つまり、水毒(体内の水分過剰状態)が改善したのである。
そればかりか、起床時の血圧も130~140/70~鮒mHgと正常化したのである。
これまで現代医学では、何はともあれ、まず血圧を下げることを目標にしてきた。
なぜなら、高血圧状態が続くと、脳卒中や心臓病、腎臓病などにかかりやすくなり、
それが悪化すると生命に影響してくるからというわけである。
  しかし、血圧を正常範囲に完全にコントロールしたとしても、
脳卒中では約40%、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患はたったの14%しか抑えられないことが
膨大な資料から明らかにされている。
この事実から、「冠動脈パラドックス」という表現も専門家の間で使われるようになった。
 なぜ、このような謎が生じるのか。
脳卒中や心臓の発作は、午前6時から8時ごろに集中する。
 特に朝方に血圧が高い「早朝高血圧(mOrning surge=朝の満ち潮)」の人に多発することがわかった。
その原因として、明け方から午前中にかけては、
動脈硬化や心臓肥大を促進するレニン・アンギオテンシン系というホルモンが腎臓から多く分泌されてくること
があげられている。
 これまで高血圧、糖尿病、高脂血症などは「生活習慣病」と総称され、それぞれに対する治療法がなされてきた。
 しかし、この三者の病気の原因は共通しているのではないか、
という認識が現代医学の研究分野の中にも生まれ、
「マルチプル・リスクファクター症候群」
「メタポリック症候群」などという言葉で統一されつつある。
 これらは、ひと言でいうと「代謝異常症候群」ということだ。
この代謝異常の根底には、レニン・アンギオテンシン系ホルモンが黒幕として存在している、という。
 この現代医学的考えを自然医学的に解釈すると、「代謝異常=冷え=水毒」に行きつく。
なぜなら、体温が1℃低下すると代謝は約12%落ちるのだから。
 ここに謎を解くカギがある。
 つまり、糖尿病や高脂血症、高血圧ともに、「水毒=冷え」が根本原因に存在する、ということである
 よって、こうした 「代謝異常症候群」 の対策としては、先の例にあげた方のように、
余計な水分を摂ることをやめ、体内の余分な水分が排せつしやすい生活(3章)をすることである。



無理をして水を飲んでいないか みずみずしい体をつくるため
「水の飲みすぎ」が老化を早める!
体熱が下がると乾燥が進む   
なぜ「減塩」しても血圧が下がらないのか
「塩分不足」で全身がカサカサに
「食事を減らす」よりも「食べたものを出す」
体内の老廃物を出し切りたいなら「朝食を無理に食べない」
なぜやせられなかったのか●「水太りが肥満の根本原因だった


老化知らず、医者いらずの体と頭になる法 はじめに

古代ギリシアの哲学者、アリストテレスが喝破している。
「老化とは 〝乾燥″ への過程である」と。
もぎたての新鮮なリンゴは、時間の経過とともに乾燥し、やがて中からしなびていく。
人間も同じだというのだ。
誰もが思い当たることがあるだろう。
・20代の頃は水を弾くようだった肌が、年々乾燥し、かさついてきた
・本のページをめくるとき、ついつい指をなめてしまう
・食べたものの飲み込みが悪く、むせたりする
・眼が乾いてゴロゴロする
これらは、すべて「体の乾燥」が進んでいる証拠である。
また、これら目に見える現象だけではない。
・雨の日は腰やひざが痛い
・お腹まわりの肉、二重アゴが気になる
・記憶力が悪くなったのか、言いたい単語が思い出せない
 実はこれらも、内臓や関節・骨から、はたまた脳まで、体の各部の乾燥のあらわれなのだ。
 こんなデータもある。
乳児のときは、全体重の70%が水分だったのが、年齢を重ねるにっれて減少していき、
成人では60%、高齢者では55%にまで体内の水分が減ってしまう。
 まさしく、この「日々進行する乾燥を食い止める」ことこそ、老化を止める一番肝要な方法なのである。
 この乾燥と老化の進行は、何も中高年だけの問題ではない。
20代をすぎれば、誰の体の中でも起こっていることなのだ。
 毎日の環境からも、わたしたち現代人の体は乾く一方だ。
冬はエアコン、夏はクーラーにより一年中乾燥するため、加湿器を必要としたり、
また、シャワーだけで入浴をすませるために、十分に体が温まらず、
やがて体が冷えて乾燥していく……という生活面。
 年がら年中、南の島で採れるくだものを食べたり、ペットボトルのお茶をのべつまくなしに飲み続けたり、
パンと牛乳といった朝食……という「体を冷やす食生活」。
 これらはすべて、体がパサパサになる恐い習慣ばかりだ。
 こんな習慣はいますぐやめて、「体の乾燥を防ぐ生活」 に切り換えれば、
どんな人でも老化が止まり、内臓が活発に動き出し、肌がツヤを取り戻していく。
 それが証拠に、年齢のわりに若々しい人はよく体を動かし、体が温かいために、
その肌もみなツヤツヤとしているではないか。
 見た目だけの問題ではない。内臓や骨、血管の乾燥は、さまざまな病気へと直接つながる。
 たとえば、生活習慣病といわれる高血圧や糖尿病、高脂血症などは、
血管の内皮細胞や膵臓のβ細胞など、体内の細胞の乾燥の異常な進行によって、
それぞれの細胞の働きが低下し、引き起こされるといっていい。
 女性ならば、むくみや体重増、また、生理の問題をはじめとする婦人科系の病気、
更年期障害などの気になる病気は、乾燥対策をしっかりと行なうことで子宮、
卵巣の働きも活発になり、早い人は、1週間くらいから目に見えて良くなっていく。
「乾燥対策」は難しいことではない。
食事と入浴など、日々の生活をちょっと変えるだけでいい。
一日も早く本書の 「体の中からみずみずしくなる方法」をはじめることで、
〝老けない体と美しさ″を持ち続けることができる。
 あなたもやりたいことが何でもできる、老化知らず・医者いらずの強い体と心を手にしていただきたい。

無理をして水を飲んでいないか みずみずしい体をつくるために

 誰でも年齢を重ねるとともに「乾燥」が気になるものだ。
 指先が乾くのか、本のページがめくりにくくなつたり、乾燥肌で困っている、という人も多いだろう。
 外見だけではない。食べ物の「飲み込み」が悪くなつて、すぐにむせたりする。
正月になると、餅をノドにつまらせたというニュースをよく聞くが、つまらせるのはきまって唾液不足のお年寄りだ。
 ほかにも、さまざまに思い当たることがある。
たとえば、
・以前は何を飲み食いしても平気だったのに、最近は食べた物が胃にもたれたり、二日酔いになつたりする。
・お腹まわりの「中年太り」がじわじわと進んできた。
・髪の毛のコシがなくなつてパサパサし、抜け毛や薄毛で髪のボリュームも気になる。
.スラリとしていた足がいまや「大根足」に……。
 あなたも、身に覚えがないだろうか。
 これらの「老化現象」の原因はただ一つ。
「体の乾燥」が進んでいる結果なのである。
 その証拠に、魚を乾燥させれば干物になるし(皮膚にシワが増える状態)、
木が枯れるとスカスカになる (骨租紫症の状態)。
 あるいは、切り花は時間が経つとしおれ、ドライフラワーになつてしまう(水分が吸収できなくなつた状態)。
これと同じことがあなた自身の体の中で、いまも着々と進行している。
「乾燥」を放置して、あなたの体を「干物」や「ドライフラワー」にしてはいけないのだ。

「水の飲みすぎ」が老化を早める!

では、あなたは毎日、こんなことをしていないだろうか
いつまでも、もっともっと若々しく生きられる!
「体はいつまでもみずみずしくありたい。だから、1日2ゼを目標にしてミネラルウォーターを飲んでいます」
「血液がドロドロにならないために、寝る前にコップ一杯の水を飲むのが習慣」
「朝、起きがけに冷たい水をぐいっと一杯。これで目覚めもスッキリ」
「カバンの中には、いつも何かのペットボトルが入っています」
残念ながら、こうした水の飲み方は全部Xだ。ダメどころか、かえって「老化」を促進させている。
確かに、老化の敵は「乾燥」だ。
ところが、水を飲めさえすれば体内に充分に水分が行き渡るというわけではない。
ここに重大な思い違いがある。
「みずみずしい肌」「水もしたたるいい男」などの言葉からして、
若々しさや美しさを保「水」が極めて大切であることがわかる。
  柔らかでしなやかだった新芽や若葉が、落葉や枯木になつてしまうと乾燥して硬くなるのは、
まさしく水分が抜けた結果だ。
牛肉や羊肉、トリ肉なども、若いものほど柔らかくおいしいので、重宝がられる。
これもすべて同様のことで、「乾燥=水分不足=老化」という図式は、誰にでもうなずける事実である。
これは、もちろん人間にもあてはまる。
たとえば、背格好、姿形がほとんど同じ老人と若者が同じ服を着て、
同じ帽子をかぶって後ろ向きに立っていたとしよう。
遠くからながめたのではどちらが年配者かは、なかなか判別できない。
しかし、歩いたり、地面に落ちているものを拾ったりする動作を見ると、すぐにわかる。
若い人の動作は柔らかく優美だが、老人のそれは硬くてぎこちなく、歯車的な動きだからだ。
 これも年を取ると骨や筋肉(の細胞)から水分が失われ、乾燥して硬くなつたためだ。
それなら、この乾燥=硬さを防ぎ、改善するためには、「水分」をたくさん摂ればいいのか、
ということになるが、事はそう簡単ではない。
水分は「両刃の剣」的な性質を持っているからである。
 口から摂り入れられた水分は、胃や腸から吸収されて血液中に入り、
最終的には全身60兆個の細胞に吸収されていく。
 しかし、この重要な水分は、一方でマイナスの一面がある。
例をあげればすぐにわかる。
 それは体が雨に濡れると冷えたり、風呂上がりに十分に皮膚の水分をふきとらないでいると湯冷めしたり、
また、「冷却水」という言葉があるように、水はモノを冷やすという面である。
 では、体温より冷たい水分をたくさん飲んで胃腸を冷やすとどうなるだろうか。
胃腸の働きが低下し、胃腸から血液への水分の吸収が悪くなつて、
胃袋や腸管の中に水分がたまってしまうことになる。
少し動いただけで、胃のあたりからポチヤポチヤと水の音(振水音)がする人は、
胃腸が冷えて、余分な水分がたまっている証拠だ。
 私たちの体の中の細胞・組織・臓器などは、つきつめれば、
「水分」と「体熱(36・5  ℃以上の体温)」によって働いている(=代謝)。
 よって、体温が低かったり、ある臓器・組織・細胞の周囲が冷えていると、
細胞は血液の水分を吸い上げる力が低下する。
 こういう状態では、たとえ飲んだ水分が胃腸から順調に吸収されて、
全身の細胞に血液とともに運ばれたとしても、細胞内に水分が吸収されず、
たとえば、皮下の細胞と細胞の間(細胞問質)に水分がたまってしまう(細胞外液)。
これが浮腫=むくみになる。
「みずみずしい肌」や「苦々しい筋肉・骨・内臓」を保つために必要な水分とは、
「細胞内の水分」のことであり、細胞外液、
つまり、胃袋・腸管、副鼻腔、肺胞、皮下の細胞と細胞の間(細胞間質)、
血液中、眼の水晶体などの水分は多く存在しても、それは害にこそなれ、若さや健康を保つ要因にはならない。
 したがって、私たちの体は細胞外液が多い場合、それを体外に出して捨てて、
少しでも体を温めようというメカニズムが働く。

体熱が下がると乾燥が進む

それが症状として現われたのが、次の状態だ。
 (水分がたまっている箇所)  (水分を出そうとする症状)
・胃袋や腸管        ⇒⇒⇒下痢、嘔吐、腹鳴 (ゴロゴロ音)
・副鼻腔          ⇒⇒⇒鼻水、くしやみ (アレルギー、風邪)   
・肺胞           ⇒⇒⇒うすい水様のタンが出る(ぜん息)   
・皮下の細胞間質      ⇒⇒⇒むくみ   
・血液中          ⇒⇒⇒高血圧(循環する血液の量が多くなり、その分心臓が力を入れるため)  
・眼の水晶体        ⇒⇒⇒流涙、嘔吐(緑内障)    

 こう見てくると、若さと健康を保つためには、「水分」と「体熱」の両者が必要であることがわかる。
 しかし悲しいかな、本来なら36・5℃以上が平均とされる日本人の体温が、
この50年間で1℃近くも下がり、高い体温の人でも36・3℃くらい、低い人は35℃台がほとんどというのが現状だ。
  この低体温も、細胞内に水分を吸収させる力を阻み、老化や病気を早めている一つの要因である。
 なぜ、このように体温が低くなつたのかを考えると、
①筋肉労働や運動の不足  交通機関の発達や便利な家電製品の普及で、
  日常生活であまり体を動かさなくなつたこと
②体を冷やす食べ物の摂りすぎ
③体を温める食物である「塩」や「塩分の利いた食べ物」を目の敵にして、避けすぎていること
④「血液をサラサラにして血栓を防ぐため」という大義名分のもとで、
  水分を摂りすぎていること (とくに人肌の温度以下の冷たい飲み物の飲みすぎ)
⑤真夏でも寒い思いをするほどのガンガンに利かせたクーラー
⑥湯船に入らずシャワーですませる入浴習慣
 などが原因だと考えられる。
 この中でも、とくに問題なのは①の「筋肉を使っていない」という点だ。
 筋肉を鍛えることは誰もがいいと思っているだろうが、それは「筋力をつけること」や、
「見た目をよくすること」ではない。〝体熱をつくる″ということが目的なのである。
体温の40%以上は筋肉で発生している。
したがってウォーキングやスポーツなどで筋肉を使うことは、老化を防ぎ、若さを保つ上で極めて重要だ。
 なぜなら、筋肉運動によって体温が上昇し、水分がしっかりと細胞内に送り込まれるからである。
 加えて筋肉を収縮させたり、弛緩させたりして動かすことにより、
筋肉内を走っている血管も収縮・拡張をする(ミルキングアクション=乱しぼり効果)。
これによって全身の血流もよくなる。
 たとえば、いつもにこやかな人、よく笑う人がいつまでも若々しいのは、笑うことで、
顔を構成している筋肉の表情筋が活発に動き、顔全体の筋肉や肌への血行もよくなって、
顔の温度も上がるからだ。
 もう一つ、老化を防ぎ、若さを保つ上で大事なことがある。
血液内の水分を細胞内に十分吸収させるためには、
まず、細胞内や体内の水分を先に排せつする必要があるということだ。
 息は吐いてから吸うと楽に吸えるが、吐かずに吸い続ければ苦しくなる。
つまり、呼吸(呼いて吸う)、
ギブ・アンド・テイク、
出人口などというように、宇宙の原則は常に
「出す」ほうが先で「入れる」ほうは後なのである。
 つまり、「出す」ことでスムーズに入ってくる、吸収されるのである。
では、どうやったら、細胞内や体内の水分を大いに出すことができるのか。
それは、「出す」ために一番重要な臓器である腎臓の働きを促すことである。
細胞内に新鮮な水分を十分に供給するのに、腎臓がどれほど大きな働きをしているかについては、
後ほどくわしく述べよう。
  くどいようだが、水分は細胞内に吸収されてはじめて、水分本来の偉大な役割が発揮される。
したがって、水分は細胞外液の中にあっても、何の役にも立たないどころか、有害になる。

  この「細胞内の水分不足=乾燥=細胞外液の増加」という、
水分がかたよって存在している状態が漢方でいう「水毒」だ。
この「水毒」になると、細胞からは「水がほしい」というサイン(=口の渇き)が出ているのに、
むくみや胃腸の振水音、副鼻腔内の水分過剰(くしやみ、鼻水)、
血液中の水分過剰=高血圧などの、「細胞外液に水分がたまって起こる症状」があらわれるわけだ。
これらの症状が、やがて老化や病気を進めてしまうのである。

なぜ「減塩」しても血圧が下がらないのか 「血液サラサラ」のために

 スーパーマーケットには、「減塩みそ」から「減塩しょうゆ」、「無塩バター」などがあふれている。
 それだけではない。「ラーメンやうどんの汁は飲まずに残す」「塩鮭は甘塩に」
「塩辛や漬物は我慢」などなど、涙ぐましい「減塩生活」を送っている人が多い。
「血液をサラサラにしなければ」と無理して水分を摂ったり、
「高血圧にならないため」と減塩に励んでいる人もたくさんいる。
 ところが、こうした「我慢」はあまり報われていない。
なぜなら、これだけ塩分を制限しているにもかかわらず、高血圧の患者数はいまなお増え続けているのだ。
最近の調査では、40歳以上の約半数、6000万人が高血圧症といわれる。
また、脳卒中は減少傾向にあるものの、一方で脳の血管に血液の塊がつまる脳梗塞が増えている。
さらに、がんや心筋梗塞、糖尿病、リウマチなどの雁患数は塩分制限をはじめる前の日本人より
大幅に増加しているのだ。
 この現状を見て、はたして「塩分」だけを悪者にしていいのだろうか。
「塩分不足」で全身がカサカサに 
私が医者になったばかりの30余年前は、高血圧といえば、まず最初に「利尿剤」を処方するのが通例だった。
尿を出すことで、高血圧の原因とされた血液中の塩分を水分と一緒に排出するためである。
その後、血圧を下げるさまざまな新しい薬が生まれた。
これら「血管を広げる薬」や「心臓の収縮力を抑える薬」などによって、
昔ながらの利尿剤はほとんど使われなくなった。
そもそも人間の体内では、塩分は水分とくつついて動いている。
その証拠に、体の中から出てくる液体は、涙、汗、鼻水、血液にいたるまですべて塩辛い。
体の中は、一定のミネラルバランスが保たれているわけだ。
よって、体から塩分だけを都合よく減らすことはできない。
「塩分と水分は、,増えるのも減るのもセット」なのである。
漢方では、「高血圧は体内で余った水分によって生じる」とされる。
水っぽくて量の増えた血液を全身に送り出さねばならないため、血圧が上がるというわけだ。
利尿剤で血圧が下がるのは、「塩分が出るから」ではなく、
「塩分とセットになって余分な水分が出るから」と考えれば、納得がいくだろう。
逆もまた真なり。
塩分が水分とくつついて動いている以上、塩分の摂取量を減らせば水分もそれと一緒に減ってしまう。
つまり、必要以上に塩分が減れば、体の細胞にとって必要な水分も減ってしまうのである。
よって、全身がカサカサに乾燥する。これでは、老化へとまっしぐらだ。
そもそも、塩のもとである海水は、皮膚の免疫を上げることや殺菌作用のあることがわかっている。
このように海水は体表にはいいのに体内に入ると危険、というのもおかしな話だ。
人間と同じホ乳類であるイルカやクジラは、ふだん海水を飲んで生活しているわけだが、
彼らが高血圧や脳卒中で死ぬとは聞いたことがない。
摂りすぎて問題なのは、「塩分」(海水からとれる自然塩)ではなく、「食塩」(化学的合成塩)なのだ。
というのも、「食塩」はナトリウムと塩素だけでできているため、
水分を吸湿して、血液中に余分な水分を引き寄せてしまう。
「量が増えた水っぽい血液」を全身に送るためには、血圧を高くしなければならない。
だから、「食塩」の摂りすぎが高血圧のリスクにつながるわけだ。
しかし、「自然塩」を適切に補給していけば、血液サラサラで高血圧の心配もいらない。
かえって体が若返り全身がみずみずしくなる。
減塩一点張りの「我慢生活」を送らなくたつて、私たちは若く健康でいられる。
塩味の利いたもっとおいしいものを食べていい。

「食事を減らす」よりも「食べたものを出す」 「健康減量」のために

 年齢とともに、体重がじりじりと増えてきた。
あるいは、体重は増えていないのに、下腹がポッコリ……。
また、シャープだった顔が下ぶくれになつたり、二重アゴや二の腕がたるむ、
胸やお尻が垂れる、ふくらはぎや足首が太いなどの悩みは深い。
 そんな「見た目」だけでなく、健康診断で医師から体重を落とすことを指示され、
食事制限に取り組まねばならない人も多いだろう。
 しかし、ダイエットをはじめたものの思うようにやせられない。
それどころか「食事を減らしたのに太ってしまう」「すぐに水太りする」という人もいる。
なぜ、うまくいかないのだろう。
 間違いの原因は、食べること、つまり「摂り入れること」ばかり考えている点だ。
問題は「食べるものを減らすこと」より「きちんと排出すること」なのである。
体重増はもちろん食べすぎのせいもあるが、
体内の「水分コントロール」ができていないことがほとんどの原因といえる。
まずは「水分を排出できる体にする」ことが必要なのである。
 ビニール袋に水を入れて吊るした形を想像してほしい。
水が底のほうにたまって袋がふくらむだろう。
雨が降ったあとの地面を見ると、へこんだ場所にいつまでも水がたまり、汚れてよどんでいる。
人間の体も同様だ。体内の余分な水は、胃袋や腸管など「袋状の場所」や下半身にたまりやすい。
水は下へ下へと向かい、ふくらんでたまる。
 よって、先にあげたような、加齢とともに生じるポッコリ下腹、
大根足などのいわゆる下半身デブが増加する。
こうした老化による肥満は、水太りの典型なのである。
 年をとればとるはど、細胞は水分を摂り入れにくくなり、
余分な水分が全身の袋状の器官や下半身にたまっていく。
だからこそ、健康長寿のための減量には、
こうした「余分な水分をいかに排出し、乾燥した細胞をみずみずしくするか」がポイントなのである。

体内の老廃物を出し切りたいなら「朝食を無理に食べない」

 英語では、朝食のことをbreakfastという。
これは、「fast(断食)をbreak(止める)する食事」という意味だ。
 私たちは通常、夕食から翌日の朝まで何も食べずに過ごす。
睡眠中は何も食べないわけだから、朝食は「ミニ断食」明けの第一食となる。
 私の伊豆の保養所で〝ジュース断食″を行なうと、自分の吐く息が驚くほど臭いことにたまげる人がたくさんいる。これは食事もせずに消化活動を休止させているために、体の全エネルギーが排せつへと向かい、
尿、便のみならず、口臭や体臭といった形で、それまで蓄積されていた老廃物が一気に体外に出てくるからである。
「食べなければ出るものも出なくなるのでは?」という疑問もあるだろうが、
人間の体は「入れる」ことより「出す」ことが先だ。
「出し入れ」「ギブ・アンド・テイク」「出入口」などの言葉が示すように、
これは宇宙の絶対法則なのである。
よって、食べ物を体に入れることをやめた「断食」は、これ以上ないほどの排せつの機会なのだ。
 朝は、いってみれば「ミ二断食」が明けた時間帯である。
吐く息も臭く、尿の色が濃いのはそのためだ。
つまり、本来、朝は余分な老廃物と水分を排出するチャンスなのである。
胃腸の活動もまだ不十分な状態なのだから、無理をして食べる必要などないのだ。
したがって、このときは最低限、脳を活動させるためのエネルギー源である糖分を補うだけでいい。
  そこで、くわしくは3章以降で取り上げるが、
朝食はミネラル・糖分ともにベストバランスといえる「ニンジン・リンゴ・塩ジュース」(80ページ)や、
ミネラルたっぷりの黒  砂糖を入れた「生妻紅茶」(86ページ)を摂るだけの食事がベストなのである。
 この生ジュースや生婁紅茶だけの朝食にしていれば、
体内の余分な水分によるブヨブヨの「水太り下半身デブ」を予防・改善できる。
と同時に、全身の細胞をみずみずしく潤して老化をストップ、若返りが図れるのだ。
 同じ一食を抜くのでも、「夕食抜き」では、体の排せつ作用を高めることはできない。
三食それぞれ食べたいものを我慢するダイエットも長続きしない。
それどころか、いくらがんばっても効果が得られないのだ。
「老化太り」を防ぐには、体内の老廃物を出し、
肝心の細胞に水分や栄養分を行き渡らせる食事法が大切なポイントなのである。


知らずに摂っていた水分の実体 ♪ バセドウ病 粘液水腫で肥満を検証
「肥満はカロリー過剰、消費エネルギー過少よりくる」はウソ
「体重増加」は「水が増える」こと  ♪甲状腺マッサージが肥温を解消
なぜ、水太りになるのか   ♪水分はこんなに悪い
白は「冷え」の色   ♪水はかえって新陳代謝を悪くする
水太りの女性に「不定愁訴」が多い訳
水は水分は摂れば摂るほど更に飲みたくなる
「口渇」は体内の水の偏在でもおこる   
夏に太る人がいるのはなぜか   ♪中年になるとなぜ太るのか  ♪若い人ほど「水々しい」というのは?

はじめに 今まで、なぜやせられなかったのか ●「水太りが肥満の根本原因だった

「ダイエットでやせる」ことを書いた本の中で、
肥満の専門家である著者(医師)が「水を飲んでも太る、という人がいるが、そういうことは絶対あり得ない。
太る原因は消費するエネルギーに対して、摂取カロリーが多いためである」と断定していました。
 しかし、日常、患者さんを診察していて、
間違いなく「水を飲んでも、お茶を飲んでも太る」という人がいらっしゃることは事実です。
実際に「水太り」という言葉もありますし、「ビール腹」などという表現もあります。
 私は相撲が好きで時々、相撲部屋の朝稽古を見に行きますが、
アンコ型(肥満型) の力士は、稽古の後、鯨飲という言葉がピッタリするほど、水をガブ飲みしています。
逆に、ソツプ型(筋肉質で脂肪の少ないタイプ)の力士は、同じ様に稽古をしてもさほど水を飲んでいません。
アンコ型の力士は、稽古中、滝のような汗をかくのに対して、
ソツプ型の力士は、さほどの汗をか一般の人々も、太っている人は水分をたくさん撮り、
汗もうんとかく傾向がありますが、やせ型の人は、水分もあまり摂らないかわりに、汗もさほどかきません。
 体重により階級が分かれているボクシングの世界では、
世界タイトル戦になるとかなりの減量をする選手が多いようです。
フライ級とバンタム級の二階級でチャンピオンになったファイティング原田選手など、
チャンピオンシップの前の数週間で、毎回10kg以上も減量されていたことを覚えています。
こういう時、ボクサーは勿論、食べる食事の量の制限与るのですが、
それ以上に厳しく、水分の摂取を制限しています。
 こうした例からおわかりのように、「水」はまちがいなく、肥満の原因になるのです。
 1章に述べているように、水そのものが体内にたまって「水太り」の原因になる他に、
水は体を冷やし、代謝を悪くして、体内の脂肪やコレステロール、糖分、
その他種々の余剰物や老廃物の燃焼を妨げる結果、そうした物質を体内にため込み、
更なる肥満の原因を作るのです。
「食べ物」の量を制限したり、食べ物の質(種類)を変、是り、食べる時間を工夫したり、
食物の調理法を特別なやり方にしたり、何か特別のやせる食物を加えたり……というダイエット、
減量法の本は巷にはあふれています。
 しかし、なぜ、それらの方法で今まであなたは決定的にやせられなかったのでしょうか?
この本を手に取られたあなたも、きっとそれらの減量法の本を一冊や二冊読まれたことでしょう。
 そこで本著では、食物のことについては、摂取カロリーを計算して制限させるとか、
脂っこい物や甘い物は肥満の敵だとして忌避させる……等々の
「制限」については、さほど神経質にならないで、
「いかにすれば、体内から余分な水分を外に出し、その結果、健康的にやせられるか」、
平たく言えば、「水を出してやせる」ということがいかに医学的、生理学的に正しいことなのかを、
私の臨床経験の中でつかんだ知恵として皆さんに述べてみたいと思います。
 なぜなら、肥満こそ、万病の最大の原因なのですから……。

知らずに摂っていた水分の実体   知っていましたか、水分貯溜の害

図は、水分の出納を示したものですが、
私たちは、お茶、水、コーヒしジュースなど、明らかに「水分」とわかるものから、
毎日1000mlないし、1500mlの水を摂取しています。
 この他に、ご飯や野菜、魚、肉という食物そのものにも水分が含まれていますが、
そうした食物の中の水分からの水の摂取が約800ml、
それに炭水化物、タンパク質、脂肪などが体内で利用・燃焼されて作られる水(代謝水または燃焼水)が
約300mlとなり、1日に約2000mlから2600mlもの水分を摂取していることになります。
 コップ1杯が約180ml、1升ビン1本で約1800mlですから、
いかに多くの水分を摂取しているかがよくわかります。
 出す方は、日頃は気づかないのですが、ガラスに息を吹きかけると水蒸気や水がくっつくの分かるように、
呼気(肺)からもいつも水分を排泄していますし、
同様に皮膚からも「湯気」のように、水分を出しているのです。
自分では感じないので、不感蒸泄といいます。
あとは、小便という完全に「水」とわかる排泄が約1000~1500ml
それに、大便の中にも約100mlの水分が含まれているので、大便によっても水分を排泄しているわけです。
 よって、一日便秘をするだけで、約100mlの水分が体内にたまりますので、
2日に1度しか排便しない人は、1カ月に100ml×15=1500mlつまり約1・5kgの水分がたまり、
その分、体重が増えるということに、単純な計算上はなるわけです。
だから、毎日排便のある人、しかも1日2~3回も排便をする人は、太りにくいわけです。
 また、中年を過ぎると若い時に比べて、尿の勢いがなくなりますし、当然、尿量も減っているわけです。
排尿の回数は多いので、十分に尿を出しているつもりでも、結局は1回の尿の量が少ないので、
少しずつ水分が体内に貯溜し、水太りの原因になります。
 1日1000ml~1500mlになるべき尿量のうち、わずか20ml、
(コップ1/10)の水分が体内に貯溜しても、
1カ月に20ml×30日=600ml1年で600ml、12カ月=7200ml
つまり、7kgの体重増加になる、という単純計算になるわけです。
ことほど左様に、いかに水分の排泄の悪さが「水太り」の原因になるかが、よく理解できるわけです。

「肥満はカロリー過剰、消費エネルギー過少よりくる」はウソ

 ●なぜ、3日で8kg体重滅したか
 現代医学的常識では、
肥満の原因は「摂取カロリーが、消費エネルギーを上回っているから」といとも簡単に、明快に定義しています。
つまり、消費エネルギー以上に摂取するのが過食なので、
「すべての肥満は過食からおこってくる」というのが、結論だそうです。
 しかし、毎日の臨床で、実際の患者さんの訴えを聞いておりますと、
「私はそんなに食べないのに、すぐ太る体質です」とか、
「私は水を飲んでもお茶を飲んでもすぐ太るんです」と不満そうに、
自分は特異体質なのだと一生懸命に、「自分の太りすぎ」の弁解の〝逃げ口上″をする人に出会います。
 ふつうのお医者さんだと、「医学的、生理学的、科学的に見て太るということは、
余分なカロリーが脂肪として蓄積することだから、そんなことはありえない」というようなことを言い、
「間食はしてませんか? ほら、やっぱり、昨日はコーヒーに砂糖を入れて飲み、
ケーキも食べたではありませんか、やっぱり〇〇〇カロリーオーバーなんですよ。その蓄積が肥満なんです」
というような論法で、摂取カロリー過剰説を押しつけます。
 私が伊豆で経営している保養所に、一昨年の夏、オリンピックのある競技の監督さんが、
人参ジュース・ダイエットに来られたことがあります。
170Cm余の身長に85kg以上もあるといぅ堂々たる体格の持主ですが、
何と最初の3日間で8kgもやせられたのです。
人参ジュース・ダイエットに来られる方は、
1週間から10日の滞在で5kg別後の体重減少を見るのがふつうですので、
3日で8kgはどう考えてもおかしいのです。
 しかし、御来所当日(1日目)と3日日とを比べますと、
本当に風船の空気が抜けたかのように丸々とした感じから、実にスッキリとなられました。
まちがいなく、体重が88kgから80kgに減ったとおっしゃいます。
 いろいろと聞いてみますと、当保養所に来られる前の1カ月は、宴会続きで酒の飲みすぎ、
食べ過ぎでべすぎで急に4kgくらい太られたとのこと。
また、ここ2~3週間は夕方になると両下肢が重く、だるく感じ、いつもより靴下の跡形も目立ち、
むくんでいた感じがあった由。
 当保養所に入り、人参ジュース・ダイエットを始められたところ、
昼間は10回前後、夜就寝してからも3~4回も排尿があったとのこと。
つまり、この方は、余分な水分が体内にたまりすぎて、体重が増加されていたことがわかります。

「体重増加」は「水が増える」こと

「心不全」というと、よく新聞の死亡欄などに「死因は〝急性心不全〟だった」などと書いてあるので、
「恐い病気」というイメージがありますが、
文字通り、「心臓の働きが完全でない状態」という意味なので、ごく軽い心不全の状態から、
死に至る心不全まで種々とあるわけです。
 軽重を問わず心不全になりますと、心臓から十分な血液の送り出しができないため、
腎臓へ行く血液も少なくなり、尿の生成・排尿も少なくなってしまい、体はむくんできます。
 心臓が十分な血液が押し出せないと、全身の細胞、組織、器官より戻ってくる血液を十分にすは
受け入れられなくなり、全身が更にむくんでくる、という悪循環になるわけです。 
 それで、体重もどんどん増えるし、心臓の力の低下を拍動回数で代償しようというメカニズムが働き、
頻脈 (脈が早くなる)にもなるわけです。
 心不全の特徴的な症状の一つとして、夜間頻尿というのがあります。
 昼間の立位の状態から、臥位になりますと、下半身から心臓へ戻ってくる血液も戻りやすくなりますし、
心臓も血液をスムーズに押し出しやすくなります。
よって、腎血流量も増えて、尿生成も多くなり、排尿も多くなる。つまり、夜間頻尿になるわけです。
 この方も、夜間頻尿が3~4回もあったわけですので、軽い心不全の状態が存在していたこと、
その結果、むくみ(体内の過剰の水分貯溜)による体重オーバーだったことがわかります。
 漢方医学では「むくみ」と「肥満」とのはっきりした区別がないのですが、
「肥満」もある面からいくと、「水太り」と考えてよいという意味でしょう。
 我々一般人が年とともに太ってくるのは、力士などのように猛稽古で筋肉を鍛えて体重が増加するのではなく、
むしろ、運動不足で体重が増すのですから、「水太り」と言ってよいのです。
いずれにせよ、人体の70%前後が水分なのですから、
「体重が増える」ことは「水が増える」ことと言ってもよいでしょう。

バセドウ病 粘液水腫で肥満を検証

●新陳代謝の低下こそが水分過剰の原因
 首の前面の、のど仏の左右に甲状をした内分泌(ホルモン)臓器が存在しますが、
これはその外観から、甲状腺と名付けられています。
甲状腺からはテロキンン、トリヨードサイロニンなどのホルモンが分泌され、体内の新陳代謝を刺激し、
産熱量を増加させる働きがあります。
 甲状腺からのホルモンの分泌が過剰になり、代謝が克進して種々の症状を呈してくる病気が
甲状腺機能克進症、別名バセドゥ病といわれます。
 新陳代謝がよくなりすぎるのですから、食べても食べてもお腹が空いてきて、やせてきます。
そして、
1 暑がりになり発汗が著しい
2 頻脈      
3 動惇が著しい
4 イライラ、精神的不安
5 下痢傾向
6 体、指にふるえ
7 ひどくなると眼球突出
8 基礎代謝が克進する
などの症状を呈してくるのです。
 逆に、慢性甲状腺炎や甲状腺ガン、ヨード欠乏、甲状腺を支配している脳下垂体の働きの低下などが原因となり、
甲状腺ホルモンの分泌が減少しておこる病気を粘液水腫といいます。
 その症状としては、
1 寒さに対して敏感になる
2 考えたくない、計算したくない……など精神活動は不活発になり、いつも眠い。
3 頑固な便秘
4 声は低く、ゆっくり話す
5 皮膚は蒼白で冷たく浮腫(むくみ)状
6 脈は遅く(徐脈)、呼吸もゆっくりしている
7 心臓の拡大があり、心膜水腫(心膜に水がたまる)をおこすことがある (息切れ、動惇)
8 基礎代謝が低下する
 バセドゥ病と粘液水腫の症状をよく見ると、肥満症は、粘液水腫の病態と酷似していることがわかります。
 つまり、代謝が悪くなるため、大便、小便などの排泄現象が悪くなり、
体に水をはじめ種々の老廃物や不要な物をため込んでいるのが粘液水腫であり、肥満だということに気づくのです。
 粘液水腫という病名、水腫=水によるむくみが示す通り、
「水」過剰こそ肥満の本質であり、水が過剰に体内に貯溜する原因は、新陳代謝の低下ということになります。

●甲状腺のマッサージが肥温を解消

 150Cmで63kgの45歳の女性Bさんが、次のような病状と病歴を訴えて、
私のクリニックに来院されたのが、ちょうど1年前です。
あまりに愁訴が多いので、当方も最初はびっくりしました。
 まとめてみると、
1. 仙気管支喘息と慢性気管支炎のため、ここ10年間、ずっとステロイドホルモン剤、
  気管支拡 張剤、抗生物質を服用している。
2. ここ2年くらい痛風のため、足の関節に痛みが頻発し、
  尿酸値も9・0ml/dl以上のため、尿酸排泄剤を服用。
3. 喘息にかかった頃より、鼻水、鼻づまりなど鼻炎の症状が出現し、吸入剤を用いている。
4. ここ5年くらい、生理過多と無月経をくり返し、婦人科からの薬を服用している。
5. 両側性の溶出性中耳炎のため、抗生物質やステロイド剤で治療中。
6. 近視、乱視の上に白内障まで患い、手術を受けた。
7. 左腎結核のために、左腎臓を摘出。
などの身体症状の訴えを聞くだけでも、大変だなと思われるのに、精神症状がまた気の毒なほど多いのです。
8. 精神症状
①常にイライラして気分が落ちつかず、身の置き場がない
②何事にも集中できない
③不眠
④楽しい気分になれない
⑤他人と話すのが苦痛
⑥テレビ、新聞などを集中してみられない
など、完全に「うつ病」 の症状です。
 水太りであったため、漢方の琴柱北甘揚を処方したり、カルシウムを補うため桂枝加竜骨
牡蠣湯を投与したり、気分を落ちつけるために、抑肝散加陳皮半夏を、更には、半夏厚朴揚や
柴胡桂枝乾妾揚など、次々に処方してみるのですが、ほとんど効果がありません。
 それでも、毎月1回は片道3時間くらいかけて通って下さいますので、
当方としては何とかしなければと必死です。
診察中は、世の中の不幸を一人で背負っているような暗い顔をしておられます。
 漢方薬処方を主体とするクリニックをやっている私としては、来られるたびによ〈なるどころか、
悪化しているように見えるこの患者さんに対して、誠に申し訳なく思ってはいるのですが、
文字通り、「薬石効なし」というわけです。
 ある時、血液検査をやってみたところ、貧血なし、肝機能正常、腎機能正常、炎症反応なし、
コレステロールが250mg/dと高い以外は正常です。
1週間おくれで検査センターより戻ってきた甲状腺ホルモンの検査が、
下限スレスレ、低値を示しています。
 つまり、甲状腺機能低下症(粘液水腫)の傾向を示しているわけです。
 あくまで漢方薬主体の治療にこだわる私としては、本意ではなかったのですが、
甲状腺製剤(甲状腺の働きをよくする薬)を朝1錠のみ投与してみました。
またBさんには甲状腺の働きを活発化させるために、
毎日1~2回頸部の甲状腺の部分をマッサージすることを指示しました。
 すると最初の1カ月で4kg、4カ月後には11kgもの体重が減少し、動作も速くなり、
にこやかな表情と快活な話し方に変わり、まるで別人のようです。
そして、不眠の解消、喘息発作の消失、痛風の治癒、鼻炎や中耳炎の快癒、生理の正常化、 
それに気分も落ちつき、仕事にも集中でき、心身ともに軽くなったのです。
 この甲状腺製剤による治療中にBさんが何回も口にした言葉が、
「尿がうんと出るようになって気持ちがよい」でした。
 つまり、水分の体内貯溜がBさんの肥満の原因であり、
喘息、痛風、高コレステロール血症などの身体疾患の他に、
精神的不調まで来たす要因だったことがわかります。

なぜ、水太りになるのか

●体を冷やす陰性食品は害
 私どもの幼少時は、運動したり、労働したりしてのどがかわくと、まず水やお茶を飲むというのがふつうでした。
 水やお茶はそんなにおいしいものでもありませんので、必要以上に飲むことはありませんでした。
 夏は、かき氷なども食べましたが、サイダーやラムネなどのおいしい飲み物にありつくのは、
ひと夏に数えるほどしかなかったように思えます。
何といってもラムネやサイダーは「高級品」でしたから。
 それが、今の時代はどうでしょう。
街角のいたるところに、ビルの中や駅に、遊園地や時には学校の中にまで自動販売機が設置してあり、
コーラ、ジュース、コーヒー、紅茶、お茶、清涼飲料水……等の「水分」が氾濫しています。
しかも、「飲欲?」を誘うように、よい味付けがしてあるので、どうしてもたくさん飲みがちになります。
 昔の子供たちに比べて、今の子供たちは戸外での遊び、家事手伝いなどの労働など、
筋肉を使うことによるエネルギーの消費や水分の代謝がうんと減っているのにかかわらず、
今述べた「おいしい水分」を、やたら飲む傾向にあります。
 その上、体を冷やし、水分代謝を悪くするような陰性食品(81頁図参照)、
つまり、南方産のくだもの、カレー、コーヒー、白砂糖が一杯入った甘いもの、サラダ、牛乳、パン、
バター、マヨネーズ、クリーム類……を摂りすぎることにより、水太りの体質ができ上がるわけです。

水分はこんなに悪い

●水毒、この「冷」・「水」・「痛」の関係
 人間の体の中で水の占める割合は70%もありますし、水を3日も飲まなかったら死ぬのですから、
水は生命にとって最も大切な物質です。
 体内の種々の臓器で営まれる何千何万という化学反応は、すべて水がらみで行われているのですから、
水なしで我々が生きていけないことは明白です。
 しかし、水は体内に多く存在すればよいというものではありません。
心不全や腎不全で体内に余分な水分が貯溜しますと「浮腫」が生じ、
ますます心臓は負担を受け、更に水の排泄が悪くなり、浮腫が増悪することは前述した通りです。
肺ガンの時の胸水や肝臓ガンや胃ガンの腹膜転移による腹水では、
肺や腹部の諸臓器が圧迫されて患者さんは相当に苦しい思いをします。
 こうした現代医学的にも認められている「水」の有害作用の他にも、
漢方的に考えて、「水」が種々の症状や痛気をおこしてくることが、上の図より見てとれます。
 ※冷房に入ると頭痛や腰痛がする(冷⇒痛)
 ※雨が降ると神経痛が悪化する(雨=水⇒痛)
 ※雨にぬれると体が冷える(雨=水⇒冷)
というように体が冷えると、当然、その一部である腎臓の働きも低下し、尿の排泄が十分に行われず、
水分が体内にたまる(冷⇒水)というように、
「冷」・「水」・「痛」は、それぞれ相互に関連しているわけです。
 人間をはじめ動物は、体温(熟)で生きているわけですから、冷やされると困るわけです。
その時は、体内より余分な水を捨てて体を温めようとするメカニズムが働きます。
つまり、寝冷えすると下痢(水様便)する、冷えて風邪を引くと鼻水、くしやみが出てくる、
偏頭痛もちの人が嘔吐(胃液という水分を吐く)する……等々です。
 このように体内に余分な水分が貯溜した状態を水毒(水滞)と漢方では言いますが、
水毒があると、他に脈を速くし、新陳代謝を高めて水を捨てようとする(頻脈、不整脈)、
熟を出して水を蒸発させようとする(不明熟)、というようなメカニズムも働きます。
 今の子供たちのアレルギーもすべて水毒で説明ができます。
アレルギー
 結膜炎……涙
 鼻 炎……くしやみ、鼻水
 喘 息……うすい水様たん
 アトピー……湿疹
というように、水分の排泄現象がアレルギーなのです。
50年前の子供たちに比べ1℃も体温が下がり、36・0℃にも末たない体温しかもっていない今の子供たちが、
何とか体を温めようとして、体内の余分な水分を外に排泄している姿がアレルギーと考えてよいでしょう。

白は「冷え」の色

 さて、人間は赤ちゃんで生まれて自ちゃんで死にます。
赤ん坊は赤血球が多く、体熱が高いので赤いのですが、
老人になると白髪になる、白内障を患う、皮膚に白斑が生じる……というように「白」が目立ってきます。
 雪の色が白いように、白は「冷、え」の色です。
冷蔵庫に食物を入れると硬くなりますし、水を冷やすと氷になるように、
地球上のすべての物体は冷やすと硬くなります。
 だから 「白」ちゃん=老人は、体が硬くなり、
動脈が硬くなる、血栓(硬い血の固まり)ができる、
癌にかかりやすくなる(痛⇒蕗=巌(いわお))ということになるわけです。
 老人が頻尿になる、とくに夜間頻尿を呈するのは、なるべく余分な水を体外に排泄して、
体を温めようとする反応なのでしょう。
 その老人に、血栓予防のために水分を多く摂れ、という考えはいかがなものでしょうか。
 水分が体内に多いと体を冷やし、血栓という固まりを作りやすくするのではないでしょうか。

水はかえって新陳代謝を悪くする   

「水は新陳代謝をよくするので十分に飲むように」とも巷間でよくいわれますが、これもいささか疑問です。
 心不全の一番の症状はむくみです。
つまり心不全は、体内に余分な水分がたまり、その結果、種々の臓器の活動、代謝を低下させ、
ひどくなると最後は心臓の活動がストップし、死の転帰をとる病気です。
「水が新陳代謝をよくする」のは、激しい運動や労働をし、発汗その他で体内の水分を失ない、
体温も上昇気味の時に飲む水分で、それは確かに新陳代謝をよくすると考えてよいでしょう。
 水、とくに余分な水(水毒)は、体を冷やすのですから、
体内の無数の化学反応が熟(体温)で行われていることを考えても、
水は新陳代謝を悪くすると考えてよいのです。

水太りの女性に「不定愁訴」が多い訳

肥満する、つまり水太りになると、体内には種々の物質がたまってきます。
肥満すると、血液中のコレステロール、中性脂肪、血糖、尿酸などが増加することは今や常識です。
 こうした栄養過剰物質が多いから肥満するのか、肥満するから、こうした物質が市棚するのか、
私は後者が正しいと思います。
一般に健康診断や病院の検査で、血液中のコレステロールや中性脂肪が多いと、
肉、卵、牛乳、バターなどの高脂肪食品や米、パン、芋、お菓子、アルコールなど、
高糖質食品の摂りすぎだ、とお医者さんに叱られます。
 しかし、こうした高栄養食品をさほど食べないのに、
高脂血症や高血糖症(糖尿病)の人が巷にたくさんいらっしゃいます。
 そういう人達は、冷え症か、水分の摂りすぎの人です。
 石油ストーブの石油にあたるのがコレステロールや中性脂肪、血糖ですが、
冷え症の人は、こうした燃料を燃やしきれずに体内に保持している状態なのです。
冷え症でなくても、お茶、水、コーラ、ジュース、コーヒーなど水分をやたらと多く飲む人は、
せっかく燃えようとしている燃料を「水」で消火してしまう結果、
血液中にこうした燃料(コレステロール、中性脂肪、血糖)が残ってしまうと考えてよいでしょう。
 尿酸の増加(痛風)も、水によって体が冷えると、当然腎臓も冷えるため、
尿酸を尿から排泄する力が低下し、結果とし、血液中に尿酸がたまるから、と考えてよいでしょう。
 ゴルフ場でプレーした後、レストランでキューッと一杯冷たいビールを飲んだ直後に、
よく痛風発作がおきるのも、冷えにより、尿酸の排泄の低下がおきたからと考えられます。
 ことほど左様に、肥満の原因は水であり、水による「冷、え」のために、種々の物質の燃焼、
排泄が阻害されてますます肥満に拍車をかけると考えてよいでしょう。
つまり、水は新陳代謝を低下させ、肥満やありとあらゆる病気の要因になることを示唆しているわけです。
 女性特有の「血の道症」も、この水分過剰と大いに関係があります。
水分過剰はとくに下半身を冷やします。
下半身が冷えると、熟や血や気が上昇してきて、下からつき上げられておきる症状である動惇、
息切れ、吐気、咳、イライラ、焦燥感などの「昇症」がおこってきます。
また、血や熱が上半身にうっ滞するため、
赤ら顔、頭重感、肩こり、めまい、耳鳴り、高血圧などの症状も出てくるわけです。
こういうのを「不定愁訴」といいますが、
水太りの女性がこうした症状に悩まされることが多いのは、やはり水が大きな原因となっているわけです。

水は水分は摂れば摂るほど更に飲みたくなる

●〓日酔は水毒だ
 五苓散という漢方薬があります。
これは五つの生薬よりできており、そのうち四つまでが利水(利尿作用)剤です。
つまり、体内の余分な水分をお小水として出すという作用のある成分が主体でできている薬です。
 だから、乏尿(尿量が少ない)、むくみ、下痢、嘔吐という体内の水毒(水分過剰)状態に用いて著効を呈します。また、偏頭痛や三叉神経痛にもよく効くことがあります。
これは、39頁で述べている「冷」「水」「痛」 の関係からよくおわかりでしょう。
 また、五苓散は、二日酔の妙薬でもあるのです。漢方医学では、二日酔のことを水毒といい、
アルコールで酔うとは考えないのです。「冷」「水」「痛」の関係図を見て下さい。
二日酔の時の「頭痛」「嘔吐」「下痢」「鼻水、鼻づまり」の原因が水分であることがよくわかるでしょう。
ビールの93%、日本酒、ワインの86%が水分なのですから、1二日酔は、明らかに「水」による症状状です。
 私も1日のうち宴会に二つも出ないといけない時は、サウナに入って十分に汗(水)を出して出陣します。
すると、どんなにアルコールを飲んでも、ほとんど酔いません。
二日酔は「水毒」という意味を十分に納得することができます。五苓散が二日酔の妙薬である所以でもあります。

「口渇」は体内の水の偏在でもおこる

 さて、五苓散は水毒に効くのですが、五苓散が効果を表わす症状に「口渇」があります。
「むくみ、乏尿、下痢(腸に水分が多い状態)、嘔吐(胃内に水分が多い状態)」という症状と「口渇」が、
並記されているのです。どうしてでしょう。
「口渇」つまり「喉がかわく」のは、体内に水分が不足している状態でも勿論おこる反応ですが、
体内に水分が余っている状態(水毒)でも口渇がおこるのです。
つまり、胃内(嘔吐)、腸内(下痢)、皮下(むくみ)、腹膜(腹水)というように、
不必要なところに余分な水分がたまり、
水を必要としている脳細胞や内臓の細胞には水分が不足している状態、
つまり水の偏在が水毒なのです。
だから、体内に水分は余っているのに、水がほしいという変な状態になるのです。
二日酔の時の口渇が正にそうでしょう。
 私は二日酔の時は、サウナで汗を流すか、ジョギングすることにしています。
ジョギングを始めると、胃の中でポチャポチヤと音がしますので、これこそ水毒だ、と実感するわけです。
2~3km走って発汗しだすと、不思議と口渇がなくなるのです。
それは、胃や腸にたまっていた余分な水分が血液に吸収され、全身の細胞に供給されたという証拠なのです。
 ことほど左様に、しよつちゅうのどがかわいて、水分を摂り、「水太り」を促進させているような人は、
運動や入浴やサウナで汗を出すか、または利尿作用のある熱い紅茶、ゆで小豆汁(123頁参照)、
生妾揚(117頁参照)を飲んでみて下さい。
 きっと、余分な水分を摂りたくなくなり、「水太り」の進行もストップするはずです。
冷たい水、アイスコーヒー、清涼飲料水、冷たいお茶……など、のどごしのよいものを飲みすぎると、
水分が体内に偏在し、体を冷やして代謝を悪くし、「水太り」 の原因になるのです。

夏に太る人がいるのはなぜか

●基礎代謝が大きく関係する
 元大関の小錦や横綱の曙をはじめ、ハワイ出身の力士はとてつもなく大きく肥満しています。
 ハワイやミクロネシア諸島(サイパンやグアムなど)に行くと、
小錦に負けぬくらい大きな肥満した人に出会って、びっくりすることがよくあります。
 昔、サイパンに2週間くらい滞在して、毎日、朝から夕方まで1日中、泳いだ経験がありますが、
それだけの運動をしても、何となく太ってくるし、体型も現地の人に少し似てきて水太りになり、
なぜだろうと思ったことがあります。 
 基礎代謝という言葉があります。
生理学的に定められた基礎的条件下での代謝を言いますが、
その条件とは、暑くもなく寒くもない快適な温度の中で、心身ともに安静な状態で、
摂食後12時間くらいというものです。日本人成人男子の基礎代謝は1日に1400Kcal程度です。
つまり、何もしなくても「生きている」だけで、1400Kcaくらい消費するという意味です。
基礎代謝、つまり生体が安静時に消費するエネルギーの大部分は「熟産生」に用いられています。
一般に、春から夏にかけては基礎代謝が下がり、秋から冬にかけては高くなります。
 ということは、同じ程度のカロリーを食べても、
暖かい夏には、エネルギーとして消費されにくいことになります。
 冬とちがって、環境温度が体温(36.5℃前後)に近づく夏には、
休も熟産生のために、代謝を上げる必要がない、つまりカロリーを使う必要がない、というわけです。
 というわけで、夏は消費エネルギーが少なくなり、「夏に太る」という人がでてくるわけです。
ミクロネシアの人達が太っているのもこれで肯けます。
 また、暑いところでは何とか少しでも涼しく感じるために、
体を冷やす仲川のある水分を体内にため込もうとするメカニズムが働き、
ミクロネシアの人々は水太りになるのでしょう。
 睡眠時の代謝は、基礎代謝より10%も低いので渡る前に夕食をとったり、
夜食をとると、太りやすくなるという理屈になります。
また、力士が激しい稽古のあと朝食(昼頃)をたんまり食べ、
すぐ午睡に入るのは、体重を増やす知恵であるわけです。
 逆に、筋肉労働や精神興奮では基礎代謝が上昇するので、筋肉労働者やスポーツ選手、
終始イライラしている人は、太りにくいわけです。

中年になるとなぜ太るのか

●肥満防止には基礎代謝を高めること
 若い時と同じような生活習慣をして、同じような食事を食べていても、
中年を過ぎてくると、ほとんどの人が少しずつ太ってきます。
 それは、若い時に比べて基礎代謝が落ちてくるからです。
 図より、女性は思春期を過ぎるころよりすでに、また男性は18歳を過ぎると、
体脂肪が増えてくることがよくわかります。
よって、肥満防止には、基礎代謝を高めることが大切です。
 基礎代謝を高めるために一番大切なことが、筋肉を発達させることです。
 なぜならば、筋肉は、非常に代謝の活発な組織であり、体熱の40%を産生しているところでもあるからです。
 そのためには、5章で述べているように、とくに、下半身を鍛える運動をするといいでしょう。

若い人ほど「水々しい」というのは?

●細胞外の余分な水分が「むくみ」となる
若くてピチビチした人のことを「水々しい」と表現しますし、
老人は体内の水分が不足してきて、皮膚も乾燥してくるので、水をたくさん飲む必要があるとよく言われます。
 また、「水もしたたるいい男」などともいわれ、水は若さの象徴のように受けとれます。
若い人達がピチビチと水々しいのは、皮膚(内臓も)の細胞の中に水分が十分存在しているので、
そうなるのですが、この本で言っている「水毒」とか水滞、水過剰というのは、
細胞外の余分な水のことなのです。
「水腫」「浮腫」、つまり「むくみ」の定義も、体の組織間隙や細胞間、
または体腔内にリンパ液や渠液などの水分がたまった状態、とされています。
 つまり、「むくみ」「水太り」というのは、
細胞と細胞の間や、鼻腔、胃腸管、血管など体内の袋やくぼみに余分な水分がたまった状態を言うのです。
 なぜ、「水がたまるか」 の理由は「体内の代謝が悪い」
 つまり、「尿をはじめ、肺、皮膚を通しての水分排泄が悪い」からということに尽きるでしょう。

体熱を上げることこそ最大の肥満解消法

●肥満の二大原因は「水分」と「冷え」
 これまでお話ししてきたことから、
肥満の原因は「余分な水分」と「冷え」であることがお解りいただけたことでしょう。
 そうしたら、肥満を解消する方法は、自ずから明らかになります。
水を追い出し、冷えを解消する方法として一番大切なものは、「熟」ということに異論はないはずです。
 バセドウ病は、代謝がよくなりすぎるためにやせてくる、と述べましたが、
代謝をよくするための一番の方法が発熱です。
「発熱」を侃すための、食事、運動の仕方、お風呂やサウナの入り方などは、
以下に、詳しく述べるつもりですが、
ここではその前に、次章で肥満度、肥満症と合併しやすい病気、
「水太り」と「固太り」等について述べていくことにしましょう。

老化は体の乾燥が原因だった 石原結實著

1章いつまでも、もっともっと若々しく生きられる!
 腹まわりの中年太り、髪の毛の腰がなくなってぱさぱさ、
これら老化現象の原因はただ一つ、体の乾燥が進んでいる結果。
1.無理して水を飲んでいないか
□水の飲みすぎが老化を早める
 私たちの体の中の細胞・臓器は「水分」と「体熱」によって働いている。
 水分を過剰に摂取すると、体を冷やす。すると、細胞内に水分が吸収されず、細胞間質に水分がたまってしまう。これがむくみの原因。
 瑞々しい肌などを保つために必要な水分とは「細胞内の水分」のことであり、細胞外液は害になる。
□体熱が下がると乾燥が進む
 35℃という低体温は、細胞内に水分を吸収させる力を阻み、老化や病気を早める要因。
□体温が低くなった原因
①筋肉労働や運動の不足→筋肉を鍛える→体熱をつくる→水分が細胞内に送り込まれる
②体を冷やす食べ物の摂取
③塩を避けすぎている
④血液をサラサラにして血栓を防ぐ、ということで水分を採り過ぎている。
 老化防止→血液中の水分を細胞内に十分吸収させるためには、まず、細胞内の水分を先に排泄する必要がある。
 出すためには、腎臓の働きを促すこと。
2.なぜ減塩しても血圧が下がらないか
□塩分不足で全身がカサカサに
 人間の体内では、塩分は水分とくっついて動いている。体の中は、一定のミネラルバランスが保たれている。
 よって、体から塩分だけを都合よく減らすことはできない。
 ゆえに、必要以上に塩分が減れば、水分も減ってしまう。そして全身がカサカサになる。そして老化へ。
3.食事を減らすよりも、食べたものを出す
□ダイエットがうまくいかない理由
 食べるものを減らすことより、きちんと排出することが肝心。
 ゆえに食べなくても、痩せることはない。
 年をとればとるほど、細胞は水分を摂り入れにくくなり、余分な水分が全身の袋状の器官や下半身に溜まっていく。ゆえに、この余分な水分をいかに排出するかが課題。
□体内の老廃物を切り出したいのなら朝食を無理に食べない。
 朝は余分な老廃物と水分を排出するチャンスであるし、胃腸の活動も不十分な状態なのだから、無理して食べる必要はない。
 朝食はミネラル・糖分ともにベストバランスの「人参・林檎・塩ジュース」「生姜紅茶」を摂る食事がベスト。
 そうすると、体内の余分な水分によるブヨブヨの水太り下半身デブが予防・改善でき、全身の細胞を瑞々しく潤して老化をストップさせられる。
 しかし、夕食を抜いても、排泄作用を高めることはできない。

4.保湿は肌からではなく、体の中から
□塗りすぎが肌の老化を早める
 肌の乾燥を防ぐ上で必要なこと2つ
 ①入浴
 入浴で体が温まれば、腎臓も温まり、活性化する。すると余分な水分が速やかに排出される。
 その上、体が温まることで、皮膚細胞の代謝も活発になり、乾燥してしぼんでいた皮膚細胞に新鮮な水分が摂り込まれ、瑞々しさを取り戻す。
 さらにたっぷり汗をかくと、汗が天然のNMFナチュラル・モイスチャライジング・ファクターとして皮膚表面に潤いをもたらし、さらなる美肌効果をもたらす。
 ②保水性
 水分を吸収して、瑞々しくなった細胞を保ち続けること、保水性が必要。
 これに効果があるのが「ヌルヌル・ネバネバ食品」の摂取。
 山芋、ワカメ、納豆などにはムチンという成分を含み、これが若々しい細胞を保つ。

5.脳の萎縮も必ず防げる
 脳の老化現象=脳の乾燥
□体が乾燥すると脳もスカスカになる
 皮膚が乾燥している人は、脳も乾燥している可能性が高い。
 脳の乾燥を防ぐには、「脳の細胞の乾燥を防ぐ運動」が必要。

2章元気の素は体内を乾燥させないこと
1.あなたの体の乾燥度はここでわかる
□喉が渇いて仕方がない=体が乾燥している証拠
 喉の渇きは細胞が乾燥しているサイン
□雨の日は体調が悪い=体が乾燥している証拠
 余分な水→体を冷やす
 ゆえに、雨の日に調子が悪い人は、水毒による細胞の乾燥を表している。
 やたら汗をかく人も、健康で若々しい体を保つバランスが明らかに崩れている証拠。γ・GTP値が高い人も同じ。

2.水をいくら飲んでも瑞々しくなれない
 幼児は70%、成人は60%、老人は55%が水分
 体を瑞々しく保たせる水分は細胞内液
 水毒の水分は、本来必要でないところに溜まった水分で、細胞外液
 体の中の水分コントロールの仕組み
①血液中の水分は、全身60兆個の細胞に運ばれる。
②運ばれた水分(細胞内液)は、様々な化学反応のための必須物質として活躍
③その水分が古くなれば、老廃物とともに血液に吸収されて、腎臓に行き、尿として排出される。
 この働きが滞りなく行われるためには熱の力が欠かせない。
 ゆえに、熱がないと①から③のコントロールが崩れる。
□細胞を若返らせる水分とは
 細胞は、それ自体と同じ水と塩のバランスの水なら取り組むが、塩分を欠いたバランスの悪い水分は細胞の外にはじき出す。昆布茶などがいい。

3.老化に待ったをかける「腎」のしくみ
 老化を止めるには、余分な水をじゃんじゃん外に出すこと。
 そのためには腎臓の働きを高める。
 ゆえに、細胞に吸収されない水を摂取してはならない、腎臓を冷やし、機能を低下させるから。


3章全身が瑞々しくなる食べ物、日常生活
1.特効の飲み物
 腎臓の機能を高める不老飲料=「人参・林檎・塩ジュース」→これには、体に必要なビタミン、ミネラル約130種がすべて含まれている。
 人参2本、林檎1個、自然塩の2.5杯
□乾燥を防ぐ生姜紅茶
 生姜を日常的に摂ると、腎臓の血流がよくなって排尿が高まり、発汗を促進する効果がある。
 その結果、余分な水分がどんどん取り除かれ、逆に必要な水分が細胞に取り込まれて、細胞が瑞々しく若返る。
 生姜の効用
① 体を温め、血液、体液の流れをよくする。
② 尿の出をよくして余分な水を排出
③ エネルギーの流れをよくして気力を高める。
④ 血小板の凝集力を弱め、血栓を予防


2.体を潤す、基本食事法
 排泄力を高め、余分な水分を出すのに最適な食事法
① 朝食→「人参・林檎・塩ジュース」→空腹ではないのに、無理して食べる必要はない。
② 昼食→蕎麦→葱、山葵、唐辛子をたっぷりかけて
③ 夕食→和食中心のものを腹八分目
□胃腸に負担をかけない食べ方
 人間の生理には「吸収は排泄を疎外する」という大原則がある。
 食べ過ぎると、消化のため胃腸に血液が集まりすぎ、排泄器官である腎臓、大腸にまで血液が回らない。
 ゆえに、入れる量を減らせば、排泄はよくなる。断食が好例。

3.この食べ物を口にしていれば老けない
□北方産の食べ物を選ぶ
 老化防止食材の選び方
① 北方産の食べ物→葡萄、プルーン、林檎
② 赤・黒・燈・黄色などの暖色の食品→黒パン、玄米、小豆、納豆、海藻、蕎麦、紅茶、黒砂糖、黒酢
③ 塩分のきいたもの
④ 硬いもの
⑤ 赤ワイン
⑥ 動物性の食品
⑦ ヌルヌルネバネバ食品


4.下半身の血流をよくして体の芯から若くなる入浴法
□全身が若返る毎日の簡単習慣
①ゆっくり入浴
②下半身を暖める
③スクワット運動
5.筋肉を鍛えて乾燥を撃退
 尻の肉が落ちる→全身が乾燥した姿
 筋肉には栄養や酸素を運ぶ毛細血管が網の目のように走っている。
 だから、運動して筋肉を使うと、エネルギーが産出され、体温が高くなる。
 尻翳る状態になれば、熱が生まれず、体は冷えたまま。
 すると、腎臓、副腎などの器官が衰え、耳鳴り、白髪、老眼などの老化現象があらわれる。これが腎虚。
 ゆえに、腎臓の働きと直接結びついている下半身の筋肉を鍛えていけば、排泄力は確実に上がる。
①体に無理なく体温を上げる→散歩
②血行をよくし、筋力を上げる。→スクワット運動
③道具なしでもその場でできる→アイソメトリック運動

4章気になる病気を薬なしで治す
①糖尿病→下半身が細い→筋肉での糖分消費が少なくなるため血中に残り、糖尿病になりやすくなる。→下半身の筋肉を鍛える+膵臓のβ細胞の乾燥防止→インスリンの産出、分泌を促す。
ひじき、ごぼう、ワカメ 腸から血液への糖分の吸収を防ぎ、血糖の上昇を抑える。
生姜紅茶 生姜、黒砂糖にはインスリンの成分となる亜鉛が多く含まれ、体を温める効果もあるので糖分が燃焼する。
玉葱 血糖値効果作用のグルコキニシが多く含まれる。
散歩 最低20分、毎日。歩いて筋肉を動かすと、糖輸送担体が活性化し、糖分を使い、また、内臓の血行がよくなり膵臓の働きも促進される。
②高脂血症→血液の中に余剰物・脂が多く残っている状態。これは細胞が乾燥して、余剰物を燃やすサイクルが衰えた結果。→いかに余分な水分を排出させるか。→筋肉を鍛える。→生姜紅茶、乾燥を防ぐ食べ物(赤、黒、黄色の食べ物)、早歩き、入浴
ゆで小豆 排尿、排便を良くする。
食物繊維 海藻、豆腐、こんにゃく、黒ゴマ、玄米
④ 胃腸→体が乾燥→生姜紅茶、キャベツ、黒豆、人参・林檎ジュース
⑤ 骨そしょう症→骨の乾燥→生姜紅茶、散歩、フラミンゴ療法、入浴
⑥ シミ、皺→ヌルヌル・ネバネバ食品、半身浴、散歩、人参林檎ジュース、生姜紅茶
⑦ 癌→体を温める→朝食は人参林檎ジュースと生姜紅茶だけ、玄米に梅干、ひじき、野菜、豆、魚介類、散歩、入浴、趣味、感謝→NK細胞の働きを高める


「おいしい水」健康法―体質を変える水の不思議 高橋由美子著

生命のカギを握っている〝水″   地球は水の星と呼ばれています。そして水こそが、生命をはぐくむみなもとだと考えられているのです。 たとえば私たちの太陽系。いちばん内側の水星から冥王星まで、地球の空気とはちがっていても、〝大気〟と名づけられる気体をもっている惑星はあるようです。太陽光線も、かすかだとはいえ最外周の冥王星を照らしています。 ところが、水が、気体、液体、固体の三つの形体で存在するのは、地球だけなのです。そして生命は、この地球の上にだけ存在しているのです。さらに話を宇宙全体に広げてみても、数十億という確認された星々のなかで、このようなかたちで水のある天体はほかにひとつもないようなのです。もちろん、宇宙人はおろか原始的な微生物ですら、いまのところどこにも発見されていません。 もしかすると、生命の根本的なカギを握っているかもしれない水。この本は、そうした水の、不思議な、秘められた、そして圧倒的な〝力〟についてお話しする本です。

♪いまの科学では説明できない謎   ♪なぜトマトはトマトになるのだろう     
♪生命をトータルに考えるニューエイジ  ♪水は記憶をもつ・コピーもできる   
♪地球の水にピンチが迫っている  ♪人体という小宇宙を見なおそう  ♪あなたは「水」でできている  
♪人間は本来、病気になる必要はなかった     ♪水がバラバラに寸断されている   
♪細胞が海から生まれた記憶  ♪「生命体とは水を入れた容器である」
♪人体では消化液がいちばん多い  ♪人体における水の一生  ♪水の出口は全身にちらばっている
♪「蒸発」は汗ばかりではない  ♪大便にも〝不要の水″が入っている  ♪尿の量が激変するのは病気の疑い
♪アンモニアを無害なものに変えるシステム  ♪オシツコのもとは一日178リットル
♪尿は体調のシグナルである  ♪母親がどんな水を飲んでいるかが決定的  ♪聖マリアンナ医大教授  
♪清涼飲料水の恐ろしさ   ♪悪臭のある大便が病気をつくる  ♪腸には一〇〇兆個の微生物が住む′
♪異常発酵の正体は〝悪玉菌″  ♪ガンは水の乱れでつくられる   ♪微生物も〝水″で生きている  
♪フリーラジカルは凶暴な異分子だ
    ♪細胞膜をびさせてしまう恐ろしさ  
♪セレニウムは〝体のさび落とし″ ♪老化とは乾燥の過程である  ♪〝良い水″は美容の決め手だ  

いまの科学では説明できない謎

 まず、いくつかの興味深い「 ? 」のことを述べてみます。
ちょっと遠まわりかもしれませんが、生命の謎に関連することですから、みなさんも考えてみてください。
 はじめは、一九六三年ソ連の生物学者エドワード・ナウモフ博士が行なった実験。
親ウサギと子ウサギ数匹を、別々なところに引き離しました。
親ウサギは、ソ連本土の研究所に飼っておきます。
子ウサギは潜水艦に乗せて、遠い海の中へ連れていきました。
親ウサギのほうは、脳波などの生理的な変化を測定できるようにしておきます。
 そしてはるかな海によってへだてられた潜水艦の中で、子ウサギを一匹ずつ殺していきました。
すると子ウサギが殺されるたびに、地上の親ウサギは明らかに大脳生理的な反応を示したというのです。
どういうことでしょう?
 人間にもじつは、同じような事例があるといわれていますね。
「胸さわぎ」などがそうで、ふだんの生活では考えられないような体験が、身近な肉親の死によって生じたりします。
 多くの人がもっていると思われるこんな実体験ですが、はたして今の近代科学で解明しきれているでしょうか。
なぜウサギにも、人間にも、こんなことが起こるのでしょう?
これが最初の「?」です。
 二番目は、『百番目のサル』というタイトルで本が日本でも翻訳されている有名な研究です。
 日本の幸島(九州束岸)で、一匹の革新的なサルが、とんでもないことを始めました。
それまでまったくサルの習慣になかったのに、イモを突如として海水で洗って食べたのです。
それを見ていた他のサルが、まねをしてやはりイモを洗って食べました。
 そして次々にこの新しい習慣が広まっていき、ついに一〇〇匹目のサルに達したとき、
驚くべきことが起こったのです。
 なんと、海をへだてた別の島々のサルたちも、いっせいにイモを海で洗い始めたのです。
そしてまるで大昔からそうであったかのように、どのサルも海水で洗ったイモを食べ始めました。
通信手段もない離れ島まで、その日サルたちはどうやってこの方法を伝えたのでしょうか。
一〇〇匹という数を超えることで、何か量的変化から質的変化へ移ったのでしょうか。
食塩などをある条件下で水に溶かしていくと、その量が臨界点を超えたとたんに、
こらえきれなくなっていっせいに結晶化する、という事実があります。
そんなことが、まるでサルの〝精神〟の世界に起こったようなのです。
 やはりここでも、似たような体験をおもちの方は多いはずです。「以心伝心」というものです。
ちょうど電話をしようと思っていた人から連絡が入ってきたり、
ひさしぶりに昔のことを思い出していたら、旧友から手紙が届いたり。
「マーフィの鏡の原理」のように、科学的には証明される以前でありながら、
すでに経済・経営などのビジネス面で積極的に活用されている例もあります。
それは、「こちらが好感をいだいている人は、相手もこぢらに好感をもってくれている。
逆になんとなく気まずく思う相手は、こちらに対してもそう思っている」という原理で、
確実に手ごたえのある実践法としてすでに年数を経ています。

なぜトマトはトマトになるのだろう

 三番目の「?」として、次の例をごいっしょに考えていただきたいと思います。
 ひと粒の種子を植えるとします。
トマトでも朝顔でも、菩提樹のような巨木でも、なんでもけっこうです。
ご自分の好きな種子を土に埋めることを想像してみてください。
 日本のふつうの自然の土地でしたら、それほどむずかしい条件がそろわなくても、
種子は芽を出し、根を張り、茎が伸び、開花してその植物としての成長をとげていくはずです。
なぜなのでしょう。
 科学者の説明する成分や構造式のことではありません。
なぜこのように生命がはぐくまれるのでしょうか、といった素朴でしかも大きな質問なのです。
 ハイポ二カというトマトの巨木の実験は、私たちにとって驚きでした。
種子を植えれば、それがあたりまえのようにして開花し実をつけると考えている私たちに、
ハイポニカをつくった野澤重雄さんの言葉は重大な問いを投げかけてくれます。
「その植物をとり扱う側の心によって、どの程度の実りになるか左右される」
 ごくふつうのトマトの種ひと粒から、一万二〇〇〇個の実を成らせた巨木をつくった、
その実体験をふまえてのお言葉なのです。
このことはつまり「トマトという植物の種子が無限に伸びる力をもっている」という考えで対応するとき、
種子はそれに呼応し反応する、という意味なのでしょう。
あるいは別の言葉でいえば、ひと粒の種子の背後に巨木をつくりあげる大きな生命力がある、という信念。
もちろん野澤さんのお考えの大前提には、自然法別に対する真撃な、二十五年にも及ぶご研究があること、
そして宇宙の不動の真理に対するご尊敬の念をもたれていること、
こうした点についてはいうまでもありません。

生命をトータルに考えるニューエイジ

 さて、以上お話しした三つの「?」。じつはこれを「?」にしているのは、科学者たちなのです。
むしろ科学者以外の多くの人々は、こうした事実を自分の経験と照らし合わせ、
「そんなこともあるだろう」「うーん、そうにちがいない」などと納得されているはずです。
この〝科学的最先端″ の時代にあって、ますますそうした人がふえていることを、私は身近に感じています。
 たとえば、ニューサイエンスというトレンドがあります。
先ほどのサルの研究者でもある、『生命潮流』という本を書いたL・ワトソンなどが有名ですが、
彼らの共通点は、「垣根をとっぱらう」という考え方です。
植物学とか実験心理学などの狭い専門分野にとじこもることなく、
それらをふまえた哲学、心理学、生物学、そして精神界そのものを大きくトータルに学んできた人々。
つまり「生命って何だろう?」という全体的な問題に、正面から真剣にとりくんできた人人です。
 彼らにとっては、先の三つの「?」など疑問でもなんでもありません。
「当然のこと」として受けとめるはずです。
 これに対して、従来どおりのシステマティックな科学の枠内で考える人にとっては、
「そんなバカな、非科学的な」となります。
両者の距離がますます広がりつつあるのが現代、といえそうです。
 生命をトータルに考える人々のことを、〝ニューエイジ″と呼んだりもします。
もちろんエイジといっても、年齢のことではありません。
六〇年代に始まり、七〇年代に展開し、八〇年代に決定的に変化してきた時代の流れを的確にとらえて、
生きる使命を自覚している人々のことをさす言葉です。
アメリカでもヨーロッパでも、世界中の人々が、あらゆる分野でそんな〝ニューエイジ〟として、
活躍しっつあるのです。
 ある意味で、科学や技術の台頭とひきかえに失われてきた部分、
たとえば「宇宙の真理」としかいいようのない部分を、再度見つめなおす時代がやってきた、
といえるのではないでしょうか。

水は記憶をもつ・コピーもできる

 三つの「?」を考えるとき、生命における一種の「共鳴現象」ということに思いが至ります。
「共生」といいかえてよいかもしれないこの現象の、じつは媒介として「水」が働いているのではないか。
しかしこの点についてはあとでゆっくり考えるとして、
ともかくもちょっとしたヒントになりそうなエピソードを、ここでご紹介しておきたいと思います。
 最近アメリカで、次のような水の研究がすすんでいるのです。
 バイオスペクトロニクス研究所のリー・H・ロレンツエン博士は、
水をコピーの触媒として用いることに成功しました。
どういうことかというと、たとえば痛みどめの薬があるとします。
この薬を、特殊な機械を通して水に〝コピー″させるのです。
その結果、外観や味はまったくふつうの水であるにもかかわらず、「痛みどめの水」ができてしまう。
つまり薬のかわりにその水を使えば、痛みがとまるのです。
 そのほかにもいろいろ、実験が行なわれました。
長寿で有名なコーカサス地方に伝わるヨーグルト。
数十種の菌が入ったものですが、このヨーグルトを〝コピー″して、〝長寿の水〟ができました。
また、車のエンジンの燃焼効率を高める薬品を〝コピー〟して、エンジンのパワーを高める水もつくられたそうです。
 驚くことばかりですが、その「理屈」はくわしくはわかっていません。
ただ、次のような仮説は考えられるようです。
水が、その物体のもっている振動(分子運動?)を記憶し、
その振動がたとえば人体の細胞内の水にコピーの輪を広げ、
ついに痛みをとめたり長寿の効果を与えたりするのではないか、ということです。
なおこの点についての研究は、日本ではいわば「πウオーター」と名づけられて論議をよんでいます。
いままで考えもつかなかった水の働き。人体内の水の役割。環境と人体の水との相関性。
そして、病気を治し、健康に生き、美しさを保つための水の役割。
こうしたことを、この本で考えていきたいと思うのです。
はじめにあげた三つの「?」も、きっと水にかかわってくると思えてきませんか。

 地球の水にピンチが迫っている

 水の星である地球。これをいいかえると、
あらゆるものに水を含んだ、特徴のある天体だということになります。
そういえば、日ごろ何気なく使う温度も、水を基準にしているのでした。
水が凍る温度を0度Cとし、沸点となって気化する温度を一〇〇度Cときめたものです。
 ところで、この水の星・地球の、きれいな、良い水を考えるとき、
それがいまや大きな危機にさらされていることに気がつかざるをえません。
それは、最近たびたびテレビなどでもとりあげられている、地球環境の汚染の問題です。
 たとえば、フロンガスという、誰もがなんらかの形で使っている日常的な物質の蓄積によって、
オゾン層の破壊が起こっていること。
これはまさに人類史上、いや地球史上初めての危機といえましょう。
 また、酸性雨もあります。化学変化を起こして硫酸のようになった雨が、
森林の樹木にとりかえしのつかないダメージを与えようとしています。
これも、自動車の排気ガスや、工場から出る汚染された排気の蓄積によって生じている公害です。
どちらも、地球の水をすっかりダメにしてしまうかもしれない、恐るべき現象です。
そのほか、放射性物質や化学工場の地下水汚染、危険な〝ゴミ〟の海洋投棄の問題など、
数えあげればきりがないほど。
 しかしここで、冷静に考えてみると、これらの危機には、以前には見られなかった、
少なくとも次の二つの共通する特徴のあることがわかります。
 第一に、人間及び生物にとって欠かすことのできないオゾン、酸素、水といったものを広範囲にわたって破壊し
一人二人ではなく、人類全員の生存をおびやかしているということ。
 第二に、その原因として、近代社会に住む人間ぜんぶがかかわっている。
つまり、好むと好まざるとに限らず、近代社会の人間みんなが加害者であること。
そのような〝文明の恩恵〟をこうむる社会システムのなかでは、
環境汚染に十分関心を払っている人でも、多少は加害者の立場に立ってしまう。
ましてや、なんの注意も払っていない人ならば、知らず知らずに大いなる加害者になっている可能性があるのです。
そして彼らぜんぶが、同時に被害者でもあるという、ひじょうに恐るべき構図ができあがってしまっているのです。
 第一の問題も第二の問題も、全体的で、一地域に限られない公害であることが特徴といえましよう。
ですからこうした危機を防ぐためには、一人だけがフロンガスを使わない、
ひとつの国家だけが排気ガスの規制をする、ということでは追いつかないのです。
解決への第一歩であるとはいえ、そうした細かな方法だけでは根本的な治療にならないのです。
地球全体の規模で行なわれる、なんらかの手だてがとられなければなりません。
 フロンガスについては、ようやく世界的な規制のスタートラインに立ったにせよ、
その他の問題も含めてやはり大国同士の思惑がからみ、なかなかすっきりいけるものではないようです。

人体という小宇宙を見なおそう

 じっは、人間の体にも、同じことがいえるのです。
人体は、いわば小宇宙。その小宇宙の全体を見渡さないで行なわれる対策が、なんと多いことでしょう。
 病気ひとつをとってみても、たとえば頭が痛ければすぐに頭の病気を考える。
足に水虫ができれば、水虫菌を殺すための薬を塗ることしか思いつかない。
糖尿病にはひたすらインシュリンを調節して、数値を下げる。
 こうした対症療法的な考え方は、いわば局所的で、もっといえばその場しのぎの発想にすぎないのではないか。
「これだけでいいのかなあ?」と直感的に疑問をもたれる方がふえているのは、どうやら事実のようです。
漢方薬のブームなども、表面的なところがあるにもせよ、こうした疑問や不安のあらわれのひとつだといえます。
 何よりも大切なのは、人間の休も、地球と同じように全体的に考えなければならない、ということです。
もはや部分部分の手当てではごまかせなくなって、全体的で根本的な視点から見っめなおす時代がやってきたのです。ガンや成人病などの「現代病」が猛威をふるう実情からすれば、
これまでのような局所的な考えでは対処できなくなっていることは、十分おわかりいただけると思います。

あなたは「水」でできている

 そこで、水が大事になってまいります。地球に生物が発生したみなもとである海。
その生命の歴史を見ても、また人間の血液の成分が海水と共通することを見ても、
あるいは受精卵の九〇パーセント、胎盤血液の八〇パーセント、羊水の一〇〇パーセントというもので、
胎児が水中で育ってゆく点から考えても、水が人間の生命の全体に、
いかに深いつながりをもっているかが理解できるはずです。
物理的にも、人間の身体は水と切り離せません。
飲み水だけでなく、体の組成からいってもそうなのです。
 たとえば、この本をお読みのあなたの身体の七五パーセントは、水なのです。
そして、人間の中枢である脳の九〇パーセントは、水なのです。
このことを、ぜひくりかえし思い出していただきたいのです。
 はじめに述べた三つの「?」でご紹介したようなことは、これからしだいに謎が明らかになってくるでしょう。
いまや、従来の科学が乗りこえられつつある時代、そして次の科学と呼ばれるものが始まりかかっている時代です。
その新しい流れのひとつの大きなカギとなるのが、水です。
この本ではさまざまな角度から、水の秘密や効能をとらえなおしていくつもりです。
 とくに、あなたがいちばんよく知っている、
また知らなくてはならないご自分の体と水とのかかわりについて、
つまり「生命と水」について、じつくり考えていきたいと思います。
 水が一滴もないと、人間は三日と生きていけないことを、誰もが知っています。
それほど生命に直結した大切なものでありながら、多くの人がまったくといっていいほど、
無関心な状態で暮らしています。
ところがそんな無関心な水が、あなたの生命と健康を支配していることを、ぜひ知ってほしい。
 特殊な薬品でも珍しい食べものでもない水。
ごくごくあたりまえの水が、すべてのカギを握っているのです。
あなたの生命の秘密は、あなたの足元にあったのです。
はじめの「?」のようなことが、人生を良くすることに関するとすれば、
ご自分の〝水〟を良くすることが、鍵となると思われませんか。
 つまり、ひらめき、直感、生命力といったことが、
ひょっとすると人体の〝水〟の良い悪いで、決まっているかもしれないのです。

人間は本来、病気になる必要はなかった

 カーネーションの切り花をふつうの水道水に生けておくと、だいたい一週間で枯れてしまいます。
ところがこれをあるちゃんとした水に生けておいたところ、なんと四十五日間も咲き続けたのです。
もちろん切り花用の特殊な薬品などは使っていません。
 この例をどう考えるかによって、その人の生命観がわかるのです。
「なんだか変わった水だ」ですまされる方は、もしかするとご自分の健康や命に無関心なのかもしれません。
「四十五日にも寿命が延びたのか、きっとすごい水だ」と驚く方は、
生命活動というものに積極的な興味をおもちの方なのです。
 さらに次のような考え方をすれば、ご自分が生きている意味について、
目をひらいていただくことができるでしょう。
「そうか、本来は四十五日も生きるはずの花の命を、われわれが一週間に縮めてしまっていたのか。
 寿命や病気についての深い洞察にも、この考え方はつながっていきます。
神戸の誠仁会協和病院の林先生は、次のようにおっしゃっています。
「人間は、一生病気などする必要はなかった。
リウマチ、糖尿病、ガンなどの病気になることのほうがよっぽど大変だったのだ。
本来は健康な赤ちゃんとして生まれ、八十、九十、百歳と、泉重千代さんのようにすこやかに生きて、
大往生するようにつくられていたのだ」。
 その証拠に、生物が地球に誕生して三十五億年。
これに対し、医学が生まれ人間が薬などを飲み始めてから、三千五百年。
医学のお世話になったのは、生命の全歴史のたった一〇〇万分の一の期間にすぎません。
それ以外のぼうだいな歴史を生物は人間は、医者や薬にたよることなしに生き延び、進化してきたではないか。
そう、林先生はおっしゃられます。
それがすっかり狂ってしまった。
医学はすすんだというのに、年をとってからの病気や不健康はいまやあたりまえ。
子どもの成人病だってふえているし、アトピーなどの皮膚炎もひどい。
それどころか、先天的な奇形や血液の病気すら増加しています。
 どうしてこうなってしまったのでしょう。

水がバラバラに寸断されている

 基本的な問題点は、長寿村の例から考えることができます。
長寿村のご老人達はあたかもそれを実施してくださっているかのように死に到るまで元気です。
大自然の中で生き、食べ、眠る。
いいかえれば、自然の全体的な循環の中で暮らすということが、人間にとって本来の姿、生き方だったのです。
ところが悲しいことに、人間はそのサイクルからはみ出してしまいました。
 大きく変わってしまったものの代表が〝水″であると、私たちは考えています。
人体の七五パーセントを占める水。
その水は、もともとは海に生まれ、夙によって運ばれ、大地に雨となって降りそそぎ、田畑をうるおし、
川となって流れ、地下水となって湧き出て、飲み水として人間の口に入る。
そんな自然の中の〝すこやかな水″でした。
当然、生命にとって必要な成分を含んだ、豊かな水でした。
 そのサイクルが、とくに近代以後の工業化社会によって徐々に断ち切られていきます。
あるばあいには「健康ドリンク」としてビンに封じこめられて売られるようになる。
きれいなまま海に帰るべき水が、IC工場の洗浄用に使われて化学汚染され、地下に〝封入″されたりします。
水が、狭くて特殊な目的のためにバラバラに寸断されながら、
全体として恐るべき汚染にさらされているというわけです。
 人間をつくっている水がそんな状態ですから、
それを飲んでいる人間の体が変わってしまったのもムリはありません。
この本は飲み水を良いものにとりかえることによって、
あなたの健康をとりもどすことがテーマでありますけれども、
さらにいえば、水を含めた大きな自然の循環の中に生命をとりもどす地球の健康状態も考える、
全体的な生命観をうったえるものでもあるのです。

細胞が海から生まれた記憶

 人間にとってこんなに大切な水ですが、水を中心に人体を大きくつかんでいくと、
意外に知られていないおもしろい事実がたくさんわかってきます。
血液や汗や尿についてはばくぜんとした知識はおもちでも、
〝大きな水の流れ〟として体をとらえる考え方は、あまりなじみがないのではないでしょうか。
 そこで、ここでは人体における水の働きについて、全体像をかんたんにスケッチしてみたいと思います。
「人体の七五パーセントは水である」と、たびたび述べてまいりました。
これらの水には、血液や涙や胃液などの体液のほかに、細胞内の水分なども含まれます。
その合計が七五パーセントというわけですが、ある考え方によれば、それでも少なく見積もりすぎているそうです。
完全に数えあげていくと、なんと八五パーセントが水だという数値も出てくるのです。
 こうした、まるで地球の表面の四分の三が海であるのと軌を一にしたかのように、
人体の七五パーセント前後が水であることは事実なのです。
地球の水の汚染と人体の水の汚れと相関関係であることは当然のことといえます。
 なぜこんなにも、人間は水と稼が深いのか。
いや人間に限らず、すべての生物は水なしではとうてい生きていけない。それはなぜでしょう。
 地球上に命をもつあらゆる生物は、細胞と組織によってつくられています。
この細胞がいわば〝水にひたされることによって〟生きているのです。
生命の基盤である細胞が水とともに生きているわけですから、はじめに水ありき、という形になるのも当然です。
 この、細胞と水の深いかかわりは、どうやら海から始まっているようです。
生命の母体である海。
その中で生まれた原始的な生命-バクテリアヤアメトバの類-は、
海というスープの中で温められ、栄養を得て、発達していったのでした。
 生命体のこの原始的な生き方が、のちのすべての生物の細胞にまでひきつがれていきました。
われわれの体が、呼吸とか消化とか自律神経とかのめまぐるしい働きで維持されている理由は、
ひとつひとつの小さな細胞にいちばん適切な、居心地のよい生活条件を与えるためだともいわれます。
その生活条件とは、すなわち、かつて海とともに生きていたと同じような〝水びたしの〟
状態をさすわけです。
 なお、植物における水の割合は五〇パーセント~七五パーセントと意外に低く、
海に住むサカナは八五パーセント前後、クラゲなどの下等な水棲動物は九五~九九パーセントまでが水、
ということです。

「生命体とは水を入れた容器である」

 さて、こんどはじっさいの体の中の水の様子を見てみましょう。
 人間などの生物が生きていくためには、栄養やエネルギーを必要とします。
そのもとである食物が、体内に吸収される「関門」は、やはり水溶液の形で通過するのです。
 反対に、老廃物が体外に出る「関門」もまた、水溶液となって通過します。
さらに、体中に栄養が運ばれるのも、血液やリンパ液など水溶液の形です。
このように、体の中も水だらけ。
体に入るのも水、体から出るのも水、栄養を運ぶのも水。
というわけで、「生命体は水溶液を入れた容器だ」との表現もあるほどです。
 つづいて、体の働きを見てみましょう。
まず感覚。
ものを見る視覚は、眼球の水晶体という〝ほとんど水″ のレンズを通して、光を感知します。
音を聞く聴覚も同じで、音波は蝸牛殻という耳の奥の部分に満たされた水の振動に〝共鳴″して感知されます。
味覚の味細胞も、水に溶かされた物でなければ刺激として感知できません。
これは臭覚も同様です。
プロローグでお話しした三つの「?」ともかかわりあっていることを思い出されていることでしょう。
 それから、体内で行なわれている分子レベルの生命活動も、水に依存しています。
物理的あるいは化学的な反応-吸収とか排泄とか分泌、拡散などは、
水があることではじめて可能になるものです。
ここでは、とくに、水が物を溶かしこみやすい性質と、適度な粘り気をもっている点が生かされています。
 消化という働きも、水によるものです。
水を加える加水分解と、イオンの働きをうながす水和作用といわれるものがそうです。
 このような水の働きを可能にするのが、例の物を溶かしやすいという性質なのです。
生命活動イコール化学反応という見方からいえば、
さまざまな電解質と呼ばれるものを、体内の水が溶かしこんで、いることが、キーポイントになります。
 電解質というのは、水の中でイオンに変わる物質をさします。
たとえば食塩は水に溶けることで、かんたんにナトリウム・イオンと塩素イオンに分かれます。
電解質というくらいですから、これらのイオンは正の電気と負の電気をもっています
(それぞれ陽イオン、陰イオンともいいます)。
食塩の例では、陽イオンであるナトリウム・イオンと、陰イオンである塩素イオンに分かれる、というぐあいです。
 このほか、電解質として重要なものに、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラルがあり、
それぞれ水に溶けこむことによって、体内で重要な働きを行なっています。
 その働きの原動力は、いわばイオンとしての〝電気の力〟です。
神経や筋肉の機能、浸透圧、ホルモンの作用、細胞の運動、血液の凝固、各種酵素の補助など、
生命活動そのものといっていいさまざまな役割をになっているわけです。
 以上、人体の生理的な働きについても水が深くかかわっていることが、おわかりいただけたと思います。

人体では消化液がいちばん多い

 体内の水はいくつかに「分類」することができます。
 体の中にある水は、血液やリンパ液など、自由に移動できる「自由水」と、
細胞組織の水のように移動できない「組織結合水」の二つに分けられます。
その比率は、組織結合水が七、自由水が三ということです。
 かりに人体の八〇パーセントくらいが水であると考えると、
体重六〇キロの人は、約五〇リットルの水をもっているわけです。
このうち一五リットルが自由水。
その中味を正確にいえば、血液、リンパ液、消化液、組織内液、脳脊髄膜液などで、
これらを総称して、「体液」と呼んでいます。
なお、こうした分類は西洋医学の考え方であり、説明にはべんりですが、
トータルに水を見る発想とはやや異なるところがあります。
東洋医学では別の考え方をしているので、その点については次章でまとめて述べてみたいと思います。
 自由液である体液は、つねに体の中を動きまわっています。
体液のうちいちばん多いのは、意外なことに消化液です。
消化液は体液の約半分ほどを占め、先の例でいえば、一五リットルの体液のうち約八リットルにもあたります。
食事のときにはさらに二リットルもの水分が加わるので、
「食事はとうとうたる流れとなって体内をつらぬく」(医学博士・森下敬一先生)という表現もあるほどです。
 体液で、消化液についで多いのが血液です。右の例でいえば五リットル。
つまり消化液以外のほとんどか血液、というわけです。
ただし厳密にいえば、消化液はやがて血液ともなるので、両者を完全に別のものとすることはできません。
 こうした体液は、最後は老廃物を溶けこませた尿や汗となって、人間の体の外に流し出されていきます。
 以上が、体の中にある水についての大ざっばなスケッチです。

人体における水の一生

こんどは、口から入って体外に排泄されるまでの、「人体における水の一生」を考えてみましょう。
 人間にとっての水の入口はひとつ、口です。
口から入る水は、もちろん飲み水として飲まれるものが代表です。
そのほか、お茶、紅茶、コーヒー、清涼飲料水、酒など、さらにはスープ、
みそ汁という飲みものの形でも入ってきます。
また、野菜とか肉などの食べものの中に含まれる水分も、口を通して体内に入ります。
その総量は、一日約二リットル。
 口からとりこまれた水は、食道⇒胃⇒小腸⇒大腸⇒肛門という細長い消化管の中を通っていきます。
その途中で、いろいろな管の内側にある粘膜から吸収されて、体内に入っていくのです。
胃と直腸からも、ごくわずかずつ吸収されるようですが、大部分は小腸と大腸の粘膜からとりこまれます。
 体内に入った水には、別の旅が待っています。
水は、腸管をかこむ血管網やリンパ管網に入って、血液やリンパ液と合流します。
それらはともに静脈に注ぎこみ、心臓まで送られます。
 心臓から動脈を経由して、水は体の末端にまで血液の形で運ばれていきます。
もちろん肝臓や腎臓などの内臓にも行くし、指先などの末梢組織にも届きます。
 血管の〝先端″まで運ばれた血液はどうなるのでしょうか。
血液は、こんどは末梢の毛細血管から、組織ににじみ出していくのです。
そして、組織細胞のあいだをうるおす組織液として流れていきます。
それが、こんどはふたたび毛細血管網に吸いこまれたり、毛細リンパ管に吸いこまれたり、
というぐあいに〝逆流〟していくのです。
 組織のあいだを流れる水の中には、血液中の栄養素や酸素(赤血球から分離されたもの)が含まれており、
流れる途中で、これらを各細胞にわたしていきます。
良い〝水〟か否かが、全身に影響を及ぼしてゆくのです。
ひとことでいえば良い〝水″を口に含み飲みこむと全身に良い結果を生むということです。
 細胞は、生命活動に栄養素と酸素を使います。
その残りカス、つまり老廃物も、やはり細胞から組織液に溶けこまされて、血管やリンパ管にもどっていきます。
そして腎臓のろ過を経て、尿となって体外に排出されていくのです

水の出口は全身にちらばっている

 こんどは、体から出る水について、少しくわしく考えてみます。
個体差はありますが、健康維持や病気の治療、美容などの観点から見ると、
この〝体外に出る水〟は重要ポイントといえます。
 ポイントというのは、二つの意味を含んでいます。
まず、不必要な〝汚れた水〟を、とにかくスムーズに出してやろうということ。
次に、体から出る水を〝観る〟ことによって、体の健康状態をチェックしてやろうということ。
この二点です。
 さて、体に入る水の〝人口〟は口でした。
これに対して〝出口″は、じつは体全体にちらばっているといっていいほどなのです。
どんな形で水が出ていくかというと、第一には「蒸発」。
第二は「消化管からの排泄」。第三が「尿」となっています。
 第一の「蒸発」ですぐ思いつくのは、汗です。
夏の暑い日など、汗が体の一面に浮き出て流れ、流れるそばから蒸発していきます。
この汗には、尿に溶けにくい異質で不要なものが含まれています。
また蒸発のときの気化熱により、先ほど述べた体温の調節作用の役割も果たしています。
 汗の出方は、身の回りの温度によってずいぶんちがってきます。
寒い日はそれほど出ず、暑くなれば多量に発汗します。
日本みたいな高温多湿の国でも、大陸の砂漠地帯の乾燥したところでも、
ともに人間が生きていけるのは、こうした発汗による体温椎持作用によるところが大なのです。
 また、暑い日や、激しい運動をしたあとなどでは、一時間で、〇・四リットルもの汗が出るといわれています。
 汗は、運動したときにも出るし、精神的に緊張したときなどにも出ます。
運動時の発汗は、主として体温調節が目的ですが、緊張時の発汗は、あまりそれとは関係ないといわれています。
 たしかに、ストレスを感じたりして手の平や足の裏にじっとりと浮かぶ汗は、
量も少なく、粘り気味で、体温調節には役立ちそうにありません。
これを「精神性発汗」などと呼ぶばあいがあります。
 このように、ひとくちに汗といってもいろいろ。
東洋医学の立場からは、汗のぐあいを見ることで、心や体の状態がわかるほどです。
じつさいのチェックの方法については、第四章でお話しします。

「蒸発」は汗ばかりではない

 さて、汗の量は、尿の量が比較的〓疋なのにくらべて、外気温などにより、大幅に異なってきます。
そして汗をたくさんかいたときには、のどが渇いて水が飲みたくなります。
発汗により血液の濃度が濃くなって、脳に「のどが渇いたよ」という刺激が送られるためです。
 この点から考えると、汗の量こそが、身体の水の量をバランスよく保つ秘密だといえそうです。
ですから、ごくたまにみられる〝汗の出なくなる病気″などは、致命的なものになりかねません。
 さて、蒸発による水の排出は、じつは汗だけではありません。
「汗をかいているな」と思わなくても、人間の皮膚からは、つねに水の蒸発が起こっているのです。
これを「不惑蒸発」といっています。
 汗ほど目立たなくても、蒸発の形としてはこちらのほうがむしろ〝基本″で、
いちばん大事な働きであるとさえいわれています。
この直接皮膚から蒸発する量も、やはり外の環境によって異なります。
暑い、寒い、風の状態、日射しの状態などに影響されるわけですが、
だいたい一日〇・六から〇・九リットルが〝目安″です。
「蒸発」にはもうひとつあります。
それは、肺から吐き出す息の形で水分が蒸発するというものです。
犬などは皮膚の汗腺が少ないため、むしろこちらのほうがメインです。
犬が運動のあとや暑い日に、舌を出してハアハア呼吸するのはこのためです。
人間のばあいは比率が少なく、呼気による水分の排出は一日〇・一五~〇・五リットルといわれています。

大便にも〝不要の水″が入っている

  二番目の排出の形、「消化管からの排出」とは、ひとことでいえば大便に含まれる水のことです。
 飲みもの・食べものを合わせて一日約二リットルもの水分が口から入ってきます。
そのほか唾液や胃液や胆汁など、多量の水が消化管を通ります。
しかし大部分は体内に吸収されてしまい、大便の形で体外に出る水は、一日わずか〇・一リットルにすぎません。
 なお大便の中に含まれる水には、食べものから吸収しきれなかった水分や、
死んだ腸管表皮の細胞などの〝老廃物″なども溶けこんでいます。
ただし、おなかのぐあいが悪いときの「やわらかい便」は、もっとたくさんの水を含んでいます。
これは、体内に入ったものを緊急に水に溶かして外に出す必要から生じた非常手段と考えられています。
 大便も、汗などと同じように、やはり健康状態のバロメーターです。
量や色や硬さ、においなどであなたがご自分で体のぐあいがチェックできる大変有効な方法といえます。
西洋医学でもこの点は重視されてきましたが、まだまだ東洋医学のほうに一日の長があるようです。

尿の量が激変するのは病気の疑い

 さて、三番目の排出は「尿」です。
尿には、体で不要になった老廃物が溶けこんでいます。
尿の量は一日平均、成人で約一・八リットル。
汗などの蒸発や大便で失われる量と合わせますと、
合計で二リットルから二・八リットルもの水分が、体から出されることになります。
 尿の量は、ビールを飲みすぎたなどのとくべつの理由がない限り、汗とちがってほぼ一定です。
人それぞれの身長、体重、血液などによってだいたいきまっているのがふつうで、
思いあたることもないのに量が激変するのは、病気の疑いがあります。
たとえば、血圧が急に上がったときには尿がふえます。
 なお神経性の頻尿というのもあり、ストレスなどによって変化するばあいがみられます。
このときはオシッコにいく回数がふえるだけで、トータルの量はそんなに変わらないのです。

アンモニアを無害なものに変えるシステム

 尿には老廃物が含まれています。老廃物というのは、体の中でいらなくなったもののこと。
生命活動がスムーズにいとなまれるためには、必要なものはとり入れ、不要なものは外に出さなければなりません。
 いままでの常識的な健康法では、体に入るもの=栄養とかカロリーとかのほうに重点がおかれ、
〝外に出す〟ほうはないがしろにされがちでした。
 最近でこそ繊維食とかファイバードリンクとか、便通をよくするために繊維の多いものを、
すなわち排泄の大切さが認識されてきたようですが、まだまだ実体は付け焼き刃といっていいでしょう。
しかしいまや、栄養素を「つけ加える」のはもうたくさん、
むしろ便、尿、汗などの排泄器官より余分なものを「とり出す」ことのほうが、
生命の全体的な循環にとって必要な状況なのです。
 そこで、老廃物という不要なものの内容や排出方法について、
まず基本的なシステムを知っておく必要があります。
 ひとくちに老廃物といいますけれど、その内容は大きく分けて二つになります。
タンパク質の分解によってできるチッソ化合物と、
それから脂肪と糖質が〝体で燃える″ことによって生まれる炭酸ガスです。
 ごぞんじのように、後者の炭酸ガスは、肺から吐き出される息の中に含まれます。
そして前者、つまりチッソ化合物が水に溶けて尿の中に含まれ、体の外に出ていくのです。
尿に含まれる老廃物とは、主としてこのチッソ化合物のことをさします。
これが、別名「尿素」です。
 人間が生きるうえで欠かせないのがタンパク質。
そのタンパク質が体で使われたあと、最後に
残るのはアンモニアです。チッソ化合物「尿素」とは、さらにこのアンモニアの〝なれの果て″なのです。
 タンパク質がついにたどりついたアンモニアという形は、体にとって不要なものです。
いや、不要どころか有害ですらあります。
肉が腐ってしまったときの気持ち悪いにおいの正体の主役は、じつはこのアンモニアなのでした。
 では、なぜ人間は、そんな有害ですらあるアンモニアをさっさと体の外に捨てでしまわないで、
わざわざチッソ化合物に変えるのでしょうか。
それは、体外に周期的に捨てるためには、いったん体のどこかにためておかなければならないからです。
有害なアンモニアを体内にためるのは、一時的といえども危険です。
そこで、いったんアンモニアをチッソ化合物というはるかに害の少ない形にしてから体内にため、
必要に応じて排泄するというしくみになったのです。
その、ためておく場所は、もちろん膀胱。
 かつて生物が海に住んでいたときには、アンモニアを直接海水の中に排出していた、という説があります。
すぐに洗い流される水中生活ではそれでよかったのでしょうが、
陸上に拠点を移すと、生活上のつごうからそんなたれ流しはできなくなりました。
その結果、アンモ二アを無害な尿素に変えていったん膜胱にため、排出する必要が生じた、というわけでしょう。
 なお、このアンモ二アを尿素に変えるのは、体の中の「尿素サイクル」と呼ばれる、
老廃物の尿として体外へ排泄するシステムです。

 オシツコのもとは一日178リットル

 腎臓は、ひとことでいえばひじょうに合理的なろ過装置です。
腎臓が尿をつくるしくみは、まさに神わざというべきみごとなものです。
 毛細血管によって運ばれた血液から、まず体にとってまだ必要なタンパク質などをろ過します。
そのあとに残るのが、「原尿」と呼ばれる〝オシッコのもと″です。
原尿の量は一分間に120CC、一日だと178リットルにもなります。
 いらなくなった老廃物を第一段階のろ過だけで捨てようとすると、
こんなにたくさんの水が必要になってしまうのです。
 それに、原尿には、電解質などまだまだ体に必要な成分がたくさん含まれています。
ですから、原尿が腎臓から外に出るまでのあいだに、電解質や水の大部分が、
毛細血管の中に何段階かに分かれてふたたびとりこまれる、というしくみになっているのです。
こうした再吸収の働きをさせる〝原動力〟が、いくつかのイオンやホルモンです。
 腎臓は、構造から見てもみごとなしかけになっています。
ヘアピンカーブのような細い管、糸をくるくるまいて球状にした部分、じょうごの形など。
ろ過や吸収というそれぞれの〝仕事″の必要に応じた形になっているわけです。
 このようにして、最終的に体外に排出される尿がつくられます。
その量が、一日平均成人で約一・八リットルでした。
原尿のうち、じつさいに捨てられるのは約一パーセントということになるわけです。
 なお、この尿の量はいろいろな理由があるときに変化しますが、
少なくとも一日に〇・七リットルは必要だとされています。それ以下ですと、体に老廃物がたまってしまうからです。

尿は体調のシグナルである

 尿が体調の〝シグナル〟であることは、いまやなかば常識になっています。
血尿という異常は当然のこと、やたらに黄色い尿が出たら肝臓が悪いのかもしれない、
あるいは極度の疲労のせいもある。
ヘンなにおいがしたら、「きのうはちょっと飲みすぎたかな」などと思ったりします。
昔の〝くみとり式〟のトイレで、「お宅のは甘いにおいがする」と指摘されて家族の糖尿病が発見された、
などの詰もありました。
量の大きな変化も、病気のしるしかもしれません。
 なお、余分な有害物のまざった水を飲むと、腎臓や肝臓は、
さらに過剰労働になり早くくたびれてしまいます。
いわゆる「老けた」といわれる老化病つまり、成人病になるのです。
そのためにも良い〝水〟を入れていくことが大切なことなのです。
 もちろんいまでは検査方法も精密になっていますから、タンパク、糖分その他のデータを尿によって
計測することができます。
腎臓病や糖尿病などの早期発見に大いに役立っています。
 こうした西洋医学の方法とはべつに、東洋医学でもいろいろな症状の組み合わせから見るチェックの仕方が、
確立しています。
体にとっての水の動き、出入りをトータルに見るという視点によるもので、
ご自分で毎日健康診断ができる方法を次章でお話をさせていただくことにします。

母親がどんな水を飲んでいるかが決定的

生まれたての赤ちゃんは、約、身長50センチ、体重3000グラム。
さて、その大もとの受精卵といえぱ、わずか直径0.25ミリ。
つまり受精卵が赤ちゃんになるまで、なんと2000倍もの成長をとげるのです。
羊水は100パーセント水で、その中にある受精卵は、90パーセントが水です。
ということは、お母さんがどんな水を飲んでいるかが、決定的な意味をもつのではないでしようか。いまの水は、この意味では最悪です。発ガン物質のトリハロメタンをはじめとして、ゴルフ場で多量使用されている農業で汚染されている地下水。
なんとか汚れをおさえようと、強力な塩素を注ぎこんだ水。
マンションの貯水タンクで有害なカビが繁殖した水。
そんな水を、お母さんもあなたも、毎日飲んでいるのです。
受精卵、そして胎児へと発達する過程に、悪影響を与えないわけがありません。
たとえば、子どもの「成人病」がものすごくふえています。
糖尿病や高血圧の幼稚園児、小学生が目立つようになって、社会問題化しているほど。
それと、もちろん小児のガンも多くなっています。
白血病とか骨肉腫という残酷な運命が、子どもたちを待ちうけているのです。
あるいは小児ゼンソクなどなど。
近年増加している子どものアトビーという皮膚炎も深刻です。
ひどいばあいには、かゆみや痛みで七転入倒の苦しみをしています。
アレルギーの一種ですから、牛乳や卵をやめたり、苦労されていますが、
それだけでは治らない新型アレルギーともいえる人が増えています。
合成洗剤がアトビーの原因のひとつであるのはたしかなようで、
十年くらい前までは、洗剤を石けんにかえることで治る例が多くみられました。
しかし、最近ではそれでも効果がうすいようです。
どうやら生まれながらのアトビー体質として、できあがっているようなのです。
これは恐らく、最近の水汚染の加速ぶりと、関係があるはずです。
それから、異常出産もふえています。死産児のうち六割くらいが、内臓がとび出す、などの奇形児だそうです。大人もアレルギー性鼻炎などが増えていますが、胎児にはもっと強く影響するのでしょう。
こうした奇形をもたらす遺伝子そのものが、じつは細胞の核の中で、水によって保護されるものなのです。
良い水に守られる遺伝子は正常な発達をとげ、悪い水につかる遺伝子が傷つけられる。
あたりまえのことではないかと思うのです。
受精卵で90パーセント、新生児で80パーセント、成人で75パーセントを占める水。
この水が徹底的に汚染されていることが、こうした危機的状況のいちばんの元凶ではないでしょうか。

聖マリアンナ医大教授 西岡久寿樹
妊婦こそ″良い水″を飲むこと
わたしたちは、あまりにも水の尊さを忘れ過ぎていたと、いま反省しなければならない。わたしたちが、この地球上に生物として出現したときは、一個の受精卵としてであった。その受精卵の90%以上は水分、そして胎盤血液の83%が水分、羊水は100%の水である。このことを考えると、水がいかに重要か、水が生命の鍵を握っているということをしみじみと感じざるを得ない。この水がもし″悪い水″であったなら、その生命の成長はどうなるか・・・ぞっとする思いである。産婦人科医のデータによれぱ、この妊婦の飲んでいる水によって明らかに安産、難産に分かれるという。すなわち「よい水」を飲んでいる妊婦は、つわりがほとんどなく、お産も軽く、生まれた赤ちゃんも丈夫、出産後のお母さんの経過も良好、母乳もたくさん出たということがわかった。

清涼飲料水の恐ろしさ

 ダメになった水が、現代人の健康をそこない、あるばあいには病気をつくっていることは、まちがいないようです。飲みものの〝原点″である水道水がこのありさまですから、あとは知れたものというべきでしょう。
 ところ、が、その水道水ですら、〝ましなもの″にみえてしまうほどの〝水〟を、いまの人たちは、
たくさん飲んでいるのが実情です。
 たとえば清涼飲料水と称されるドリンクのたぐい。
ジュースやコーラなど、えたいの知れない着色飲料は、あいかわらず全盛です。
〝付加価値″がない、ただの水など、見むきもされないかのようです。
しかしこうした人工的な飲料を丸ごと一本、
小さな子供が抱えて飲んでいる姿を見ると母親の無知に対してなんとかしなくてはと思わずにはいられません。
 もともと清涼飲料水の〝原料″は、酸素のない「死んだ水」です。
そのうえ、人工甘味料や合成着色料などのオマケが入っています。
 さらに問題になるのは、糖分が多いことです。
糖分のとりすぎは、まず、いちじるしく食欲を、そいでしまいます。
きちんとした食べものを欲しがらなくなるのです。糖尿病の原因になるのはもちろんです。
 さらに、多すぎる糖分は、体の中のカルシウムを奪ってしまいます。
カルシウムは、骨や歯の主成分であり、弱アルカリ性を維持したり、
病原菌をおさえるなどの大切な働きをしているミネラルです。
ところが、多すぎる糖分が、このカルシウムを体外に連れていってしまうのです。
以前、コーラなどの飲みすぎは、虫歯や骨折の原因と騒がれたことがありましたね。
 また、清涼飲料水に含まれるリンも、同じくカルシウムを奪う結果となります。
リンは、そのほかインスタント食品や加工乳にも多量に含まれており、
こうした食べものや飲みもので育つ子どもたちの体は、もはやガタガタといってもいいくらいです。
もちろん、さらに多くの化学合成添加物なども使われていて、それが人体にどんな結果を生むのか、
はなはだ恐ろしいことです。
 肉体的な悪影響だけではありません。
カルシウム不足は、イライラをつのらせるといわれています。
校内暴力やいじめなどの原因のひとつに、子どもたちの清涼飲料水をあげる人もいるほどです。
もちろんこうした心身のダメージは、子どもたちに限らず、大人にもあてはまることです。
また、清涼飲料水には、一種の習慣性があるようです。
ある学校の調査では、毎日飲む生徒が5割近くにおよびました。
しかも一日1リットル以上飲む生徒が、一五パーセントもいたそうです。
素姓の良い水を飲まずに〈そんなものどこに行ったら手に入るのか、といわれそうですが)、
おかしな青白い貧血の顔をして色つきのドリンクばかりを飲む。
一見ファッショナブルにみえる、こうした現代の飲料水は、人間の体や心を大きくむしばむ原因になっているのです。

悪臭のある大便が病気をつくる

現代にはびこるそのような、〝悪い水〟。
しかし、いわゆる病気をつくるメカニズムについては、まだまだわからないことだらけです。
過度の糖分や発ガン物質入りの〝水〟という明らかな〝犯人〟もいれば、
因果関係はつかめていないけれども〝怪しい〟水もある、といったありさま。
 ここでは、しかしそういった個々の〝病原水″とはべつに、
もっと全体的で決定的な体のダメージにかかわる水の仮説を、話してみたいと思います。
その大きな手がかりとなるのが、「大便のにおい」です。
 第一章で、病気の人は大便がとてもくさい、という話をしました〈三一ページ)。
しかし、じつはちょうど正反対のこともいえるのです。
つまり、「悪臭のある大便が、さまざまな病気をつくる」と。
健康をとりもどすと、悪臭はとたんになくなることも知っておいてください。
 まず、大便のにおいの正体について、調べてみる必要があります。
その原因は、ひとことでいえば、腸内異常発酵です。
そしてこれは、大便のにおいばかりでなく、くさいオナラ、強い口臭やくさいゲップ、
さらには便秘とか下痢、消化不良などの原因となるものです。
 悪臭のもととなる物質には、硫化水素、アンモニア、アミン類、フェノール、インドールなど
というものがあります。
このうち、もっとも代表的なのが硫化水素で、「卵の腐ったような」においを発する成分です。
温泉や火山のにおいでもおなじみ。
 この硫化水素自体が、じつは体にとって有毒なのです。
アフリカのカメルーンの火口湖から流れ出た硫化水素のガスで、
千数百人の人命が瞬時に失われた大事故もありました(昭和六十一年八月二十一日)。
 アンモニアのツンとするにおいもおなじみですが、このアンモニアも有毒なのです。
肝臓の働きなどが悪くなっている人は、有毒なアンモニアを分解しにくくなるため、
イライラしたり、ひどいときには、意識障害が起こったりします。
このあたりは、中国医学の考え方と共通しているところですね。
 アミン類のなかで知られているのは、ヒスタミンです。
この悪臭を放つ物質も、湿疹や皮膚炎、ジンマシン、ゼンソクなどの誘因と考えられています。
また、肝臓が悪い人は、ヒスタミンによって胃潰瘍や十二指腸潰瘍にかかりやすいといわれます。
もうひとつ、ニトロソアミンという〝猛毒〟の悪臭源もあります。
アミン類のなかまですが、発ガン物質として有名な存在。
いまの水道水や、ハムきに含まれる硝酸塩からつくられるものです。
胃ガン、大腸ガン、勝胱ガンの原因では、と考えられています。
フェノールは、やはり強いにおいのする腐食性の毒物で、やはり発ガン物質の疑いがかけられています。
肝臓に悪影響を及ぼすことも知られています。
インドールは、玉ネギの腐ったときのにおいのもとです。
白血病やリンパ腺のガン、膀胱ガンなどを誘発する物質です。

腸には一〇〇兆個の微生物が住む′

こんな〝勇ましい〟悪臭のもとたちが、くさい大便の原因だとしたなら、
その大便のもちぬしが病気にならないのが不思議なくらいですね。
では、これらの有害物質は、どのようにして体の中でつくられるのでしょうか。
それは、人間の腸内に住む微生物たちの働きです。
その働きが正常でなくなったときに、腸内異常発酵が起こり、こうした有害物質がつくられてしまうのです。
ここに、どうやら悪い〃水″が一枚かんでいそうなのです。
 人間の腸には、なんと約100種、100兆個もの微生物が住みついています。
出産ほやほやの新生児の腸には、まったく存在しないのにもかかわらず、
わずか二十四時間後には、成人とほとんど同じ比率の微生物がいる、ということです。
いったいどこから彼らが〝わいた″のか。それはいまもって謎とされています。
 腸内微生物には、有害なものと、有益なものの二種類があります。
腸内細菌などと呼ばれるサルモネラ菌やチフス菌、赤痢菌、大腸菌、さらには腐敗菌などが有害な菌です。
 いっぼう有益な腸内微生物もたくさんいます。
現在は、むしろこちらのほうに注目が集まっているようです。
彼らは、たくさんの有意義な働きをしています。
消化・分解を助けるものや、ホルモンをつくり出すもの。
酵素を分泌するもの、窒素を固定するもの。免疫にかかわるものなどさまざま。
こうした微生物たちの存在がなければ、一日たりといえども人間は生きていけないはずです。
有益な腸内微生物の代表格は、「乳酸菌」でしょう。
そのなかでも、「ビフィズス菌」が有名で、これをうたい文句にした飲料もあるくらいです。
 乳酸菌は、人間が食物としてとった米やパンなどの炭水化物を分解して乳酸をつくる微生物の総称です。
母乳で育てられた乳児の便の九五パーセントがビフィズス菌であり、便の色や形もとてもきれいなものです。
逆に老人となると、ビフィズス菌のまったくない便の人が三割もいる。
悪臭もひどい、汚い便なのです。
 ビフィズス菌は、ヨーグルト、チーズ、バター、清酒、ショウユなどをつくるのに欠かせない、有益な菌です。
また、ほかの乳酸菌のなかまに、乳酸梓菌、腸球菌などがいて、これらは一
般に 〝善玉菌〟と呼ばれています。
 なお、これらの善玉菌は、水道水に入っている塩素やトリハロメタンなどのおかげで、
かなりのダメージを受けており、ここでも〝悪い水〟の影響が出てしまうのです。

異常発酵の正体は〝悪玉菌″

 これに対して〝悪玉菌″と呼ばれるものの代表が腐敗菌です。
人間が食べたタンパク質を分解して、腐敗物質をつくる働きをします。
それが、先ほどの悪臭のもととなるのです。
腸内の異常発酵というものの正体が、これなのです。
 腐敗菌は、正常な範囲内の量ならば、ある程度有益な役目をすることもわかっています。
しかし、くさい大便やオナラは、明らかに腐敗菌が多くなりすぎて、
体に有害な物質をつくり出している証拠となります。
なぜなら大便の半分は腸内微生物の屍からできているのですから。
 腐敗菌のなかまには、大腸菌、クロストリジウムなどがいます。
彼らがタンパク質を分解して、硫化水素、アンモニア、アミン類などの人体に有害な物質をつくるのです。
 これらの悪臭のもとである有害物質は、腸管から吸収されて肝臓に運ばれ、分解されます。
肝臓というのは、全身の解毒作用を一手にひきうける、重要な臓器ですね。
 しかし有害物質の量が多いと、肝臓にいちじるしい負担をかけることになります。
そのあげくは、肝炎や肝硬炎を誘発したり、ということになるわけです。
またそれらの有害物質が、体のあちこちにバラまかれて悪影響を与えることもあります。
 いっぼう、腸内でつくられた有害な発ガン物質が、腸内にとどこおって、ガンなどを引き起こす、
ということも十分考えられます。
 ですから、悪臭のひどい便を出す人の体は、有害物質のふえた危険な状態であることになります。
病気だからくさい便を出す、ということも正しいのですが、むしろくさい便を出すから病気になる、
といったほうがよい。その理由は以上の点からおわかりでしょう。
このことは、逆にいえば長寿村のご老人は、赤ちゃんのような便をしていることからもわかります。
 さて、肝臓で解毒作用を受けた物質は、ふたたび腸内へと〝排泄〟されます。
この腸から肝へ、そしてまた腸へというサイクルは、人間が生きるうえでの根本的なシステムのひとつです。
なぜならば、腐敗物質だけでなく、有益菌によって分解された栄養なども、
このサイクルにのっかって体の糧となるからです。
このサイクルが正常にいとなまれていれば、人間の体は健康です。
逆に有害物質に汚染されると、いろいろな病気や不調を引き起こす、というわけです。
 この、生命活動にとって基本的なサイクルを動かすひとつの働き頭が、腸内のさまざまな微生物たちなのでした。
そして彼らの生存のあり方の根本に、どうやら〝水″がかかわっていそうなのです。

微生物も〝水″で生きている

 じっはそのメカニズムはまだよくわかっていないのですが、
次のような事実を見れば、意味するところは明白だと思われます。
 それは、飲み水を良いものに変えると、大便の悪臭が激減する、ということです。
 前にもお話しした神戸の誠仁会協和病院では、電解水という水を常時患者さんに飲んでもらうことで、
病状の改善をはかっています。
その第一の効果が、便の悪臭がなくなり、形状もきれいになるということです。
つまり腸内異常発酔がおさまり、硫化水素ヤアミン類などの有害物質が少なくなったということです。
 それはとりもなおさず、水をとりかえることによって悪玉の腐敗菌が少なくなり、
許容できる正常な範囲におちついたこと、
つまり正常な腸⇔肝のサイクルをとりもどした、ということになります。
こうしたのぞましい効果は、電解水だけでなく、
ある種の〝ミネラルウオーター″や〝新見の水〟などでも得られることがわかっています。
 右の事実を逆にいえば、現代のさまざまな〝悪い水″こそが悪玉菌をふやす原因だった。
そういうことになるのではないでしょうか。
塩素入りの水道水が有益な微生物を殺してしまう可能性はもちろん、
合成保存料などの添加物が入ったインスタント食品、清涼飲料水などなど、
〝容疑者〟は限りがありません。
そんな自然の姿からはほど遠い〝水″が、腸内微生物たちの生き方を狂わせてしまった。
どうもそのように考えなければ、謎はとけないようです。
 なぜならば、この微生物たちも、七〇パーセントから八〇パーセントが水分だからです。
そして彼らが生きるうえでも、水はどうしても欠かせない基礎物質だからです。
 その水が悪いものになっているのなら、微生物の状態が異常になっても不思議ではありません。
それは、先の遺伝子が悪い水によって傷つけられるのと同じことでしょう。
反対に、水を良いものにとりかえれば、腸内微生物たちも、本来のあるべき姿にもどるわけです。
 なお、こうした腸内の微生物について、林秀光先生は次のようなすばらしい仮説を立てていらっしゃいます。   
「人間の腸に住む一〇〇兆個の微生物は、全体としてひとつの臓器と考えるべきである。
進化論から見れば、肝臓・腎臓・膵臓という独立した臓器の、むしろ〝原型″というべきものではないか」
 たしかに腸内微生物のさまざまな働きを考えると、彼らが各臓器といっしょになって作業をし、
彼らなしでは〝生きて〟いけないことがわかります。
人間の体は、微生物も含めたこうした大きな流れに沿う、総合的な、
あるいは全体的なしくみによっていとなまれているのです。
その全体の流れを一箇所でも断ち切ると ーたとえば悪い水が侵入すると-、
体の不調となったり病気になる、そういうしくみだと思われます。
 なお、西洋医学になじんだ耳には聞きなれなかった中国医学の考え方、
たとえば臓器を個別として見るのでなく、働きの系統として見る、などの考え方や、
トータルな基礎物質・エネルギー=腎陰・腎陽という概念などについても、
右の説明で、ある程度納得していただけるのではないでしょうか。

ガンは水の乱れでつくられる

 人間の健康にとっての最大の敵であるガン。
まだまだ、この原因や療法は解明されていませんが、
このガンが、やはり〝水の乱れ″によってつくられるという説があります。
まず、一九七四年、アメリカのダマディアンという医学者が、次のような研究結果を発表しました。
「正常の細胞は周囲の水が構造化されて、水の分子がきれいに整っている。
ガン細胞 周囲の水は、構造化が少なく、分子が乱れてい 不安定である」というものです。
 また、韓国科学院教授の全武植氏は、次のように述べておられます。
「正常な遺伝子の周囲の水は、遺伝子を保護するかのように、きれいにとりかこんでいる。
異常を起こした遺伝子の周囲の水は、乱れた構造をしている。
また、遺伝子の構造を保つのに、水が重要な役割を果たしている」。
 ガンとは、細胞の中の正常な遺伝子がガンの遺伝子に変異してしまう結果、起こるものです。
いや、ガンだけではなく、さまざまな病気が遺伝子の異常によってつくられるのです。
以上の点から、林秀光先生は
「ガンになったから水が乱れたのではなく、水の分子が乱れたからガンになったというべきではないか」
とおっしゃっています。
そしてさらには、ガンも水を良いものにとりかえることによって、
治すことができるのではないかとも述べられています。
私も、このご意見に賛成です。
なお水によるガンの治療については、全教授も卓抜なアイデアをいくつか提出されています。
 では、この分子レベルでの水の乱れは、どうして起こるのでしょうか。
詳細は今後の研究に待ちたいと思いますが、恐らく次のようなことはいえるはずです。
化学物質などによって汚染されたり、〝人工的につくられた″水など、
異常な状態におかれた水は分子が乱れているのであろう。
その分子の乱れが 発ガン物質その他の要因と組み合わさって、人間をガンにするのだろう、と。
このあたりは、次に述べる「フリーラジカル学説」と重なるはずです。
 あるがままの自然は、恐らくこうした乱れが少ないはずです。
それどころか〝新見の水〟のように、分子がよく整い、さまざまな治療効果をもたらすと思われる水もあります。
こうした理想的な自然の水は、人間の体にとりこまれることにより、
生命活動と調和して、そのいのちをはぐくんでいくのです。
 世界各地に伝わる〝いのちの水″ の話は、なかでもとくに人体にマッチした水のことであるにちがいありません。
たとえば北極地方の雪どけ水は、食堂壁を自由に素通りして、吸収が速い。
人体を若返らせ、健康にしたり、プランクトンを繁殖させる。
農作物の収量をふやす、などといわれます。
これはソ連のデルプゴリツという学者が発表した研究です。
デルプゴリツによると、
老化の原因は、体内の雪どけ水に似た構造の水が不足し、これと異なった構造の水がふえることだ、
ともいわれています。

フリーラジカルは凶暴な異分子だ

ここで少し、「フリーラジカル学説」についてくわしく述べてみたいと思います。
フリーラジカルは、日本語では「遊離基」といいます。
ひとことでは「原子のばれんぼう」と呼んでいいかもしれません。
 たとえばH2Oという原子の集まりである水。
これに放射線をあてると、酸素と水素の強い結びつきがむりやり引きさかれて、
OHとOように、不安定な二つの部分に分かれてしまいます。
この分かれた分子が、フリーラジカルです。
 昔習った物理学を思い出してください。
原子というのは、陽子とその回りをまわる電子とでできているのでしたね。
この電子、ふつうは対で働いているものなのです。
つまり電子の数が、対になれる偶数個のときだけ、安定しているわけなのです。
 ところが、いまの水の放射線のばあいのような異常な事態が起こると、
電子が一個奪われたり、一個つけ加わったりしています。これがフリーラジカルです。
つまり分子が強烈に引きさかれた結果の、
「対をなしていない電子をもった原子、あるいは原子の集まり」ということです。
 このフリーラジカルは、電子が奇数個なものですから、非常に不安定です。
そのため、となりの分子から電子を一個奪って、安定しようとします。
ところが、こんどはその奪われた分子が、また次の分子の電子を一個奪い、次がまた奪い、というぐあいに、
連鎖反応が始まってしまうのです。これ フリーラジカル反応 呼んでいます。

細胞膜をびさせてしまう恐ろしさ

フリーラジカルが攻撃するのは、まず細胞膜です。
細胞膜は、タンパク質と不飽和脂肪酸というものでつくられています。
フリーラジカルの攻撃によって不飽和脂肪酸が酸化して過酸化脂肪(腐ったアブラ)になってしまうのです。
酸化、つまり、細胞膜がさびついてしまったわけです。
 細胞膜自体には出入口はありません。
栄養をとり入れ、老廃物を出す代謝の働きは、すべて細胞膜を透過して行なわれています。
だから、細胞膜がさびてしまったらたいへん。
 なお、酸化してしまった過酸化脂肪は、それ自体がフリーラジカルとなり、
新しいフリーラジカルをつくり出す原因ともなります。
 次に、フリーラジカルによる酸化は、細胞膜を破って内部にまで侵入します。
 細胞の中には、重要な役割をになう小さな器官がたくさんあります。
DNAとかリゾゾームとか、ミトコンドリアなどがそれです。
DNAは遺伝子そのものですが、フリーラジカルにやられやすいのです。
そうなると、生命活動の中枢に乱れができてしまいます。
たとえば誤った指令を発して、狂ったタンパク質を合成させてしまい、ガン細胞の発生につながる、
などといった事態を引き起こします。
 リゾゾームというのは、ウイルスのような異物が侵入すると食べてしまうもので、
数十種類の大切な酵素を含んでいます。
ところが、リゾゾームの膜も不飽和脂肪酸でできているため、フリーラジカルにかんたんに破られてしまい、
内部から「加水分解酵素」をはき出して、細胞内部を溶かしてしまったりするのです。
 ミトコンドリアは、小さな糸球体ですが、エネルギーを生む母体のようなものです。
心臓の機能や、人間のスタミナなどにかかわる重要な小器官ですが、
やはりフリーラジカルにやられやすいのです。
 以上のようなフリーラジカルの破壊のしくみについては、
先の、分子が乱れた水と一脈通じるものがあります。
乱れた水は、もしかすると、フリーラジカルを多量に含んでいるかもしれないのです。
 ではこのフリーラジカルは、どのような原因から生まれるのでしょう。
 分子をむりやり引きさいた結果が、フリーラジカルでした。
この引きさく力としては、
宇宙線、放射線、Ⅹ線、太陽光線、工場や車の排ガス、タバコの煙、光化学スモッグなどがあります。
飛行機に乗っただけでフリーラジカルが出るとさえいわれています。
また食品にも、フリーラジカルを発生させるおそれのあるものがあります。
それは、不飽和脂肪酸を多量に合み、古くなると過酸化脂肪になってしまう食品です。
たとえば薫製、魚の干物、古いバターピーナツツ、ポテトチップス、
揚げてあるインスタント麺(とくに化学調味料や食品添加物入りのもの)、
酸化した油を使ったてんぷらなど。
 そして、薬品などにも、あぶないものが存在します。
それは、肝臓で分解するときに過酸化脂質をつく叫出してしまうもので、
ある種の高コレステロール治療剤、経口抗糖尿病剤、睡眠剤、抗ガン剤などです。
もうどうしようもない、という感じですね。
 次に、生体内でも、自然にフリーラジカルは発生します。
たとえば細胞内のミトコンドリア自身が、エネルギーをつくり出すときに、フリーラジカルを生んでいるのです。
だからこの点に関しては、生命活動がストップしない限り、
フリーラジカルはいつでもつくられるということになります。
さらに精神的ストレスが、フリーラジカルの発生国となることもあります。
胃潰瘍などは、胃の内壁がストレスによってフリーラジカル状態におちいった結果、という人もいます。
 このフリーラジカル自身の寿命は、しかしごく短いもので、一秒の数千分の一といわれます。
代表的なフリーラジカルは、水酸基OH、超酸化基、過酸化水素、過酸化脂質です。
このうち、前述の過酸化脂質が、もっとも人間の身近にあるため、
老化の原因(老化の原因の一つは体内の酸化)となる恐ろしい物質だといわれます。

セレニウムは〝体のさび落とし″

 しかし、人間の体には、生まれつきフリーラジカルに抵抗する力がそなわっています。
その代表的なものが酵素です。
 なかでも、肝臓でつくられるグルタチオン・ベルオキシターゼという酵素が代表的。
これは、セレニウムという微量ミネラルからつくられるもので、
セレニウムを含んだ水が体にひじょうによいといわれるのも、この抗フリーラジカルの力があるからです。
アメリカでは、制ガン剤としてセレニウムが使われていますし、
土壌にセレニウムの多い地域ではガンが少ないという調査結果もあります。
 セレニウムによってつくられる酵素の、グルタチオン・ベルオキシターゼは、酸化をもとにもどしてしまう、
つまり還元の働きをもつたのもしい味方です。
いわば〝体のさび落とし〟です。
 そのほか、フリーラジカルに抵抗する勢力としては、
体内にたくわえられたビタミンE、ビタミンB2、ビタミンCなどがあげられます。
 なかでもビタミンEは、やはり強力な抗フリーラジカルの力をもっています。
セレニウムとちがって、こちらは脂質の酸化自体を防ぐのです。
さらにEは、セレニウムと協力して、よりいっそう抗フリーラジカルの力を高めあう働きをします。
これらは老化防止としても重要なものです。
 以上のようなフリーラジカル学説は、分子生物学や分子物理学の分野では、すでに常識とされています。
同じ分子・原子レベルの乱れということで、〝水の乱れの学説〟と重なる部分もあります。
一歩すすめて、水の乱れとは水がフリーラジカル化することではないか、
だからこのことが水を良いもの、
とくに天然セレニウムが通常の水道水の一〇〇倍も含まれている〝新見の水〟にとりかえることによって、
健康がとりもどせる理由の一つではないかと私は考えるのです。

老化とは乾燥の過程である

 体が老化するとは、別の面から見れば、水分が減っていくということでもあります。
新生児で八〇パーセント、成人で七五パーセントほどもあった体の水分が、
老人になると五〇パーセントを割ることもあるほどです。
そこで、「老化とは乾燥の過程だ」ともいわれるのです。
水には、基本的な新陳代謝の働きがあるからです。
 ところで、同じ老人といっても、見るからに若々しい人もいます。
二十歳もサバよんでもバレない人もいるかと思えば、四十でもう老人の風貌、といった人もいる。
この差は、体内の水分の減りぐあいによるところが大なのです。
命の根源である細胞内の水が、年とともに減る人と、減らない人がいるからです。
細胞内の水には、カリウムイオンという微量成分が含まれており、
これがどうやら「生命力」に関係しているようなのです。
たとえば果実でも、カリウムの多い土壌で育つと、甘くみずみずしい実ができるということです。
 老化にともなって細胞内の水が減ることにより、カリウムが失われて、
細胞のいきおいがなくなっていくというわけです。
カリウムの減少は、老化の確実な指標といわれるほど。
ですからカリウムを含んだ良い水をきちんと飲んでいる人は、年れに比べて老化が遅く、
悪い水を飲む人や、そもそも水を飲まない人は、老化が速くすすむということになります。
また、カリウムとは逆に、ナトリウムが増えるのも老化のしるしです。
ナトリウムは水分が少なくなるとともに細胞内に入り始め、神経系や筋肉の老化、
異常を引き起こすとも言われています。
たとえば意識障害、筋肉のけいれん、しびれ、マヒ、筋肉の低下などです。
なお年をとるとともに体の水分が少なくなっていくのは、次の理由によります。
新陳代謝がおとろえるため、体内でつくられる水の量が減る。
腎臓における水分の再吸収作用が少なくなり、薄い尿がどんどん出ていってしまう。
 こんな状態ですから、老化そのものが水とおおいにかかわりがあり、
老化を防ぐには、やはりきちんとした水のとり方をしなければダメだ、ということがわかります。
 じっさい、ある老人ホームでは、水をたくさん飲んでもらうことで、
お年寄りの死亡率が減少し、平均寿命も延びたというデータがあります。
良い〝水″は老化防止にも関係してきそうですね。

〝良い水″は美容の決め手だ

 年をとるとともに気になることのもうひとつは、「美容」です。
赤ん坊や子どもの、スベスベした文字どおりみずみずしい肌は、年齢とともに失なわれていきます。
皮膚は乾いてカサカサ、吹き出物ヤシミ、小じわもふえ、なんとなく汚い感じになっていくのがふつうです。
 このうち、たとえば小じわは、細胞内の水分が減って皮下組織が縮んでしまうことなどが原因です。
吹き出物も、便秘など水分の新陳代謝がうまくいっていない証拠です。
美容にも、明らかに水がかかわっていたのです。
 それに何よりも、血液が乱れてくることが、美容のもっとも基本的な敵です。
皮膚の素材をつくっているのは赤血球だといってもいいくらいで、
つまりきれいな血液こそが美しい肌をつくるのです。
そのためには、血液のもとである水を、良いものにとりかえなくてはなりません。
 前にもお話ししたアメリカの女性一〇〇人のアンケートで、
共通した美容法は、〝良い水を飲むこと〟でした。
 いまの人が水をあまり飲まなくなったのは、水道水の汚れと関係があるかもしれません。
あまりに水道の水がまずいため、ついついジュースやコーヒーなどの飲料に走ってしまう。
その結果、糖分の摂りすぎで肌を痛めることになったりします。
こうした飲料は、それほど多量には飲めないのがふつうで、どうしても水分補給自体が少なくなります。
そのため便秘がちになり、尿が出なくなったりで、体に毒素がたまり、またまた肌をダメにしてします。
さらに水に混しる塩素や、化学物質、清涼飲料水の食品添加物などが血液を汚し、
直接肌をいためる原因になっていることもたしかです。
 若いうちはそれでもなんとかしのげるのですが、三十歳をすぎるともう〝老化″が始まってしまいます。
「老化とは乾燥の過程」ですから、意識して水を飲まないと、ますますひどいことになっていくわけです。
 なお、白髪やぬけ毛、若ハゲなども、水とおおいにかかわりがあります。
良い水にとりかえることでハゲが治ってきた、黒髪がよみがえった、などの例も数多く存在しています。 
 化粧品の水の質もやはり決め手のようです。
〝全生命的な水″と同じ成分でつくった化粧品をつけると
「シワやシミがうすくなり、みずみずしい肌になった」、「輝きが出てきた」と、
全員からラブコールをいただいています。



スマートフォン版